2021年5月23日、2021年F1第5戦モナコGPの決勝がモンテカルロの市街地サーキットで開催され、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが危なげない完璧な走りで優勝を飾った。混戦が予想された中で、どうしてここまで楽勝となったのか。フェルスタッペンのコメントとともに、レースを振り返ってみよう。

すべてがフェルスタッペン有利に展開

レースは開始直前に大きく動き出した。決勝スタートのグリッドにつくレコノサンスラップで、ポールポジションのシャルル・ルクレール(フェラーリ)のマシンにトラブルが発生。前日の予選で喫したクラッシュの影響もあったのか、ガレージに戻ったまま、グリッドにつくことなくリタイアとなってしまう。

これでフェルスタッペンは実質的なポールスタートとなる。そのスタートは緊張からかあまりよくなかったが、なんとかバルテリ・ボッタス(メルセデス)抑え込んで徐々にリードを広げていく。

幸運だったのは、20周目過ぎに2番手ボッタスのペースが落ちて、2位以降との差が大きく広がったこと。さらに、そのボッタスは30周目のピットインで右前のホイールが外れず大きくタイムロス、ここでリタイアとなってしまう。

これでフェルスタッペンは完全にレースをコントロールすることができる立場となった。

画像: スタートを決めてレースをコントロールしたフェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。

スタートを決めてレースをコントロールしたフェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。

ライバルのルイス・ハミルトン(メルセデス)は、ピエール・ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)に抑え込まれ、さらにその前に、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)、セバスチャン・ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)にも入られて、なんと7番手まで落ちてしまう。

これにより、フェルスタッペンが優勝でドライバーズランキングトップに浮上。ボッタスがリタイア、ハミルトンが7位に終わったことで、コンストラクターズ部門でもレッドブル・ホンダがトップに立つことになった。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「先頭でレースを開始することになり、自分の目の前のレースにフォーカスし、クリーンにスタートを切ることだけを心掛けました。あれだけ長い間、集中をしてレースをすべてをコントロールするのは簡単ではありません。レースを大きくリードしてリラックスしているときこそミスをしがちなので、自分自身に目の前の状況にフォーカスし続けるように言い聞かせていました。後ろにいたライバルがギャップを詰めようとしたときにはいつもすぐに反応してその差を維持できていたので、ペースは悪くなかったと思います。ここでは表彰台に上がったこともなかったのですが、初のポディウムが優勝となったので、過去のここでのレースが少し報われました。チャンピオンシップをリードしていますが、一番重要なのはタイトルなので、はしゃいでいるわけにはいきません」

画像: 今季2勝目をあげてドライバーズランキングトップに立った。

今季2勝目をあげてドライバーズランキングトップに立った。

チームメイトのセルジオ・ペレスもうまいレースをした。9番グリッドからスタートしたペレスは、序盤タイヤを温存しながら8番手で走行。上位陣がピットインするとペースを上げてリードを稼ぎ、遅らせたピットストップ後に4番手でコースに戻ることに成功した。その後、ペレスはさらに3番手のランド・ノリス(マクラーレン)に迫ったが、さすがにオーバーテイクには至らず表彰台はならなかった。

セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

「チームにとって最高の一日になりました。マックスの優勝がとてもうれしいです。彼は大きな仕事をやり遂げ、僕らは両方のチャンピオンシップをリードすることになりました。チームの戦略は素晴らしく、レース中のコミュニケーションも最高でした。タイヤをセーブして、必要なときに使ったことがカギでした。前方のマシンの前に出て4番手に上がるために、2〜3周は予選並みのラップをしました。ランド(ノリス)にかなり近づきましたが、明らかなチャンスはありませんでした。この先の長い戦いを見据えて、ポイント獲得がチームにとって重要だと考えました。土曜の苦戦のダメージを最小限に留めることができましたし、予選でのマシンにも自信が増しています。僕らは厳しい競争の中で勝利を争っていくことになるので、日曜のレースで結果が出せていることに満足しています」

画像: 4位に入ったセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)。決勝レースの戦い方をよく知っている。

4位に入ったセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)。決勝レースの戦い方をよく知っている。

なお、この勝利でホンダはF1通算80勝を達成。モナコGPでのホンダのパワーユニットの優勝は1992年のアイルトン・セナ以来、ホンダのパワーユニットを搭載するチームがチャンピオンシップ首位に立つのは1991年以来となる。

画像: モナコGPのタイヤ戦略。ピットストップのタイミングを少し遅らせるペレスの戦略は見事だった。

モナコGPのタイヤ戦略。ピットストップのタイミングを少し遅らせるペレスの戦略は見事だった。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「ポールポジションのルクレール選手がトラブルで出走できないなどの要因もありましたが、フェルスタッペン選手とレッドブルのマシン、ストラテジー、そしてホンダのパワーユニットがきちんと機能しました。ペレス選手も力強い走りを見せ、車の速さとチームの見事なストラテジーを活かしてスタートグリッドの9番手から大きくポジションを上げる4位でフィニッシュし、チームにとって大きな意味を持つポイントを獲得となりました。フェルスタッペン選手およびレッドブルとともにチャンピオンシップをリードする形となりましたが、まだまだここから長いシーズンが続きます。この先の戦いに向けてチームとともにさらにパフォーマンスを向上するため、全力を尽くして臨みます」とコメントしている。

次戦は1週のインターバルの後、6月4〜6日、第6戦アゼルバイジャンGPが開催される。フェルスタッペンとレッドブル・ホンダはモナコ優勝の勢いをつなげることができるか、楽しみだ。

2021年F1第5戦モナコGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)78周 
2位 55 C.サインツ(フェラーリ)+8.968s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+19.427s
4位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+20.490s
5位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+52.591s
6位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+53.896s
7位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+68.231s
8位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+1周
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+1周
10位 99 A.ジョビナッティ(アルファロメオ・フェラーリ)+1周
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16位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) +1周

2021年F1ドライバーズランキング(第5戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 105
2位 L.ハミルトン(メルセデス) 101
3位 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス) 56
4位 V.ボッタス(メルセデス) 47
5位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)44
6位 C.ルクレール(フェラーリ) 40
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9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)16
14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) 2

2021年コンストラクターズランキング(第5戦終了時)

1位 レッドブル・ホンダ 149
2位 メルセデス 148
3位 マクラーレン・メルセデス 80
4位 フェラーリ 78
5位 アストンマーティン・メルセデス 19
6位 アルファタウリ・ホンダ 18

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