留まることを知らないクルマの電動化の波。それにともない、内燃機関主流の時代では馴染みのなかったクルマ用語が、これまた次から次へと登場してきている。そんな中「ちょっと乗り遅れたかもしれない」と不安を感じたあなたのために、ベーシックな電動化モデル関連用語の解説を10回に分けてお届けする。連載第3回はバッテリーの性能を表す単位「kWh」についてだ。千里の道も一歩から!なのである。

使用できる電力量のことで、BEVの性能を表す単位

BEV(電気自動車)の性能を見る、重要な指針のひとつがバッテリー(電池)の容量だ。蓄えられる電力が大きいほど、より長い距離を走ることできるし、より多くのパワーを発することができる。電池の容量を示す単位はいろいろとあるが、EVには「電力量」を意味するkWh(キロ・ワット・アワー/キロ・ワット・時<じ>とも呼ぶ)を使うのが一般的だ。電力の量を示す単位だ。

kWhの「k(キロ)」と「W(ワット)」、そして「h(アワー)」の3つには、それぞれ意味がある。「k(キロ)」は1000の単位であることを示す。つまり「1kWh=1000Wh」だ。そして「W(ワット)」は電力の大きさを示す。電力(W)は電流(A:アンペア)と電圧(V:ボルト)を掛け合わせることで求められる。

つまり「W=A×V」。その瞬間に発生できる電気の力の大きさを示すものだ。そして、最後の「h(アワー)」は1時間を意味する。まとめると、1000を意味する「k(キロ)」、電力の大きさを示す「W(ワット)」、そして1時間の「h(アワー)」が「kWh(キロ・ワット・アワー)」だ。

その意味するところは「1000Wの電力を1時間の間、出力できること」となる。これを身近な家電に換算すると、「1kWh」は「500Wの電子レンジを2時間の間、動かし続けることのできる電力量」となる。

画像: デビュー間近の日産の新型BEV「アリア」のバッテリーは、65kWhと90kWhの2種類が用意される。

デビュー間近の日産の新型BEV「アリア」のバッテリーは、65kWhと90kWhの2種類が用意される。

また、一般家庭の1日に使う電力量は8~18kWh。1か月では250~300kWhほどになるという。日産のリーフが搭載する電池容量は最大で62kWhだから、一般家庭の3日半から1週間ほどを賄える計算だ。また、リーフで4~5回のフル充電を行うと、一般家庭1カ月分の電気使用量と同じになる。電気料金の目安に覚えておくと良いだろう。

ちなみに車載用の12Vの鉛バッテリーには、主にAh(アンペアー・アワー)の単位が使われる。これは、クルマに装備される電装品どの製品も12Vであるというのが前提にあるからだ。それに対して、EVのバッテリーは搭載されるモーターを駆動させる目的であるため、電圧はモデルによって異なる。だから「Wh」の単位を利用するのだ。(文:鈴木ケンイチ)

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