フェラーリのFR、2+2クーペ、RHTである「ポルトフィーノM」は、従来のポルトフィーノからパフォーマンスが引き上げられるなど進化を遂げている。(Motor Magazine2021年7月号より)

ポルトフィーノMの「M」は進化を表す記号

これほど比較されるフェラーリも珍しいだろう。ポルトフィーノMは、従来のポルトフィーノや同じ2+2クーペ、V8ツインターボエンジン、FRのローマとどうしても比べてしまう。ちなみに「M」はモディファイを意味し、フェラーリでは、パフォーマンスを向上させたモデルに付けられる称号である。これまでも456M GTや575Mマラネロなどに使われている。

ポルトフィーノMは、従来同様に3.9L V8ツインターボエンジンを搭載するが、最高出力は、+20psの620ps/5750-7500rpm、最大トルクは760Nm/3000-5750rpmを発生、トランスミッションには、新設計の8速DCTが組み合わされる。従来は7速DCTだが、段数が増えているにもかかわらずトランスミッション単体は約6kgの軽量化を果たしている。

ポルトフィーノMの特徴は、オープンドライブを楽しめるリトラクタブル ハードトップ(RHT)を備えること。また従来との最大の違いは、マネッティーノに「Race」モードが追加され5モードになったことである。これはフェラーリのGTスパイダーとしては初めてだ。それだけ並外れたパフォーマンスを持ち、ドライビングプレジャーを最大限まで高めているということなのだろう。ぜひこのモードをサーキットでも試したいものである。

先進運転支援機能の採用も注目すべきポントだろう。具体的にはアダプティブクルーズコントロール(ACC)や緊急時の自動ブレーキ、レーンデパーチャーウォーニングなどが採用されている。

画像: ポルトフィーノM。全長4594mm、全幅1938mm、全高1318mm、ホイールベース2670mm(EU準拠)。

ポルトフィーノM。全長4594mm、全幅1938mm、全高1318mm、ホイールベース2670mm(EU準拠)。

神経質になることなく気軽に快適に街中を走れる

乗り込む前から気持ちは昂ぶっていたが、実際にハンドルを握ると実に刺激的だ。オープン時は、開放感に加えフェラーリのV8サウンドも堪能できる。試乗日はあいにく曇天だったが、それでも気持ち良くドライブが楽しめた。

乗り心地は、ローマと比べるとこちらの方がやさしく、よりコンフォートである。荒れた路面や道路の継ぎ目もまるで高級サルーンに乗っているかのように完璧にいなしてくれる。サスペンションが実にいい仕事をしているようだ。

フェラーリのターボエンジンの特徴である「ゼロターボラグ」も健在。まるで自然吸気のように一気に高回転まで回るエンジンは痛快のひと言だ。前後重量配分は50:50に近く、それも素晴らしいハンドリングを味わわせてくれた一因だろう。パフォーマンスには文句の付けどころがないし、クルマとの一体感も強い。これは毎日乗りたいフェラーリである。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行)

画像: 4年連続インターナショナルエンジンオブザイヤーに選ばれた、ポルトフィーノM搭載の3.9L V8ターボエンジンを搭載。

4年連続インターナショナルエンジンオブザイヤーに選ばれた、ポルトフィーノM搭載の3.9L V8ターボエンジンを搭載。

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