2021年11月28日、三菱 アウトランダーPHEVの新型が日本でも発表された。発売は12月16日からだが、まずは見た目も中身も大きく変わった、その進化ぶりを従来型と比較しながら確認してみよう。

従来型のデビューから9年。あらゆる面で進化が見られる

三菱初のクロスオーバーSUVとして2001年に初代が発売されたアウトランダー。ただし、日本で初代は「エアトレック」の名で販売されていた。従来型は2012年に発売された3代目(日本では2代目)だが、2013年にPHEV(プラグインハイブリッド車)が設定され、以降、日本市場でこちらが主流となり、ガソリン(エンジン)車は2020年11月で生産を終了している。

さて新型アウトランダーは日本市場での発表より早く、北米市場で2021年2月にオンラインで公開されたが、こちらはガソリン車のみ。ちなみに、日本からわずかに遅れて2021年11月1日にオーストラリアでも新型アウトランダーが発売されたが、こちらもガソリン車のみだ。

日本では今のところPHEVのみの設定なので、従来型と新型で、どう進化しているのかをPHEVで考察してみよう。

写真では大きくなったように見える、新型エクステリア

画像: 従来型よりかなり大きくなったように見える新型だが、全長は15mmしか長くなっていない。

従来型よりかなり大きくなったように見える新型だが、全長は15mmしか長くなっていない。

新型・従来型アウトランダーPHEVの「ボディサイズ」を比較

新型
・全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm
・ホイールベース:2705mm
従来型
・全長×全幅×全高:4695×1800×1710mm
・ホイールベース:2670mm

上の数値を見ると分かるように、新型は従来型より15mm長く、60mm幅広く、35mm高い。ホイールベースも35mm延長されている。新型のスタイリングから、かなり大きくなったように思われたのだが、全幅こそ少し広がったが、全長はあまり変わっていない。

従来型からの乗り換えを検討しているが、ボディサイズが大きくなったことで駐車スペースを心配している人も多いのではないだろうか。その点は幅さえクリアできれば、今までの駐車場を使えるのではないかと思われる。

スタイリングはもちろん一新された。従来型もマイナーチェンジで「ダイナミックシールド」風の顔が与えられたりしたが、新型はさらに進化されている。上下2段に分かれたランプ類をはじめ、存在感のあるフロントマスクはデリカ D:5やeKクロスなど、最新の三菱車と共通の堂々としたもの。好き嫌いは分かれるところだが、SUVらしい力強さも感じさせるし、気に入っている人も多いのではないだろうか。

インテリア最大の変化は、3列シートを選択できるようになったこと

画像: 見晴らしの良いインテリアは、質感も従来型より高められている。

見晴らしの良いインテリアは、質感も従来型より高められている。

インテリアも大きく変わった。水平基調で力強い造形のインストルメントパネル「ホリゾンタル アクシス」を進化させて採用したことで、見晴らしの良い前方視界が提供され、悪路走行時の車体姿勢の変化をつかみやすいものとなっている。このあたりのデザインの進化は、従来型とはやはり時代の違いを感じさせる。

新型・従来型アウトランダーPHEVの「室内寸法」を比較

新型
・室内長×室内幅×室内高:2140×1520×1240mm(P・7人乗り)
従来型
・室内長×室内幅×室内高:1900×1495×1170mm(Sエディション)

室内寸法は、ボディサイズ以上に広くなった印象だ。新型は3列7人乗りで従来型は2列5人乗りの違いはあるものの、従来型より240mm長く、25mm幅広く、70mm高い。全幅の拡大で室内幅も広がったので、フロアコンソールは幅広で存在感も高級感も増しており、インテリアの質感はひとクラス上にアップしているようだ。多くのパッドにステッチをあしらっているところも、上質感へのこだわりのようだ。

インテリアで従来型との最大の違いは、従来型アウトランダーPHEVに設定されていなかった3列シート仕様を用意されたこと(従来型はガソリン車のみ)。リアモーターをコントロールユニットと一体化してサードシートの設置に必要なフロアスペースを確保したおかげだが、ミニバン的に使いたいが5人乗りでは・・・と購入をためらっていたオーナー予備軍には、うれしい話だろう。

