2021年10月27日、ジャガー・ランドローバーはイギリス本国で新型レンジローバーを発表した。50年以上に渡って常に、ラグジュアリーSUVセグメントをリードし続けてきたレンジローバー。その根源となるのは開発者曰く「息を飲むほどのモダニティ、比類なき先進性、最高峰の走破能力」だという。そして第5世代となる新型レンジローバーもまた、それぞれに革新を遂げている。まずはそのグローバル仕様で全貌を検証するとともに、日本導入仕様についても解説しよう。

息を飲むほどのモダニティ【エクステリア編】

画像: 格納式のドアノブなど、フラッシュサーフェスを徹底。余計なプレスラインも廃されている。

格納式のドアノブなど、フラッシュサーフェスを徹底。余計なプレスラインも廃されている。

Modernity・・・直訳すれば近代性、現代性といったところだろうか。先進性を印象付けるデザインの妙、それは同時に空力性能や操作性といった機能美も兼ね備えている。極めれば快適性、安全性にも配慮しなければ「近代的」な進化とは言えない。そのひとつのキーワードと言えそうなのが、「シームレス(継ぎ目がない、途切れがない)」という概念だろう。

たとえば「モダンラグジュアリー」を謳うエクステリアデザインは、凹凸を極限まで配したもの。2017年にデビューしたレンジローバー ヴェラールに始まる「Reductionism(還元主義)」が、さらに洗練された印象だ。溶接されたルーフジョイント、目立たないように配されたウエストレールフィニッシャーなどが、まるで金属の塊から削り出した彫刻のような独特の立体感と重厚感を生んでいる。

水平方向への伸びやかさを強調するウエストライン、向上に向かってなだらかなRを持たせたルーフラインと短いフロントオーバーハングが、大きさを感じさせない躍動感を表現する。同時にシンプルながら気品を感じさせるフロントマスク、直立気味のウインドウ類、ボートテールを思わせるテーパー形状のリア部分の処理などは、強い存在感を演出・・・こうしたデザインの手法は、伝統的なレンジローバー・デザインのお作法に則ったものだ。

息を飲むほどのモダニティ【インテリア編】

画像: クリーン&スマートな印象に生まれ変わったインテリア。大画面のディスプレイは、曲面タイプとなる。

クリーン&スマートな印象に生まれ変わったインテリア。大画面のディスプレイは、曲面タイプとなる。

インテリアもまた、デジタル化にともなって非常にシンプルでクリーンなデザインへと進化している。センターコンソール上に浮かぶように取り付けられた13.1インチの曲面型タッチ式ディスプレイなど、先進性と洗練感が見事に調和している。

スタイリッシュなハンドル越しには、13.7インチのインタラクティブドライバーディスプレイを装備。ナビ画面を含め、多彩な情報を表示することができる。独自のインフォテインメントシステムPivi Proなど、デザインも機能もシームレスにドライバーとクルマをつないでくれそうだ。

快適性を高める革新技術のひとつが、第3世代となるアクティブ・ノイズ・キャンセレーションシステム(ヘッドレストスピーカーを採用)を備えたMERIDIANシグネチャーサウンドシステムだろう。空気清浄システムにはデュアル「ナノイーX」テクノロジーを採用、アレルゲン低減とウイルス除去など「今どきだからこそ欲しい」機能がありがたい。

比類なき先進性を強く感じさせる電動化の徹底

画像: 日本導入が期待されるプラグインハイブリッドモデル。V8を除いて、電動化されている。

日本導入が期待されるプラグインハイブリッドモデル。V8を除いて、電動化されている。

新型レンジローバーから採用が始まった「MLA-Flex」アーキテクチャーは、電動化への取り組みを加速させるものだ。ガソリンエンジンと組み合わせたマイルドハイブリッド(MHEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)、および100%電気駆動のフルバッテリー電気自動車(BEV)に対応することができる。

PHEVのパワートレーンは二酸化炭素(CO2)の排出量を30g/km未満に抑制。「EVモード」での最大航続距離は100km(WLTP値)に達しているという。実航続距離は最大80kmを謳っており、一般的な「RANGE ROVER」ユーザーの1回の移動距離の75%を電力だけで走行できるほどの実用性を備えているという。おそらくは、抜群にシームレスな加速感を体感できるだろう。

