2021年7月16日金曜日、F1第10戦イギリスGPがシルバーストンサーキットで開幕する。モナコから続くレッドブル・ホンダの5連勝、フランスからの3連戦でのマックス・フェルスタッペンの3連勝で迎えるイギリスGPは、シリーズの今後の行方を巡る重要な1戦となる。フェルスタッペンがこのまま独走状態を築くのか、それともルイス・ハミルトンが得意の母国GPで反撃を開始するのか。

試験的に行われる「スプリント予選」でグランプリはどう変わる

イギリスGPの注目は、まずF1史上初めて「スプリント予選」レースが行われること。

金曜日の午後、これまでフリー走行2回目が行われていた時間に予選を行い、その順位をもとに土曜日の午後にスプリント予選を行ない、決勝のスターティンググリッドを決める。

通常のグランプリとは異なり予選ではソフトタイヤのみが使われ、スプリント予選でのタイヤは自由に選択できる。またスプリント予選の順位にかかわらず、決勝レースのスタートタイヤは全員が自由に選択できる。

一部には「これでは決勝レースに備えてスプリント予選では激しいバトルが展開されないのでは」と危惧する声もあるが、このスプリント予選をトップ3でフィニッシュしたドライバーにはそれぞれ3、2、1のポイントが与えられ、スプリント予選後のマシンの修復は可能という特別ルールも加えられている。

スプリント予選で優勝したドライバーが正式なポールシッターとなり、その順位により、決勝のスターティンググリッドが決まる。今回試験的に行われるが、今シーズンは3戦で実施されることになっている。スプリント予選の周回距離は100kmが目安で、今回のイギリスGPのシルバーストンでは17周で行われる。

今回行われる新しいレースフォーマットはレース結果に大きな影響を与えることになりそうだが、とくにスプリント予選も決勝もスタートタイヤを自由に選択できること、金曜の予選開始時からパルクフェルメが適用されることで、レースがどう変わるのか興味深い。

金曜の午後に予選、土曜にスプリント予選、そして日曜に決勝レースが実施されることで、すべての開催日で順位を争うセッションが行われることになり、エキサイティングな週末になるのは間違いない。

平坦な高速コースだが低中速コーナー攻略がポイントに

イギリスGPが開催されるシルバーストンサーキットの特徴を確認しておこう。

シルバーストンは元イギリス空軍の飛行場跡地に建設されたサーキットで、平坦で直線部分が長いことが特徴。マゴッツ、ベケッツ、チャペルと続く高速コーナーが有名だが、最新のF1マシンにとってこれらはもはやフラットアウトで通過する「ほぼ直線」となっており、それだけにタイヤに負担のかかる、そしてパワーが要求されるコースとなっている。

画像: シルバーストンサーキットのコース図。元イギリス空軍の飛行場跡地に建設されたサーキットで、長い直線に低中速コーナーを組み合わせたレイアウト。平坦であることも大きな特徴。

シルバーストンサーキットのコース図。元イギリス空軍の飛行場跡地に建設されたサーキットで、長い直線に低中速コーナーを組み合わせたレイアウト。平坦であることも大きな特徴。

シルバーストンは「高速サーキット」として知られているが、コース改修によって低中速コーナーも設けられているため、高速セッティングのマシンでそこをどう攻略するかも課題となる。さらに問題はイギリス特有の気まぐれな天候で、これがしばしばレースを混乱させる。また暑さがタイヤに与える影響も懸念される。

昨年はシルバーストンで第4戦イギリスGPと第5戦70周年記念GPの2戦が行われたが、いずれもタイヤが大きなポイントとなった。

第4戦イギリスGPでは終盤までメルセデスの2台がリードしていたが、残り2周、2番手のバルテリ・ボッタスが左フロントタイヤをバーストさせてスローダウン。最終ラップには首位独走のハミルトンも左フロントタイヤをバーストさせてしまったが、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが直前にタイヤ交換を行っていたため、半周以上をスロー走行することになったハミルトンがなんとか逃げ切った。

続く第5戦70周年記念GPでは、予選トップ10の中では唯一ハードタイヤでのスタートなったフェルスタッペンが、レース序盤から見事なタイヤマネージメントを披露して優勝。ミディアムタイヤを履いてスタートでは先行したメルセデスの2台はブリスターに悩ませてペースが上がらず、開幕からの連勝がここでストップした。

【参考】2020年 F1第4戦イギリスGP 結果

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)52周 
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +5.856s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +18.474s
4位 3 D.リカルド(ルノー) +19.650s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) +22.277s
6位 31 E.オコン(ルノー) +26.937s
7位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) +31.188s
8位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) +32.670s
9位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス) +37.311s
10位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) +41.857s

【参考】2020年 F1第5戦70周年記念GP 決勝結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)52周 
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) +11.326s
3位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) +19.231s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +29.289s
5位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) +39.146s
6位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス)+42.538s
7位 27 N.ヒュルケンベルグ (レーシングポイント・メルセデス)+55.951s
8位 31 E.オコン(ルノー) +64.773s
9位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+65.544s
10位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ) +69.669s
11位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) +70.642s

タイヤを供給するピレリは「今週末のポイントはスプリント予選が導入されることです。これにより、レースのダイナミズムが大きく変わります。ノミネートされたタイヤは昨年のイギリスGP(2020年のシルバーストンの最初のレース)と同じもっとも硬いコンパウンドの3種類となりますが、スプリント予選を開催することもあり割り当てが通常とは異なります。金曜日の予選ではソフトタイヤのみを使用、土曜日のスプリント予選では、ドライバーはピットストップの義務はなくタイヤを自由に選択できます。 日曜日の決勝のタイヤは、すべてのドライバーがスタート用のタイヤを自由に選択できることを除けば、変更されていません。シルバーストンは、高速、高エネルギーのサーキットとして有名で、とくに有名なマゴッツとベケッツはタイヤに大きなGがかかるため、タイヤ管理が常に不可欠です。もう1つの重要な要素は、もちろん英国の天候です。 今年のこの時期に変動することで有名です」と分析している。

F1第10戦イギリスGPは、7月16日金曜日14時30分(日本時間22時30分)からのフリー走行1回目で幕を開ける。予選は7月16日18時(日本時間7月17日02時)、スプリント予選(17周)は7月17日16時30分(日本時間7月18日0時30分)、決勝は7月18日15時(日本時間23時)に開始される。

2021年F1第10戦イギリスGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:7月16日14時30分〜15時30分(日本時間22時30分〜23時30分)
予選::7月16日18時〜19時(日本時間7月17日02時〜03時)
フリー走行2回目:7月17日12時〜13時(日本時間20時〜21時)
スプリント予選(17周):7月17日16時30分〜17時(日本時間7月18日0時30分〜01時)
決勝(52周):7月18日15時〜(日本時間23時〜)

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