日本のモータリゼーションとともに月刊モーターマガジンは発行を重ね、今号で800号を迎えた。その間、約67年。自動車業界は今、100年に1度という大変革期を迎えている。そこで、この特集では日本を代表するメーカーやインポーターのキーマンにインタビューし、近未来の展望やカーボンニュートラルへの取り組みなどを訊くことにした。訊き手:Motor Magazine編集長 千葉知充(Motor Magazine2022年3月号より)

レクサスブランド初のBEV専用車「RZ」が目指すのは、電動化を軸とした新たな価値の創出。それは単なる「性能」だけでなく、感性の領域にも変革をもたらす。ここではレクサス インターナショナル Lexus Electrifiedチーフエンジニア 渡辺 剛 氏に、2022年に描く将来への展望を訊いた。

画像: 【Profile】渡辺 剛 :1972年群馬県生まれ。1993年トヨタ自動車に入社。エンジン開発からキャリアをスタート、レクサスFR車製品企画担当を経て、2017年よりレクサスBEVの製品企画に携わった。ブランド初のBEV、UX300eの開発も統括している。

【Profile】渡辺 剛 :1972年群馬県生まれ。1993年トヨタ自動車に入社。エンジン開発からキャリアをスタート、レクサスFR車製品企画担当を経て、2017年よりレクサスBEVの製品企画に携わった。ブランド初のBEV、UX300eの開発も統括している。

ブランド改革が本格的にスタート。ラグジュアリーの価値も変革する

本誌 千葉知充(以下、MM) 2021年12月にトヨタは「バッテリーEV戦略に関する説明会」で、2030年までに30車種のEVを展開、年間販売350万台を目指すと宣言しました。レクサスも2030年にはEVフルラインナップを揃え、世界で100万台のEV販売を目指す、とコミットメントされています。そうした戦略の中で、レクサスブランドはどのような立ち位置になりますか。

渡辺 剛氏(以下、渡辺) ブランドを軸に考えると、トヨタ、GR、レクサスという3つが、それぞれに役割を持って、未来に向けたチャレンジを進めています。トヨタはグローバルの多彩なお客さまに対して、広く、未来を選択肢として提供するというブランドであり続けなければなりません。
GRは、モータースポーツという場を通じて「クルマを鍛える」。その中から得たクルマづくりの手法を、トヨタやレクサスに浸透させるという役割があります。
一方、レクサスはラグジュアリーブランドとして、お客さまの多い地域性や環境条件などを考えると比較的、先進的なものに対する興味や嗜好が育まれやすい都市部に主たるマーケットがあります。そうした環境でBEVを軸にして、電動化の可能性を将来につなげてゆく。それがレクサスの役割だと考えています。

画像: 2021年3月にワールドプレミアされたLF-Z エレクトリファイドは、「人間中心」の哲学を具現化したコンセプトEVだ。

2021年3月にワールドプレミアされたLF-Z エレクトリファイドは、「人間中心」の哲学を具現化したコンセプトEVだ。

MM 2021年12月の発表では、レクサスブランドの新型BEV「RZ450e(以下RZ)」が公開されました。このモデルは、過去に登場したEVコンセプトとは、どのような関係性にあるのですか。

渡辺 2019年の東京モーターショーでレクサスはLF-30を発表しました。これは時間軸を2030年に設定したモデルで、クルマの未来を表現していました。そこで、もう少し近い時間軸の中で具体性のある商品として形にしたのが2021年に発表したLF-Zです。
これは2025年くらいの時代性に焦点を当て、それまでに展開してゆくEVを象徴しています。今回発表したRZも、それと同じ時間軸に存在する、具体的なプロダクションモデルという位置づけとなります。

MM すでに発売されているUX300eとの関係性は、どうなるのでしょうか。

渡辺 UX300eは、BEVに対するお客さまのニーズが特に高い市場に、いち早く導入した、レクサスBEVのドアオープナーの商品です。ですので、コンバージョンプラットフォームというスタイルで速やかに用意して、選びやすい商品としました。
一方、RZは、レクサスがBEVを軸に据えながら、ブランドとしてどんなクルマ作りにチャレンジしていくのかを明確にするための、初のBEV専用車として開発しました。BEVを軸とするブランドへの、変革のスタートを切るモデルということになります。

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