クルマを操り、走る楽しさを味わえるスポーツカー。新型スバル BRZ(SUBARU BRZ)の6速MT仕様を公道で愉しんでみた。(Motor Magazine2021年12月号より)

SグレードもRグレードもBRZらしい走りが味わえる

スバルは運転して楽しいクルマづくりが得意なメーカーである。それがスバリストと呼ばれる熱狂的なファンを生み出している。

そんなスバルが開発したリアルスポーツカーがBRZだ。BRZという名前は、Boxer engine(ボクサーエンジン)+Rear wheel drive(リアホイールドライブ)+Zenith(ゼニス=究極)の頭文字からネーミングされている。

初代BRZは、2012年にトヨタ自動車とスバルのアライアンスにより、トヨタ86とスバルBRZとして登場した。水平対向エンジンによる低重心パッケージによって誰もが楽しめるスポーティな運動性能を持っていた。スバルのクルマづくりには「走りを極めれば安全になる」という伝統と哲学がある。これはスポーツカーであっても例外ではなく、それをBRZで実現しているのだ。

その方向性は、フルモデルチェンジした2世代目になっても変わらない。そしてスポーツカーだからこそ、「安心と愉しさ」を突き詰める開発がなされ、それを実現するために、自然吸気エンジンで究極レベルとも言える水平対向エンジンを開発するという結論に辿り着いたのだ。

Motor Magazine誌では、2021年9月号でプロトタイプのBRZのクローズドコース試乗記を掲載したが、今回は市販モデルの公道での試乗記をお届けする。試乗したのは上級グレードにあたる「BRZ S」の6速MT仕様である。ボディカラーは有償色(3万3000円)のクリスタルホワイトパール、オプションのカーナビやETC車載器が装着されたモデルだ。

ちなみにベースグレードは「BRZ R」。SとRの違いは、ホイール&タイヤサイズが18インチか17インチか、スピーカー数が8つか6つか、フロントシートヒーターが装備されるかされないかなどに加え、シート材質がウルトラスエード/本革かファブリックかである。その他には内装の加飾が少し異なる程度であり、エクステリアや標準装備される安全デバイスに差が付けられていない。つまり、SとRのどちらを選んでも、BRZのパフォーマンスを存分に味わうことができるのである。

画像: 印象的なダックテールスポイラーを採用する。ダウンフォースを発生させ、リアの安定性を高めている。

印象的なダックテールスポイラーを採用する。ダウンフォースを発生させ、リアの安定性を高めている。

エクステリアですぐに目に入るのは、スバルのアイデンティティと言っていいヘキサゴングリルである。ロー&ワイドなスタイルは水平対向エンジンによってもたらされた恩恵だ。フロント部には、フロントバンパーダクトが配置され、ここにある空力テクスチャーは前方から空気抵抗を分散させるもので、スバルがGT300マシンで実戦投入を行い、そのデータをフィードバックしてBRZに取り入れた最先端技術である。

ホイールは10本スポークタイプデザインがスポーティなイメージにひと役買っている。また盛り上がったリアフェンダーは筋肉質なアスリートのようだ。インテリアは、水平基調のインパネが特徴的。従来型よりエアアウトレットやスイッチ類の形状が変更されている。メーターもフル液晶タイプが採用されている。

搭載するのは、新開発の2.4L 水平対向4気筒 自然吸気エンジン(FA24型)である。開発のテーマは、「全域で高トルクを維持する」、「7000rpm超まで気持ち良く吹け上がる」である。その実現のために、シリンダーブロックの大きさを変更せずにボア径を94mmに拡大して排気量を400ccアップさせた。またこのエンジンには、トヨタの直噴技術D4Sが採用され、その結果、従来より約18%高められた最大トルクには3700rpmで達する。

高速道路、一般道などさまざまな場面を走り、新型BRZの実力を確認したが、中でもワインディングロードでのクルマとの対話は実に濃厚なものだった。これは前53:後47の前後重量配分も大きく貢献してくれているようだ。足まわりは従来型同様、フロントがストラット式、リアがダブルウイッシュボーン式だが目に見えない部分に細かなリファインが施されている。タイヤサイズは215/45R18インチだが、ゴツゴツとした乗り心地がなく、上手く履きこなしている。荒れた路面や道路の段差を乗り越えた時など、その衝撃を上手く収束、乗員には丸めて伝えてくるところは好印象である。

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