2021年6月27日に行われたF1第8戦シュタイアマルクGPでは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがポールからそのままリードを奪って快勝した。この結果だけを見れば単調なレースのように思えるが、タイヤ戦略をとおして見れば、興味深いことがみえてくる。

先にタイヤを痛めたハミルトンに打つ手なし

第8戦シュタイアマルクGPは週末を通して雨の予報が続き、チームはその対策に悩まされたが、レース終盤にかけて雨雲が近づいてきたものの、結局まとまった雨が降ることはなかった。

まずタイヤ戦略ではここが大きなポイントで、高温のドライコンディションが継続し、決勝スタート時の気温は31度、路面温度は47〜49度まで上がった。

画像: シュタイアマルクGPのタイヤ戦略。ミディアム→ハードのワンストップ戦略がベストと言われたが、チームによって戦略に大きな違いが生まれた。

シュタイアマルクGPのタイヤ戦略。ミディアム→ハードのワンストップ戦略がベストと言われたが、チームによって戦略に大きな違いが生まれた。

表彰台に上がった3人ともミディアムタイヤスタートであったことからもわかるように、ミディアムがベストなスタートタイヤで、トップ10グリッド以外のドライバーたちのほぼ全員がミディアムコンパウンドでスタートした。

気温が高くなったこともあり、第2スティントではハードコンパウンドが鍵を握るタイヤとなった。ただし、フェルスタッペンより1周早くハードタイヤに交換したハミルトンにはアンダーカットを狙う余裕はなく、フェルスタッペンは次の周に問題なくトップの座を守ったまま、同じようにタイヤ交換を済ませている。

上位3台は広いピットストップウィンドウを持つミディアムからハードタイヤの実質ワンストップとなったが(ハミルトンはファステストラップ更新のため1周だけソフトタイヤを使用)、戦略的な2ストップにも見どころがあった。

ソフトタイヤでスタートしたレッドブル・ホンダのセルジオ・ペレスは、1回目のピットストップで時間を要したためにメルセデスのバルテリ・ボッタスに抜かれ、残り17周時点でハードから再びミディアムへ交換する2回目のピットストップを行い、ボッタスをもう一歩まで追いつめた。

またフェラーリのシャルル・ルクレールは、スタート直後の接触で1周目にハードへ交換した後、一時最下位に後退しながら、ハード→ミディアムと繋いで、終盤ロングスティントでタイムの伸びないライバルをかわして、7位を獲得している。

タイヤを供給するピレリは「トップ10グリッド以外のドライバーたちのほぼ全員がミディアムコンパウンドでスタートした結果、スタート時の戦略が大きく分かれ、レース中も戦略に大きな違いが生まれ、最終的にはトップ5で4つの異なる戦略が採用されました。今週末のオーストリアGPでは、よりソフトなタイヤを供給します。異なるタイヤコンパウンドを供給することで、どんな展開になるでしょう」とコメントしている。

次戦第9戦オーストリアGPは、7月4日、第8戦と同じサーキットのレッドブルリンクで開催される。

画像: 2番手のハミルトンに大差をつけたフェルスタッペン。2ストップのチャンスも与えなかった。

2番手のハミルトンに大差をつけたフェルスタッペン。2ストップのチャンスも与えなかった。

2021年F1第8戦シュタイアマルクGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)71周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+35.743s
3位 77 V.ボッタス(メルセデス)+46.907s
4位11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+47.434s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+1周
6位 55 C.サインツ(フェラーリ)+1周
7位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+1周
8位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+1周
9位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+1周
10位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周
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リタイア P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)

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