セカンドシートはラゲッジルームからリモート操作で折りたため、サードシートは床下に収納できるなど、ラゲッジルームの使い勝手も高められている。

EV走行可能距離を80km以上に伸ばしたパワートレーン

画像: PHEVの基本的なシステムは従来型と変わらないが、構成するコンポーネントは刷新されている。

PHEVの基本的なシステムは従来型と変わらないが、構成するコンポーネントは刷新されている。

従来型と同様に前後輪をそれぞれ独立したモーターで駆動するツインモーター4WDだが、新型はシステムを進化させている。エンジンは従来型と同じ2.4Lの直4 MIVEC DOHCだが、細かなリファインにより最高出力は133psにアップされている(従来型は128ps)。

前後のモーターと駆動用バッテリーの出力を約40%高めて、市街地や郊外をはじめ高速道路の合流や追い越しなど、アクセルペダルを強く踏み込むシーンでも極力エンジンを始動させずにEV走行の維持を可能にしている。つまり、エンジンのアシストなしで走行できる範囲が従来型より広くなっているようだ。これはつまり、静粛性も高められたと言える。

駆動用バッテリーの総電力量も20kWhと大容量化しているので、EV走行換算距離(等価EVレンジ)を83〜87km(WLTCモード)として、エアコンなどを使用した場合でも十分な航続距離を確保している。従来型で65km(JC08モード)だったことを考えると、大きな進化だと言える。ただ、ハイブリッドでのWLTCモード燃費は16.2〜16.6km/Lで、従来型(16.4km/L)とほぼ変わらない。それでもガソリンタンク容量を増大して、総合航続可能距離は大幅に拡大している。

高速道路同一車線運転支援機能「MI-パイロット」や装備など

画像: メーターパネルは12.3インチのフルカラー液晶ディスプレイとなった。表示の変更も可能。

メーターパネルは12.3インチのフルカラー液晶ディスプレイとなった。表示の変更も可能。

先進運転支援システムでは、進化した高速道路同一車線運転支援機能「MI-パイロット」を搭載した。カーナビゲーションとリンクしたレーダークルーズコントロールは、道路に応じて適切な車速に自動調整し、渋滞による停車後も約30秒以内なら自動発進する。予防安全では、標識認識や車線逸脱防止など、従来型に設定されていなかった装備も充実している。

メーターパネルは12.3インチのフルカラー液晶ディスプレイとなり、9インチのスマートフォン連携ナビゲーション、ウインドシールドタイプの10.8インチ ヘッドアップディスプレイも採用されるなど、安全&快適装備は充実している。

車両価格は、M(5人乗り)の462万1100円〜P(7人乗り)の532万700円となっている。従来型は、436万4800円〜529万4300円で、しかも5人乗りのみだった。グレードごとで詳しく装備を比べてみたわけではないが、一新された内外装のデザイン、パフォーマンスの高められたパワートレーン、そして装備の充実ぶりなど、フルモデルチェンジの内容を考えると、若干の価格アップは妥当な範囲内にあるといえるだろう。(文:Webモーターマガジン編集部 篠原政明)

※車両価格はいずれも税込

■新型アウトランダーPHEV P 主要諸元

●全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm
●ホイールベース:2705mm
●車両重量:2110kg
●エンジン種類:直4 DOHC+モーター×2
●排気量:2359cc
●エンジン最高出力:98kW<133ps>/5000rpm
●エンジン最大トルク:195Nm<19.9kgm>/4300rpm
●モーター最高出力:フロント85kW+リア100kW
●モーター最大トルク:フロント255Nm+リア195Nm
●駆動方式:フロント横置き・電気式4WD
●WLTCモード燃費(ハイブリッド):16.2km/L
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格(税込):532万0700円

■従来型アウトランダーPHEV Sエディション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4695×1800×1710mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1930kg
●エンジン種類:直4 DOHC+モーター×2
●排気量:2359cc
●エンジン最高出力:94kW<128ps>/4500rpm
●エンジン最大トルク:199Nm<20.3kgm>/4500rpm
●モーター最高出力:フロント60kW+リア69kW
●モーター最大トルク:フロント137Nm+リア195Nm
●駆動方式:フロント横置き・電気式4WD
●WLTCモード燃費(ハイブリッド):16.4km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込):529万4300円

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