メルセデス・ベンツは2022年の秋までに、レベル3の自動運転システムである「ドライブパイロット」を搭載したSクラスを市販する計画を、打ち出した。そして認可条件を満たすために現在、公道上でのテストを繰り返している。(Motor Magazine 2021年12月号より)

渋滞時の過ごし方と気分を劇的に変える効果がある

画像: 朝の渋滞したアウトバーンでドライブパイロットを搭載したSクラスのプロトタイプに試乗。その実力を試した。

朝の渋滞したアウトバーンでドライブパイロットを搭載したSクラスのプロトタイプに試乗。その実力を試した。

シュツットガルト郊外を走るアウトバーン40号線は、朝夕の通勤時間帯は慢性的な渋滞が発生し、誰もがこれを避けて通りたいところだ。だが、メルセデス・ベンツの自動運転開発担当のハープ氏は喜んで渋滞にハマっている。

ドイツ運輸局が2021年8月に形式認定を出したことを受けて、メルセデス・ベンツ社内のテスト項目を終了した後に「ドライブパイロット」を搭載したSクラスは、台数限定車のホンダ レジェンドに対して、レベル3の自動運転を提供する台数限定ではない初の「量産車」となる。

条件付きレベル3なのでドライバーは眠ることはできないが、システムのおかげで、現行の自動車間維持と車線内維持システムと違いタイムリミットなしに、ハンドルから手を離した状態で走行することができる。2022年秋からの販売が計画されているが販売価格はまだ発表されていない。しかしこのシステムの価格はおそらく、5桁に近い8000~9000ユーロ(約1000~1200万円)ほどになるだろう。

前述のハープ氏は、現段階ですでにこのシステムの完成度に満足している様子で、リラックスして助手席に座っている。やがて速度が60km/h以下になり、ステアリングホイールのふたつのスイッチが点滅して「スタンバイ」を告げる。

そこで確認スイッチを押すとコントロールライトがターコイズ色に点灯、Sクラスの運転を「ドライブパイロット」すなわちシステムが担当することになる。この時にディスプレイには「A」、つまり自動運転レベル3を示すシンボルが表示される。ここからはハンドル操作も周囲のクルマの動きも気にすることなく、ステアリングホイールから手を離して20秒、いや30秒経っても警告音が響き渡ることはない。

センターコンソールのタッチパッドを操作して、テレビでニュースを見ることも、あるいはドイツでは禁止されている運転中の携帯電話の使用まで許される。この結果、これまで無駄にしていた渋滞内での時間を意味あるものとして、積極的に有効に使えるようになったわけである。それによってイライラは解消、リラックスできて精神衛生上も良い。

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