2021年11月21日、F1世界選手権第20戦カタールGP決勝が行われ、ドライバーズ選手権をリードするレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、メルセデスのルイス・ハミルトンに敗れた。それでもファステストラップと2位表彰台を獲得。悲願のチャンピオン獲得に向けてリーダーの座を守った。

フェルスタッペンは7番グリッドから楽々2番手を奪取

陽が沈んだ17時。気温27度、路面温度30度前後のコンディションでレースはスタートした。

予選Q3でダブルイエローフラッグを無視したとして5グリッド降格ペナルティを受けたフェルスタッペンは、7番グリッドから抜群のダッシュを見せ、ターン1で4番手まで浮上。さらに、3周目にガスリーの前に出ると、その次の周にはアロンソも攻略して2番手まで追い上げる。

しかし、ハミルトンにはなかなか迫ることができない。フェルスタッペンは17周目にピットインしてミディアムからハードタイヤに交換。2番手を確保したまま、41周目に2度目のピットインして再びミディアムに交換するが、ハミルトンを逆転するのはもはや難しい状況となり、ボッタスの左フロントタイヤがパンクしたこともあり、最終盤に念のためソフトタイヤに交換した。

画像: 5グリッド降格ペナルティを受けて7番グリッドからのスタートとなったフェルスタッペンは、猛然とスパート、早くも4周目には2番手まで順位をあげた。

5グリッド降格ペナルティを受けて7番グリッドからのスタートとなったフェルスタッペンは、猛然とスパート、早くも4周目には2番手まで順位をあげた。

フェルスタッペンはすでにファステストラップを記録していたが、この交換により、それを確定的なものとした。

カタールGPではハミルトンの圧倒的な速さに屈したフェルスタッペンだが、3番手以降を寄せ付けないハミルトンとの一騎討ちのバトルが続いており、緊迫した状態のまま残り2戦に向かうことになった。

レース後、フェルスタッペンは「今日の結果は、もちろんうれしいです。今週末はかなり厳しい展開で、今日もペースは不足していましたが、5グリッド降格を科されて、できることはすべてトライしたので、2位フィニッシュとファステストラップ獲得はとてもいい結果です。エキサイティングなスタートを決めた後、最初の数周が重要になることは分かっていましたが、すぐに2番手まで順位を取り戻すことができました。そこから前との差を詰めようとしたのは上手くいったと思います。今日は、特にファステストラップを目指したときが楽しかったです。ペレスが表彰台に上がれなかったのは残念でしたが、チームにとって貴重なポイントを獲得してくれました。残り2戦でも多くのことが起きるはずですので、不可能なことは何もありません」と次戦に意欲を見せた。

画像: 2位入賞を果たしたフェルスタッペン。7番グリッドからのスタートを考えると、3位に大きな差をつけての2位は悪くない結果。

2位入賞を果たしたフェルスタッペン。7番グリッドからのスタートを考えると、3位に大きな差をつけての2位は悪くない結果。

一方、11番グリッドスタートのセルジオ・ペレスは1周目で9番手まで浮上すると、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)、カルロス・サインツ(フェラーリ)、エステバン・オコン(アルピーヌ)を立て続けに追い抜き、9周目には6番手までジャンプアップ。

19周目にピットストップを行ったペレスは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)を交わすと、アロンソとのバトルも制して4番手まで浮上。さらに33周目にボッタスがパンクを喫ししたことで、ペレスは3番手に上がったが、1ストップのドライバーが多くいたことから、41周目の2度目のピットインで7番手まで後退する。

再び追い上げを開始したペレスは、ランス・ストロール(アストンマーティン)、オコンをオーバーテイクして4番手まで挽回したが、最終盤に不運にもバーチャルセーフティカーが発動。最後はアロンソの後ろ約3秒差に詰め寄るも、4位のままフィニッシュした。

4位に入ったペレスが12ポイント獲得したことで、フェルスタッペンの19ポイントと合わせて、レッドブル・ホンダは合計31ポイントを獲得。レッドブル・ホンダはコンストラクターズチャンピオンシップで首位のメルセデスに対して5ポイント差に迫ることになった。

