2021年9月26日に行われたF1第15戦ロシアGP決勝は、レース最終盤での降雨により波乱が巻き起こり、最後尾の20番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが2位表彰台を果たした。激戦となったロシアGPを振り返る。

雨も味方につけて、2位表彰台を獲得

パワーユニット交換のため最後尾20番手スタートとなったフェルスタッペンは、ハードタイヤでレースをスタートし、5周目、前を行くバルテリ・ボッタス(メルセデス)をターン12で鮮やかにオーバーテイク。さらにその前方のピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)もとらえるなど、序盤で13番手まで順位を上げる。

フェルスタッペンはその後も、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、セバスチャン・ヴェッテル(アストンマーティン)を次々と交わし、13周目を終えて8番手に。

このあたりからピットインを行うマシンが増え、15周目には6番手にポジションアップ。レースが折り返しを迎える頃、トラフィックの中でタイヤの状態が悪くなってきたため、26周目にミディアムタイヤへと交換する。

ミディアムタイヤでロングスティントの戦略に出たフェルスタッペンは、ペースをコントロールしながら7番手のポジションをキープして、終盤、ポイント獲得を確実なものとしていた。

さすがにこれ以上のリザルトは無理かと思われたが、残り5周を切ったところで降り出してきた雨で様相は一変する。フェルスタッペンはホンダ勢の中で最初にインターミディエイトタイヤへと交換。この早めの判断が功を奏し、他車のピットインを尻目に大きく順位を上げ、最終ラップを目前にして3番手に浮上する。

ここで、それまでレースをリードしていたランド・ノリス(マクラーレン)がようやくインターミディエイトタイヤに交換。これでフェルスタッペンはついに2位となってチェッカーフラッグを受けた。

画像: 素早くインターミディエイトタイヤに交換できたのは、追いかける立場であったことも大きい。膠着状態の7番手だったことも積極的な戦略に出られた要因だろう。

素早くインターミディエイトタイヤに交換できたのは、追いかける立場であったことも大きい。膠着状態の7番手だったことも積極的な戦略に出られた要因だろう。

優勝をメルセデスのルイス・ハミルトンに奪われ、ポイントリーダーの座も譲ることになったものの、ハミルトンとのポイント差はわずか2点にとどめた。パワーユニット交換でのペナルティを考えると上々の結果と言って良いだろう。

レース後、フェルスタッペンは「素晴らしい結果になりました。最後尾からの2位フィニッシュという好結果で、今朝目が覚めたときにはこんな結末は予想していませんでした。今回はペナルティを受けていたレースでしたが、チームの努力もあって、ポイントを大きくは失わずにすみました。インターミディエイトへの交換が勝負を決めましたが、路面は非常に滑りやすくなっていたので、タイミングの判断は素晴らしく、一番適切なラップでピットに入ることができました。最後尾からのスタートでは、1周目の混乱や他車とのバトルの中で様々なことが起こり得ますが、トラブルに巻き込まれずクリーンな展開で、レースをとても上手くマネージメントできました。レース自体は簡単にはいかず、他のマシンを抜くのは難しかったですし、前に詰まるとタイヤを傷めやすくなってしまいましたが、幸運なことに最後の雨にも助けられてジャンプアップを果たせました」と語っている。

画像: パワーユニット交換のペナルティで苦戦を覚悟してのぞんだロシアGPで2位。フェルスタッペンにとってチャンピオン争いを展開する上でも大きい。

パワーユニット交換のペナルティで苦戦を覚悟してのぞんだロシアGPで2位。フェルスタッペンにとってチャンピオン争いを展開する上でも大きい。

なお、8番グリッドからスタートしたセルジオ・ペレスは、うまくスタートタイヤをマネージメントして、雨で大きくポジションが動き出すまでは表彰台も可能なレースを見せたが、雨脚が予想より強まったことでポジションを落とし、9位という結果に終わった。

アルファタウリ・ホンダの2台はレース中、終始DRSトレインの中での走行を強いられて思うようにポジションアップができず、ガスリーは終盤の雨の中、スリックタイヤでステイアウトすることでポイント獲得を狙ったが、結局ピットインせざるを得ずに13位に終わった。

角田裕毅はさらに攻撃的な戦略に出て、ライバルがインターミディエイトタイヤに交換するタイミングでソフトタイヤに交換。一発逆転のギャンブルに出たが失敗、雨足が強まったために2周後に再度ピットストップを行い、17位でレースを終えている。

タイヤを供給するピレリは「最後にドライコンディションとなった予選とは逆に、決勝では最後の数週のウエットコンディションでレースが決まりました。ハードタイヤの耐摩耗性はコンディションに非常によく適合して35周を超える長いスティントがあり、ミディアムタイヤもノリスが28周を走行しました。 しかし、最終的にはインターミディエイトタイヤの選択のタイミングが違いを生み、最終的に重要なときに最大のパフォーマンスを引き出すことができたチームの勝利となりました」と振り返る。

画像: ロシアGPのタイヤ戦略。残り5周でレースが大きく動いたのはこのデータからもわかる。

ロシアGPのタイヤ戦略。残り5周でレースが大きく動いたのはこのデータからもわかる。

2021年のF1シーズンも残り7戦、フェルスタッペンは2ポイント差で第16戦トルコGP(10月8日~10月10日)を迎える。

2021年 F1 第15戦 ロシアGP決勝 結果

1位 44 L.ハミルトン(メルセデス)53周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+53.271s
3位 55 C.サインツ(フェラーリ)+62.475s
4位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+65.607s
5位 77 V.ボッタス(メルセデス)+67.533s
6位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+81.321s
7位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+87.224s
8位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ)+88.955s
9位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+90.076
10位 63 G.ラッセル(ウイリアムズ・メルセデス)+100.551s
・・・・・・・・・・・・・
13位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)+1周
17位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周

2021年 F1ドライバーズランキング(第15戦終了時)

1位 L.ハミルトン(メルセデス)246.5
2位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)244.5
3位 V.ボッタス(メルセデス)151
4位 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス)139
5位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)120
6位 C.サインツ(フェラーリ)112.5
7位 C.ルクレール(フェラーリ)104
8位 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)95
9位 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)66
・・・・・・・・・
14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)18

2021年 F1コンストラクターズランキング(第15戦終了時)

1位 メルセデス 397.5
2位 レッドブル・ホンダ 364.5
3位 マクラーレン・メルセデス 234
4位 フェラーリ 216.5
5位 アルピーヌ・ルノー 103
6位 アルファタウリ・ホンダ 84

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