初のBEV専用アーキテクチャーの採用で実現した圧倒的な完成度。「最善か無か」というメルセデス・ベンツの哲学に基づいて完成された次世代高級車の先進性を、スイスで開催された試乗会で確認した。(Motor Magazine2021年10月号より)

BEV専用プラットフォーム「EVA II」を採用

メルセデスEQSは、今後のEQブランドの方向性を決定づける重要なモデルである。これまで市場に送り込んできた4台のBEV(EQC、EQV、EQA、EQB)は、既存のメルセデス・ベンツプラットフォームをコンバートしたものであった。しかし、EQSは新たにBEV専用モジュールアーキテクチャー「EVA II」をベースにしている。さらに最新の高密度バッテリー(107.8kWh)によって、WLTPで780kmの航続距離をも実現した。

このラグジュアリーセダンは、内燃機関を搭載したSクラスに代わり、ゼロエミッションモデルを求めるまったく新しいユーザーを想定している。それゆえに、想定するライバルは、今後登場するアウディのグランドスフィアやBMW i7のようなジャーマンハイエンドBEVサルーンだ。

スイスで開催された試乗会に現れたEQSは、ワンモーションラインを採用したリフトバックボディ。キャビンフォワード、すなわちショートボンネットのプロポーションである。

画像: エアマティックサスペンションには速度に応じて自動的に車高を調整する機能もある。

エアマティックサスペンションには速度に応じて自動的に車高を調整する機能もある。

主に試乗したのはEQS580の4マティックだ。全長5216mm、全幅1926mm、全高1512mmとメルセデス・ベンツSクラスよりも37mm長く、28mm狭く、9mm低い。またホイールベースは3210mmと106mmも長い。Cd値は0.20と驚異的な空力性能を誇る。

前後のシンクロナスモーターが発生するシステム出力は385kW(523ps)、最大トルクは855Nmを発生。0→100km/h加速は4.3秒、最高速度は210km/hに到達する。

車内に乗り込むとまず幅1.4mのハイパースクリーンが目前に広がり圧倒される。あまりに未来的な雰囲気のそれはオプションで、通常は、Sクラスと同様のコンベンショナルなインストルメントパネルとなっている。このスクリーンは8コア・プロセッサーと24ギガバイトのRAMを搭載しているので操作のレスポンスも素晴らしい。ただし、本来は周囲の明るさに自動反応するはずだが、Sクラスと同じように入射光が映り込むのは要改善だ。

搭載されるは最新のMBUXでタッチ操作、あるいは「ヘイ、メルセデス!」で入力可能である。後者では操作系に関わる質問、たとえば搭載されたADASのスイッチの場所を聞くことも可能だ。また少々アクセントの怪しい英語の入力でも応えてくれた。

This article is a sponsored article by
''.