ペレスはレース後、次のようにコメントしている。「11番グリッドから順位を上げていくことができました。表彰台に手が届く位置にいましたがバーチャルセーフティカーに阻まれて叶いませんでした。バーチャルセーフティカーがなければフェルナンドとはかなり僅差にはなっていたはずです。常に全開で、オーバーテイクを繰り返してプッシュしました。レース中に、1ストップから2ストップへと戦略を切り替えましたが、パンクを喫したマシンもいたので、そうならないようにしながら、コンストラクターズチャンピオンシップで最大限の結果を残す必要がありました。今日はコンストラクターズチャンピオンシップを見据えていい判断をしたと思います。5ポイント差でコンストラクターズチャンピオンシップ獲得の大きなチャンスがあります。ここが勝負どころです」

画像: 11番グリッドから4位まで順位をあげたペレス。最終盤のバーチャルセーフティカーがなければ3位もあったかもしれない。

11番グリッドから4位まで順位をあげたペレス。最終盤のバーチャルセーフティカーがなければ3位もあったかもしれない。

また、タイヤを供給するピレリは「スタート時の装着タイヤはミディアムとソフトが入り混じり、タイヤ戦略は1ストップから3ストップまで見られました。ハミルトンはミディアムタイヤでスタートし、ハード→ミディアムと繋ぎ優勝しました。これはピレリが最速と予測していたものでした。2位となったフェルスタッペンはハミルトンと同様の戦略を採り、バーチャルセーフティーカーが導入された終盤にソフトタイヤへ交換し、ファステストラップポイントを獲得しました。30秒以上差がついた3位には、アルピーヌのフェルナンド・アロンソがソフト→ハードの1ストップ戦略で入りました。トップ3ドライバーがそれぞれ異なる戦略をとったのは注目ポイントです。4名のドライバー(バルテリ・ボッタス、ジョージ・ラッセル、ランド・ノリス、ニコラス・ラティフィ)が左フロントタイヤのパンンクに見舞われました。この問題は、激しい摩耗に加え、非常にアグレッシブなロサイルサーキットの縁石へ高速で接触したことによるものと考えられます。初開催のロサイルサーキットは未知の要素が多く、1ストップは摩耗に関してぎりぎりの戦略であり、高いレベルのマネジメントを要しました」とカタールGPの結果を分析している。

画像: カタールGPのタイヤ戦略。2ストップのハミルトンが優勝したが、中団以降は1ストップが優勢。

カタールGPのタイヤ戦略。2ストップのハミルトンが優勝したが、中団以降は1ストップが優勢。

次戦は1週のインターバルの後、12月13日にサウジアラビアGPが開幕する。首都ジェッダの市街地コースはF1初開催となる。

2021年F1第20戦カタールGP決勝 結果

1位 44 L.ハミルトン(メルセデス)57周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+25.743s
3位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+59.457s
4位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+62.306s
5位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+80.570s
6位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+81.274s
7位 55 C.サインツ(フェラーリ)+81.911s
8位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+83.126s
9位 4 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス)+1周
10位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+1周
・・・・・・・・・・・・・
11位10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)+1周
13位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周

2021年F1ドライバーズランキング(第20戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)351.5
2位 L.ハミルトン(メルセデス)343.5
3位 V.ボッタス(メルセデス)203
4位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)190
5位 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)153
6位 C.ルクレール(フェラーリ)152
7位 C.サインツ(フェラーリ)145.5
8位 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)105
9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)92
・・・・・・・・・
14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)20

2021年コンストラクターズランキング(第20戦終了時)

1位 メルセデス 546.5
2位 レッドブル・ホンダ 541.5
3位 フェラーリ 297.5
4位 マクラーレン・メルセデス 258
5位 アルピーヌ・ルノー 137
6位 アルファタウリ・ホンダ 112

This article is a sponsored article by
''.