2009年、W221型メルセデス・ベンツSクラスにハイブリッドモデルが追加された。ラグジュアリーサルーンの快適性と環境性能の両立は実現されていたのか、トップモデルに相応しい品質は確保されていたのか。ここではドイツ本国で開催された国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年8月号より)

フラッグシップに相応しい最新の装備を、数多く採用

メルセデス・ベンツのラインナップのなかでフラッグシップセダンと言えばSクラス。2005年に登場した現行のW221は、フレアを強調したフェンダーや前後の精悍な意匠などにより、歴代のSクラスの中でもとくに話題の多いフルモデルチェンジだったが、早いものであれから4年、2009年モデルで初のマイナーチェンジを受けることとなった。

適度な新しさを表現しつつ、現オーナーをも落胆させないという高級車におけるマイナーチェンジの定石どおり、フェイスリフトは控えめだ。フロントまわりでは、グリル下側のラインの折れ角がきつくなり、バンパーのパーティングラインが整理され緩やかな曲面を描くようになった程度。むしろ目を惹くのは、バンパー内のデイタイムドライビングライトやヘッドライト内のウインカー/マーカーに直線配列のLEDを使ったLEDライトパッケージ(一部標準装備)が採用されたことだろうか。

リアまわりは、従来一部にボディ色が入っていたリアコンビランプのデザインが変わり、52個のLEDによる上下2段の「C」の字を描くライトグラフィックになったほか、エキゾーストまわりが全車ディフューザー風の一体型となり、エンドパイプの形状も角形に統一された。とは言え、その違いは新旧を見比べればわかる程度で、単体では気がつきにくい。まさに絶妙なさじ加減である。

大きく手が入ったのは装備面だ。ハイエンドのサルーンらしく、ドライバーを支援し安全性を向上させる様々なシステムが導入されている。ただしそれらは、すでに先だって新型に移行したEクラスに採用されたものと基本的に同じだ。

画像: インパネで大きく変わったところは見られない。しかし、見た目は変わっていないが数々の先進ドライバー支援システムを採用するなど安全面を中心にSクラスらしい装備が多く採用された。

インパネで大きく変わったところは見られない。しかし、見た目は変わっていないが数々の先進ドライバー支援システムを採用するなど安全面を中心にSクラスらしい装備が多く採用された。

とくに最近のメルセデス・ベンツは、カメラから得た情報を処理して有効利用するものが多い。対向車や先行車を検知し、他車を幻惑することなく自車のライト照射が常に最大となるように自動調節するアダプティブハイビームアシスト、歩行者の表示を強調した改良型のナイトビューアシスト、車線逸脱をステアリングホイールへの振動で知らせるレーンキーピングアシスト、斜め後方の車両接近を知らせるブラインドスポットアシスト、道路標識を認識しディスプレイに制限速度を表示するスピードリミットアシストなど・・・。

また、走行時間からステアリング操作まで70以上もの情報をもとに、ドライバーの眠気を検出し注意を促すアテンションアシストや、車間距離制御のディストロニックプラス、さらに追突事故の回避と損害低減を行うプレセーフブレーキもEクラス同様に進化/採用されている。

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