交通事故の原因究明をめぐって今、「EDR」が注目を浴びている。運転操作や車両の挙動など事故前後のさまざまな情報を記録する装置で、その記録を読み出して解析することによってより精度の高い原因究明に役立てることができる。だが運用には、専門技能を持った人材育成が欠かせない。そこでEDRの読取システムを市販してきた㈱ボッシュが、「CDRテクニシャン」と名付けた資格認定制度をスタートした。今回はメディア向けのパイロットプログラムを実体験、そこで学んだEDRやCDRの重要性と、CDRテクニシャンとしての業務の概要を紹介する。

交通事故時の、クルマとドライバーの「挙動」を記録するEDR

画像: ボッシュのクラッシュデータリトリーバル (CDR) / CDRツール活用事例 youtu.be

ボッシュのクラッシュデータリトリーバル (CDR) / CDRツール活用事例

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東京池袋での痛ましい母子死亡事故からおよそ2年半、加害者に対して実刑判決が下された。この暴走事故は、交通事故にまつわる問題を浮き彫りにしたと思える。たとえば高齢者ドライバーの問題や、デジタルによる制御が進むクルマへの信頼性など・・・。

既存の調査手法やドライブレコーダーだけでは究明が難しい事故は、今後も増えていくことが予想される。「EDR(Event Data Recorder=イベント・データ・レコーダー)」は、そうした事故に対応しうるキーデバイスのひとつだ。実際に池袋の事例でも、ドライバーの運転操作に瑕疵があったことを証明する証拠のひとつとして活用されたという。

実はEDRを使った事故原因の究明は、北米などではすでに定着している。事故前後にクルマがどんな状態にあって、ドライバーがどんな運転操作を行い、その結果、事故時のクルマの挙動や、どんな衝突エネルギーがどんな方向から加わってきたのか、といった要素を数値として記録する装置が、民事・刑事に関わらず積極的に活用されているのだ。

国際的にもその装着が加速する中にあって、2022年7月からは日本でも、新たに販売されるすべてのクルマにEDRの装着が義務化されることなった。主な目的として、事故原因解明や安全技術の研究開発などへの活用が期待されている。とくに前者においては、裁判そのもののありようも変えることになるかもしれない。

今回、㈱ボッシュが新設した「CDRテクニシャン」資格は、そんな大きな可能性を秘めたEDRから記録を読み出す専門技能者を認定するものだ。具体的には数年で1000人ほどを日本全国に展開、将来的には4000~5000人ほどが認定され、各エリアで交通事故に対応する職務を担うことになるという。

CDRテクニシャンとは、事故原因究明の最前線で活動する専門職

画像: 使われるCDRツールもまた、対応する車両の世代によって異なる。ひとつは約20年にわたって活用されている第一世代ツール「CANplus」(右のボックス)、もうひとつが第二世代としてCAN FDやイーサネットなど最新の通信プロトコルに対応した「CDR 900」(左のボックス)だ。

使われるCDRツールもまた、対応する車両の世代によって異なる。ひとつは約20年にわたって活用されている第一世代ツール「CANplus」(右のボックス)、もうひとつが第二世代としてCAN FDやイーサネットなど最新の通信プロトコルに対応した「CDR 900」(左のボックス)だ。

画像: EDRデータの利用フロー。CDRテクニシャンが読み出し、そのデータをもとにCDRアナリストが解析する。

EDRデータの利用フロー。CDRテクニシャンが読み出し、そのデータをもとにCDRアナリストが解析する。

「CDR」とは、EDRの記録読み出しに使われるデバイスの総称である(Crash Data Retrieval=クラッシュ・データ・リトリーバルの略)。この装置は単に記録を読み出すだけでなく、16進数で記録されているデータを英語に変換しレポートとして出力する機能を持つ。機械語から英語への「翻訳機」のようなものだと思ってもらえばわかりやすい。

「CDRテクニシャン」は、それを取り扱う専門家だ。役割は、事故に関わる車両からデータを読み出すこと。そのために必要な知識と適切な技能を習得した人材に与えられる、資格を指す。取得されたデータは別に、「CDRアナリスト」と呼ばれる解析のスペシャリストに引き継がれ、検証報告として裁判や係争において活用されることになる。

そのためにCDRテクニシャントレーニングでは、EDRデータを読み出すだけでなく、事故の現場や車両を実際に検分し、さまざまな情報を収集するスキルも学ぶ。最先端の事故原因解析技術を最前線で支える、スペシャリストを育成するためのプログラムというワケだ。

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