2021年11月25日にスバルが発表した「WRX S4」のフルモデルチェンジ。2.4Lターボエンジンを搭載したハイパフォーマンスセダンをサーキットで走らせることができた。「GT-H」と「STIスポーツ」2つのモデルを乗り比べながら、公道では体感できない高い速度域でハイパフォーマンスセダンとしての実力を検証した。(Motor Magazine 2022年1月号より)

「安心と愉しさ」を磨き上げたハイパフォーマンスセダン

高出力のパワーユニットとシンメトリカルAWDシステムを搭載する、ハイパフォーマンススポーツセダン、スバル「WRX S4」がモデルチェンジした。

従来から受け継いできたWRXらしさがありながら、より大胆でアグレッシブなスタイリングが印象的。「ヘキサゴングリル」が強調されたフロントマスク、前後バンパーや張り出したフェンダーが力強い走りをアピールしている。そして、バンパー下部からホイールアーチ、サイドシルスポイラーまでブラックで、低重心、ワイド&ローな印象を受ける。

その一方、フェンダーまでサイドガーニッシュで囲まれているのは、一見、SUVみたいでスポーツセダンには違和感がある、という声も聞こえてきそうだが、実はこの処理は空気の流れを整える「空力テクスチャー」なのだ。

画像: ハイパワーをAWDでコントロール、日常からサーキットまで操る愉しさがある。

ハイパワーをAWDでコントロール、日常からサーキットまで操る愉しさがある。

新型WRX S4は、これみよがしなエアロパーツで武装することもなく、セダンらしい上品なスタイリングだが、徹底的に空力にこだわっている。

空力テクスチャーは0.045mm厚で空気の剥離を抑制し、ボディ側面にかかる圧力変動を抑制することで操縦安定性の向上を実現しているという。ひと足先に登場したBRZにも空力テクスチャーが採用されていたが、あちらはFRらしい「ハンドリング性能向上」を狙い、フロントタイヤハウス前に「鮫肌パターン」の空力テクスチャーを採用。一方、WRX S4に採用されたのはヘキサゴンパターンで、「高い直進安定性」と「乗り心地の質感向上」が狙いだ。

それ以外にも、スポーツエアガーニッシュとリアバンパーに採用さたれアウトレットやフロントアンダーカバーにより操縦安定性を向上させ、トランクのキックアップや床下のアンダーカバーで燃費向上を狙うなど、見えないディテールに至るまで空力効果を狙ったアイテムが満載されている。

しなやかに動く足まわり上質な走りが光るGT-H

さて、WRX S4に搭載されるのは2.4L 水平対向4気筒ターボエンジンで、日本仕様のモデルに搭載されるのは初めて。最大出力275ps/5600rpm、最大トルク375Nm/2000-4800rpmを発生する。組み合わされる「スバルパフォーマンストランスミッション」は、スポーツ変速制御を採用した、8段変速のマニュアルモード付きCVTだ。

WRX S4プロトタイプに、袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗した。はじめにスタンダードグレードの「GT-H」のハンドルを握る。コースインしてまずは一般道を想定したゆっくりしたペースで走り出す。と、全体的には引き締まった感じだが、しっかりしなやかに動く足まわりや乗り心地に、セダンらしい上質な走りが光る。

画像: 従来型のFA20の排気量を400cc拡大し、新型ターボチャージャーを組み合わせた2.4LのFA24を搭載。最高出力は275ps、最大トルクは375Nmを発生する。

従来型のFA20の排気量を400cc拡大し、新型ターボチャージャーを組み合わせた2.4LのFA24を搭載。最高出力は275ps、最大トルクは375Nmを発生する。

エンジンも、回転を上げなくても豊かなトルクでスルスルと走る。せっかくのサーキットなので2周目はペースを上げてみる。と、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間、速い! 一見、275psという数字をみると大したことないと思うかもしれない。が、375Nmの大トルクをAWDで余すところなく路面に伝え蹴り出す力は十分に力強く、アッという間にスピードが上がっていく。

しかも、このトルクをCVTで受け止めているのも驚きだ。シームレスな滑らかさは確かにCVTらしいが、ダイレクト感はトルコンAT並み。そして、ブレーキング時には従来から50%高速化された素早いレスポンスでブリッピングしながらシフトダウンしてくれる。無段階のシームレスでありながら、シフトチェンジを操る楽しさも得られる。

唯一、ハンドル操作時の手応えがやや薄いのが気になった。セダンとしての上質さを優先して、サーキットドライブではそう感じたのか、このあたりは一般道で再検証する必要がありそうだ。

そして、「SIドライブ」でS#を選ぶとエンジンのレスポンスが高まりさらにスポーツ度がアップ。スバルは、2020年のレヴォーグ以降、ドライブモードによる変化をより強調する制御としており、今回はさらにレヴォーグを上回る「キャラ変」を楽しめる。

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