2021年5月10日、ポルシェAGは2023年に発表が予定されているBEV(電気自動車/EV)モデルとなる次世代マカンの進捗状況をドイツ本国で発表。リアルとデジタル両面のテクノロジーによる開発が進められているという。

20種類のデジタル・プロトタイプによるシミュレーションを実施

2023年のデビューが予定される、BEVとなるミドルサイズSUV次世代マカンの開発の模様が明かされた。その大きな特徴は、リアルとデジタル両方のプロトタイプを使ってのテストが繰り返されていることだ。

そして、このほどリアルのプロトタイプが、ドイツ・ヴァイサッハにあるポルシェ開発センター性能試験場での初期テストの後、いよいよ一般路でのテストへと向かった。以降、市場に投入されるまで世界中で約300万kmにも及ぶ走行テストが行われる。

リアルプロトタイプを製作するにあたって、デジタルでのプロトタイプで集積した各種データがフィードバックされている。デジタルプロトタイプは車両の特性やシステム、パワーユニットを高精度にシミュレーションすることができ、各分野別に20のタイプが作られている。これにより、これまで発見されていなかった設計の矛盾を迅速に洗い出すことが可能になったという。

デジタルプロトタイプマネージャーのアンドレアス・フーバー博士は、「私達は定期的にさまざまな部門からのデータを照合し、それらによって可能な限り詳細で完全な仮想車両を作成します」と解説する。

そのもっとも分かりやすい効果が、次世代マカンのためのまったく新しいディスプレイとオペレーティングコンセプトの開発だ。シートボックスと呼ばれるデジタルプロトタイプを使用してドライバーの環境を再現することで、開発の初期段階で目的を実現することができたそうだ。

画像: ドライバーの環境をシミュレートする「シートボックス」と呼ばれるデジタル・プロトタイプ。

ドライバーの環境をシミュレートする「シートボックス」と呼ばれるデジタル・プロトタイプ。

デジタルからリアルへのフィードバックと同様に、リアルからデジタルへのフィードバックも行われる。リアルプロトタイプで行われる路上テストの結果が、デジタルプロトタイプに直接反映される。極端な気候条件や地形条件下で実施される厳しいテストプログラムには、厳格な基準を満たさなければならない高電圧バッテリーの充電や調整などの分野も含まれる。

研究開発を担うミヒャエル・シュタイナー取締役は、「タイカンと同様に800Vアーキテクチャーを備えたフル電動モデルとなる次世代マカンは、ポルシェ特有のE-パフォーマンスを提供します」、そして「フル電動モデルとなる次世代マカンは、セグメントで最もスポーティなモデルになるでしょう」と抱負を語る。その力強いコメントに、プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)初採用の次世代BEVマカンへの期待と確信を感じ取ることができる。

一方、マーケットへの柔軟な対応として、2021年中にエンジンを搭載した現在のマカンの後継車を発売するとも公表。将来的にはBEV次世代マカンと一緒に提供される予定という。

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