BEVは、ブランド史上初の展開となる。2030年までに全モデルに設定する戦略を公表しているが、その行方を占ううえでも重要な役割を担っているのだ。

最高峰の走破能力を支えるICC。取り回しはランドローバー史上最小

画像: 先進の電子制御によって、ハンドリング、乗り心地などを統合制御する。

先進の電子制御によって、ハンドリング、乗り心地などを統合制御する。

レンジローバーの歴史そのもの、と言っていい優れた走破能力と穏やかな乗り心地に関しては、従来以上に包括的かつ緻密な統合制御を可能にする「インテグレーテッド・シャシー・コントロール(ICC)・システム」がサポートしてくれる。

電動アクチュエーターによって後輪を操舵する「オールホイール・ステアリング」は、低速では前輪と逆位相に後輪を操舵することで最小回転半径を「ランドローバー史上最小」に抑えているという。高速走行時は同位相に切って、操縦安定性を高めてくれる。

さらに新機能として電子制御エアサスペンションに「ダイナミックレスポンスプロ」を導入。路面の変化に対する制御レスポンスを高めることで、落ち着きある乗り心地と敏捷性を両立している。クルマとの一体感もまた、シームレスで心地よさそうだ。

気になる日本仕様には500psオーバーのV8も

画像: ロングホイールベース7人乗りの室内。セミアニリン内装はオプションだ。

ロングホイールベース7人乗りの室内。セミアニリン内装はオプションだ。

公式ホームページ上では、すでに新型レンジローバーの国内仕様に関する情報が掲出されている。

日本市場にまず導入されるパワートレーンは、3L直6ディーゼルターボ+MHEV(最高出力300ps/4000rpm、最大トルク650Nm/1500-2500rpm)と4.4L V8ツインターボ(530ps/5500-6000rpm、750Nm/1800-4600rpm)から。このうちローンチ開始時に設定される1stエディションはV8エンジンのみの設定で、0→100km/h加速は4.6秒という俊足を実現している(ディーゼルモデルは6.9秒)。

ボディタイプはスタンダードホイールベース(SWB)とロングホイールベース(LWB)の2種類を用意。LWBは5人乗り、7人乗りから好みの仕様を選択できる。SWBのディメンションは全長5052×全幅2047(※)×全高1870mm、ホイールベースが2997mm。LWBでは全長が5252mm、ホイールベースが3197mmに拡大される。

※全幅はドアミラーを折りたたんだ状態の数値/数値はすべて欧州仕様値

インテリアの素材で注目したいのは、初採用となるサスティナブルな新素材、シートとインテリアトリムに配されたUltrafabricsとKvadratプレミアムテキスタイルの組み合わせだろう。加飾は精巧なメタルディテールを施したナチュラルウッドパネルを採用している。セミアニリンレザーはオプション設定となる。

今回のワールドプレミアでは、2022年に導入予定の新しいモデルライン「RANGE ROVER SV」も、同時に発表されている。パーソナライゼーションの面白さと歓びをさらに高めることで、ラグジュアリー性の向上にもつなげていこう、という新たな試みだが、残念ながら日本への導入はまだない。そのかわりオプションで「リアエグゼクティブクラスシート」を選べる。ホットストーンマッサージや11.4インチ局面型モニターなどの超豪華機能を備えたラグジュアリーな仕様だ。

洗練された雰囲気を醸し出しすためのパーソナライゼーションという面では、多彩なホイール、上質な素材、おしゃれなフィニッシュといった自分好みのモディファイが可能な「SV BESPOKE」を活用してみてはいかがだろう。「自分だけのレンジローバー」スタイルを考えてみるのも、楽しそうだ。

日本導入当初の価格帯は、1637万円~2272万円。受注開始は2022年初旬からとなりそうだが、プレミアム系SUV全盛の今だからこそ、新世代レンジローバーへの期待値は高い。

レンジローバー オートバイオグラフィ―D300 AWD MHEV スタンダードホイールベース 主要諸元

●全長×全幅×全高:5052×2047×1870mm(※)
●ホイールベース:2997mm
●エンジン:直6DOHCディーゼルターボ+モーター
●総排気量:2997cc
●最高出力:221kW(300ps)/4000rpm
●最大トルク:650Nm/1500-2500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格(税込):1972万0000円
※全幅はドアミラーを折りたたんだ状態の数値/ボディサイズは欧州仕様値

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