2021年7月4日に行われたF1第9戦オーストリアGP決勝で、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが他を寄せ付けない圧巻の走りを見せた。これほどの完璧なレースはめったに見ることができない。

1988年のホンダの黄金時代の再来か

フェルスタッペンの走りは見事というしかなかった。

フェルスタッペンはポールポジションから難なく首位を堅持すると、そのままリードを広げ、32周目にピットインしてミディアムタイヤからハードタイヤに交換しても首位の座を脅かされることもなく、さらにリードを拡大していった。

そして残り11周には、2度目のピットインをする余裕を見せて、新品のハードタイヤに交換。ファステストラップをさらに更新しつつ、後続に17.9秒の大差をつけてチェッカーフラッグを受けた。そのファステストラップは、2番手に1.5秒以上の差をつける、とんでもないタイムだった。

このレースでフェルスタッペンは、ポールポジション、優勝、ファステストラップ、全ラップリーダーという「グランドスラム」を達成。メルセデスをはじめとする、ライバルたちはなにもすることができなかった。

オーストリアGPでの勝利はホンダとしてはF1通算84勝目であり、11連勝を挙げた1988年以来の5連勝となった。これでチャンピオンシップでのリードも拡大し、ドライバーズ部門ではフェルスタッペンが32ポイント差、コンストラクターズ部門でレッドブル・ホンダが44ポイント差をつけて首位に立っている。

なおレース後の表彰台には、2019年のオーストリアGPと同様に、田辺豊治テクニカルディレクターが登壇。壇上のフェルスタッペン選手や、スタンドをオレンジに染めたフェルスタッペン選手の応援団とともに喜びを分かち合った。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「ホームのレッドブルリンクで再び勝利できて最高の気分です。いい戦いができるとは予想していましたが、ここまでとは思っておらず、マシンはまるでレール上を走っているようでした。どのタイヤコンパウンドでも素晴らしいペースでした。プッシュすることができましたし、タイヤのケアも思い通りで、1周ごとに差を広げていけました。どんな言葉で表せばいいのか分からないほど、ドライビングが楽しめましたし、レースウイークもベストな形で進んだので、これを続けられるように願っています。チームのみんなが最高の形で報われたと思いますし、田辺さんがポディウムに立ったこともとてもよかったです。また、グランドスタンドがオレンジ色で染まる光景と、サーキットに人が戻ってきてF1を楽しむ姿を見られたのは素晴らしいことです。次のシルバーストーンでは、普段と異なるスプリントレースが行われるのも面白くなるはずです」

画像: 3連勝で今季5勝目をあげたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。次戦はレッドブルレーシングの地元、シルバーストーンが舞台となる。

3連勝で今季5勝目をあげたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。次戦はレッドブルレーシングの地元、シルバーストーンが舞台となる。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「ポールポジションからスタートしたフェルスタッペン選手は、先週に続いて完璧にレースをコントロール下に置き、ホームレースで連勝という、また一つ記憶に残る勝利を挙げてくれました。いつもながら素晴らしいパフォーマンスだったと思います。フランスGPからの3連戦を終え、次戦はホンダ、レッドブルレーシングが拠点を置く、英国シルバーストーンでのレースになります。ここまでのいい流れを維持して、また十分に準備をして臨みたいと思います」とコメント。

画像: レース後の表彰台には、2019年のオーストリアGPと同様に、田辺豊治テクニカルディレクターが登壇。

レース後の表彰台には、2019年のオーストリアGPと同様に、田辺豊治テクニカルディレクターが登壇。

タイヤを供給するピレリは「気温は土曜日よりも低く、気温24度、路面温度32度のコンディションでレースはスタートしました。1ストップはパフォーマンスを維持するために細心のタイヤ管理を必要としますが、フェルスタッペンは完璧なレースを展開し、快調なペースでリードを失うことなく、完璧な2ストップ戦略も成功させました。オーストリアでの2連戦に異なるコンパウンドのタイヤを供給したことで、異なるレースをもたらしたことを嬉しく思います。今日のレースは非常に速いペースとなりました」とレースを振り返っている。

画像: オーストリアGPの各ドライバーのタイヤ戦略。フェルスタッペンは結果的に2ストップとなった。

オーストリアGPの各ドライバーのタイヤ戦略。フェルスタッペンは結果的に2ストップとなった。

次戦となるは2021年F1第9戦イギリスGPは、2週間後の7月18日に決勝を迎える。スプリントレース形式の予選が実施されるなど話題も多いが、高速サーキットと言われるシルバーストンでフェルスタッペンがどんな走りを見せるか、連勝記録をどこまで伸ばすか注目される。

2021年F1第9戦オーストリアGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)71周
2位 77 V.ボッタス(メルセデス)+17.973s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+20.019s
4位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+46.452s
5位 55 C.サインツ(フェラーリ)+57.144s
6位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+57.915s
7位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+60.935s
8位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+61.195s
9位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+61.844s
10位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+1周
・・・・・・・・・・
12位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周

2021年F1ドライバーズランキング(第9戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 182
2位 L.ハミルトン(メルセデス) 150
3位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)104
4位 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス) 101
5位 V.ボッタス(メルセデス) 92
6位 C.ルクレール(フェラーリ) 62
・・・・・・・・・・
9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)39
14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)9

2021年F1コンストラクターズランキング(第9戦終了時)

1位 レッドブル・ホンダ 286
2位 メルセデス 242
3位 マクラーレン・メルセデス 141
4位 フェラーリ 122
5位 アルファタウリ・ホンダ 48
6位 アストンマーティン・メルセデス 44

This article is a sponsored article by
''.