2008年に2度目のマイナーチェンジが施された2代目アウディA8。Motor Magazine誌ではアウディ特集の中で、その試乗をとおして「アウディが求める理想」とはなにかを探っている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年4月号より)

高い完成度と先進的な考え方で独自の世界を築いているA8

アウディの理想が象徴されているモデル、それがラインアップの頂点に位置する「A8」というモデルである。現行モデルはA8として2代目にあたり、その本国デビューは2002年。日本では翌年2003年の10月に発表されており、2004年1月から導入が開始された。

本国ではその登場からすでに7年目を迎えて、最近では次期型A8の話題も聞こえてくるようになった。しかし今回、その最上級モデルであるA8 L 6.0クワトロのハンドルを握ってみて改めて驚かされた。A8の高い完成度と先進的な考え方は、同クラスの最新ライバルモデルと比較してみても、いまなお十分に個性的な存在であり、依然として他車では味わえない独自の世界をしっかりと築いているのだ。

市販モデルとして採用されたオールアルミボディ構造のASF(アウディスペースフレーム)の歴史は、1994年登場の初代A8から始まっている。この、軽量でありながら強固なボディ構造を実現するASFのおかげで、12気筒エンジンと高い安心感を生み出すクワトロシステム、そして最上級の装備を備えた5150mmという長大なボディを有するA8 L 6.0クワトロの車重が2100kgという値に収められている。これは非常に大きな特徴だといえる。

どこからアクセルペダルを踏んでも、瞬時に分厚いトルクが湧き出てくるという豊かさ。厳選された素材を用いて、細部に至るまで入念に作り込まれたインテリアが醸し出す上質な雰囲気。ショーファードリブンとしての需要が高いモデルであるにもかかわらず、ドライバーズカーとしての気持ちよさも備えるハンドリング。登場以来、きめ細かな熟成が重ねられてきたこともあって、そのパフォーマンスはいまなお十分に魅力的だと思えた。

「最もスポーティなラグジュリーサルーン」という商品コンセプトとともに現行型A8は登場した。専用設計の構造や素材、部品が惜しみなく採り入れてまとめられたモデルだけに、その特別さはアウディサルーンの中でも随一である。

現在、日本では3.2FSIクワトロ(932.0万円)、4.2FSIクワトロ(1104.0万円)、L 4.2FSIクワトロ(1233.0万円)、L 6.0クワトロ(1787.0万円)の4モデルが用意される。また5.2FSIのV10エンジンを搭載するS8(1510.0万円)もラインアップされている。

ちなみに、マルチメディアインフォメーションシステムの「MMI」が初搭載されたのは2代目A8からであり、市販モデルとしてシングルフレームグリルが最初に採用されたのは、現行型のA8 L 6.0クワトロからである。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁 / 写真:永元秀和)

画像: ブランドにおけるトップモデルらしく、細部に至るまで入念に作り込まれたインテリア。

ブランドにおけるトップモデルらしく、細部に至るまで入念に作り込まれたインテリア。

アウディ A8 L 6.0 クワトロ 主要諸元

●全長×全幅×全高:5185×1895×1450mm
●ホイールベース:3075mm
●車両重量:2100kg
●エンジン:W12DOHC
●排気量:5998cc
●最高出力:331kW(450ps)/6200rpm
●最大トルク:580Nm/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・90L
●10・15モード燃費:6.1km/L
●タイヤサイズ:255/40R19
●車両価格:1787万円(2009年当時)

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