2021年10月15日から17日にかけて、WRC(世界ラリー選手権)第11戦ラリー・スペインが開催される。前戦ラリー・フィンランドではエルフィン・エバンス(トヨタ)が優勝、ドライバー選手権のリーダーのセバスチャン・オジェ(トヨタ)が5位に入り、ドライバーチャンピオン争いはオジェとエバンスのふたりに絞られた。2021年のラリー・スペインはどんな戦いとなるのだろうか。

2021年は再びオールターマックラリーとして開催

2年ぶりの開催となるラリー・スペインは、スペイン北東部のコスタ・ドラダ(黄金海岸)のビーチリゾート、サロウを中心に行われる。ラリー・スペインはもともと、ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)の両路面を走行する「ミックスサーフェスラリー」としてスタートし、オールターマックラリーに姿を変えた後、前回の2019年まで10大会連続でミックスサーフェスラリーとして行われてきた。そして、2021年は再びオールターマックラリーとなり、新たなるスタートを切ることになった。

今シーズンのWRCも、ラリー・スペイン、次戦のラリー・モンツァ(イタリア)と2戦を残すのみとなったが、いずれもターマックラリーであることがタイトル争いに大きな影響を与えることになりそうだ。

ドライバー選手権のタイトル争いは首位のオジェと、前戦ラリー・フィンランドで優勝した2位エバンスのふたりに絞られているが、オジェは過去にラリー・スペインで3勝しており、オジェ有利を見られている。ただ、不利な立場にあるとはいえエバンスにも初タイトル獲得のチャンスは残されており、ラリー・スペインの結果が重要となる。ちなみに両者の差は24ポイントもあり、結果次第ではスペインでオジェの8度目となるワールドチャンピオンが決まる。

マニュファクチャラー選手権では、トヨタがヒュンダイを61ポイントリードしており、今回のスペインでは最大52ポイントを得られるため、2018年以来2回目となるマニュファクチャラーズタイトルが決まる可能性も高い。

2021年 WRC ドライバーズランキング(第10戦終了時)

1位 S.オジェ(トヨタ)190
2位 E.エバンス(トヨタ)166
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ)130
4位 K.ロバンペラ(トヨタ)129
5位 O.タナック(ヒュンダイ)128
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7位 勝田貴元(トヨタ)68

2021年 WRC マニュファクチャラーズランキング(第10戦終了時)

1位 トヨタ 441
2位 ヒュンダイ 380
3位 Mスポーツ フォード 172

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのヤリ-マティ・ラトバラ代表は「今年のラリー・スペインは昔のようにオールターマックラリーとして開催されます。スペインのターマックステージはWRCの中で最高ですし、選手権をリードしている我々のドライバーたちが、初日にグラベルロードを走らなくて済み、路面を覆うルーズグラベルの掃除をしなくていいのも助かります。ドライバーズタイトルを獲得できるのが、トヨタのドライバーだけに絞られたのは私たちにとって非常にエキサイティングなことですが、チームとしての最大の目標は、もちろんマニュファクチャラーズタイトルを獲得するために、できるだけ多くのポイントを獲得することです」とコメント。

ドライバー選手権でトップを走るセバスチャン・オジェは 「ラリーの3日間が全てターマックで行われるのは歓迎です。また、今シーズン多くのラリーで強いられてきた、初日にルーズグラベルを掃除する作業が必要がないのも、私たちにとってはいいことです。チャンピオンシップに向けてまだ有利な位置にいます。優勝できるチャンスがあるのならば、そのために戦いますし、それが私たちの目標を達成するための最もシンプルな方法でもあります」、チャンピオン争いを繰り広げるエバンスは「ドライバーズタイトル争いに関しては厳しい状況にありますが、スペインでもう一度ベストを尽くし最高の結果を出したいと思ってます。スペインのターマックステージは本当に素晴らしいので、今回はオールターマックのイベントに出場できるのがとても楽しみです。スペインのグリップの高いターマックステージを走るのが楽しみです。とはいえ、この時期スペインであっても天候に恵まれドライコンディションになるとは限りません。もし雨が降ったとしたら、以前のラリーのように非常にトリッキーで難しいイベントになる可能性があります」と語っている。

画像: ドライバータイトル争いをリードするセバスチャン・オジェ(トヨタ)。8度目のタイトルに向けて視界は良好。

ドライバータイトル争いをリードするセバスチャン・オジェ(トヨタ)。8度目のタイトルに向けて視界は良好。

画像: ドライバータイトルの可能性を残すエルフィン・エバンス(トヨタ)。前戦ラリー・フィンランドで優勝、まだまだ諦めていない。

ドライバータイトルの可能性を残すエルフィン・エバンス(トヨタ)。前戦ラリー・フィンランドで優勝、まだまだ諦めていない。

スペイン北東部、タラトガの近くのサロウを起点に開催

2021年のラリー・スペインは、10月14日木曜日の午前中にシェイクダウンが行われ、15日金曜日の朝から競技がスタート。

初日はサービスパークの西北エリアで、3本のスペシャルステージ(ヴィラプラナ、ラ・グラナデーヤ、リバ-ロハ)をサービスを挟んで各2回走行。2日目の16日土曜日は、サービスパークの東北エリアでサヴァラ、ケロル-レス・ポブレス、エル・モンメルという2019年大会でも使われた定番の3本のステージを、日中のサービスを挟んで各2回走行。この日の最後には、サロウの海岸近くで全長2.24kmの市街地ステージが行なわれる。

最終日17日日曜日は、サービスパークの西側エリアでサンタ・マリナと、リウデカニエスという、伝統ある人気ステージをサービスを挟んで各2回走行。最終ステージとなるリウデカニエスの2本目は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。

スペシャルステージは全部で17本、その合計距離は280.46km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1410.29kmとなる。

画像: ラリー・スペインのコースマップ。一部が過去に使われたステージと重なるが、オールターマックとなる今回は基本的には新しいステージ。グリップの高い路面が特徴だが、雨が降ると滑りやすくなる。

ラリー・スペインのコースマップ。一部が過去に使われたステージと重なるが、オールターマックとなる今回は基本的には新しいステージ。グリップの高い路面が特徴だが、雨が降ると滑りやすくなる。

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