ついに日本へ導入されることになったベンテイガのプラグインハイブリッドモデル。電動化を進めるベントレーの今後の主力モデルに相応しい完成度を見せてくれた。(Motor Magazine2022年1月号より)

全モデルBEV化の方針はベントレーに相応しい道筋

ベントレー ベンテイガ ハイブリッドが日本上陸を果たした。ラグジュアリーブランド初のPHEVであるベンテイガハイブリッドは2019年9月に発売。ただし、この時点では日本に導入されず、マイナーチェンジを受けた新型になってから我が国でも発売されることになった。

なぜ、ベントレーはベンテイガ ハイブリッドを日本市場に投入することにしたのだろうか? これは、彼らが2020年に発表した中期戦略「ビヨンド100」と深い関係があると考えられる。

ビヨンド100、意訳すれば「創業100年のその先を目指して」となるこの戦略で、ベントレーは2025年までに初のBEVを発売すると言明。2026年以降は、すべてのモデルをPHEVもしくはBEVとし、2030年以降はBEVのみを販売するという野心的な方針を固めている。

その目的が、温室効果ガスの排出量削減にあることは言うまでもない。だから、ベントレーにとっては全モデルをBEVに切り替えればそれで目標達成ではなく、80年の歴史を誇るクルー工場もカーボンニュートラルとすることを課題のひとつとしている。実は、これ自体は2019年に達成済み。さらに今後はパーツサプライヤーにも環境負担の軽減を呼びかけていくという。

一方で疑問を禁じ得ないのは、世界でもっともラグジュアリーなグランドツアラーを作り続けているベントレーが、本当にすべてのモデルをBEVに切り替えられるのか、という点にある。

もっとも、よくよく考えてみればBEVはラグジュアリーカーと相性がいい。なにより静かで振動が少なく、しかも、電気モーターはエンジンよりも制御性が高いので、動き出しや加減速をスムーズに行うのが得意とも言える。いずれもラグジュアリーカーにとっては好ましいことばかりだ。

一方で、航続距離の短さはグランドツアラーとして決定的な弱点と言えなくもないが、ベントレーのようなラグジュアリーカーであれば、スポーツカーと違って軽量である必要性は薄いので、大量のバッテリーを搭載することにより必要なところまで航続距離を伸ばすこともできなくはない。ただし、現実のベントレーの顧客が日常的にクルマを走らせる距離は思いのほか短いそうだ。

最近ベントレーが発表したプレスリリースによると、欧州でベンテイガ ハイブリッドを購入した顧客の半数は1回の走行距離が48km以下という。ちなみにベンテイガハイブリッドのEV走行距離は約50kmなので、彼らはEV走行だけで日常の走行をカバーできることになる。しかも、すべてのベンテイガハイブリッドのユーザーはEVモードを積極的に利用しているそうだ。

おそらくは、こういったデータに勇気づけられて、ベントレーは100%BEV化に大きく舵を切ったのだろう。それは、100年を越える歴史の中で、常に先進的な技術を追い求めてきたベントレーにとって相応しい道筋とも言えるものだ。

画像: エンジンとモーターの組み合わせで、航続距離は863km。V8モデルより約100kmも長い航続距離を掲げる。

エンジンとモーターの組み合わせで、航続距離は863km。V8モデルより約100kmも長い航続距離を掲げる。

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