電動化に積極的なアウディだが、モータースポーツで培った技術とポテンシャルを感じることができるのがアウディR8クーペ V10 パフォーマンス RWDである。スペインで行われた試乗会にて、クーペとスパイダーの両モデルに試乗する機会を得た。(Motor Magazine 2022年3月号より)

BEVになじんだ身体も驚く、圧巻の加速感

アウディ本社は電動化に積極的で「2026年には内燃機関搭載モデルの新開発を止める!」と発表した。だが一方では、それまでに開発、販売したニューモデルは顧客の要望と市場の状況を見ながら32~33年まで販売は続けるとの説明も加えている。つまり、あと10年はICE搭載モデルがショールームに並んでいるというわけだ。そして、おそらくその中の有力候補が今回試乗したR8のようなスポーツカーだと思う。

画像: R8 V10パフォーマンスRWDは、クワトロではなく、レーシングカーらしい後輪駆動を採用している。(スパイダー)

R8 V10パフォーマンスRWDは、クワトロではなく、レーシングカーらしい後輪駆動を採用している。(スパイダー)

アウディR8 V10パフォーマンスRWDは、ル・マン24時間における歴史的な連勝を顧客にも体験できるようにとのコンセプトで誕生した、カスタマーレーシングカー「LMS GT4」をベースにしたものだ。レギュレーションによって後輪を駆動するパワートレーンは、ノーマルアスピレーションの5.2L V10で最高出力は570ps、最大トルクは550Nmを発生する。7速DCT(Sトロニック)を介して、最高速度はクーペが329km/h、スパイダーが327km/h、0→100km/hはそれぞれ3.7秒、3.8秒と発表される。

試乗会が行われたカナリア諸島は、真冬にもかかわらず気温は摂氏25度という暖かさである。まずは落ち着いたグレーのスパイダーに乗り込む。スタートボタンとドライブモードスイッチは、ステアリングホイールの中にあり、一般公道ゆえ、コンフォートモードを選んでスタートする。

30psと10NmのエクストラパワーとLMS GT4と約60%共通の軽量ボディ(クーペは1590kg、スパイダーは1695kgで4WDよりも80kg軽い)は、V10独特の乾いた低いエキゾーストサウンドを後方に残すようにスタートする。

BEVになじんだ身体でも驚くような加速感で、永遠に続くかのような感じだ。12.3インチのバーチャルコックピットに表示されたルートをトレースしてゆく。

V10エンジンは低回転域から豊かなトルクを発生、エコモードでは気筒になり燃費に貢献する。一方シャシは十分な快適性も残されており、オープンエアドライブを楽しむことができる。またワインディングロードはダイナミックモードに切り替えるとオプションのダイナミックステアリングの助けもあり十分にスポーツ走行を享受することも可能である。

サーキット走行だとよりわかる、後輪駆動R8の楽しさと奥深さ

翌日は、クローズドサーキットでクーペに乗り換えアウディのワークスドライバー、フランク・スティプラー氏の先導でスポーツドライブに挑戦した。

選んだドライブモードは、スポーツ。このモードではESPが介入する前に、わずかにドリフトを可能にする。40対60の前後荷重がもたらす典型的な後輪駆動の挙動は、245/30R20、305/30R20のミックスサイズタイヤのグリップ力もあり、注意深いアクセルペダル操作を習得すればコーナーは楽しみの場に変化する。

画像: 5.2L V型10気筒自然吸気を搭載。パフォーマンスという名が示すとおりR8 V10RWDに比べパワーが30ps向上した。

5.2L V型10気筒自然吸気を搭載。パフォーマンスという名が示すとおりR8 V10RWDに比べパワーが30ps向上した。

一方、9000rpmあたりまで十分なトルクを発生するV10エンジンは、たとえ高いギアでコーナーに入っても問題のないプッシングパワーを発揮してミスを許してくれる。7速DCTは非常に適切なギアレシオで、素早いシフトワークを持っているため、パドルを駆使した走りの楽しさは格別だ。まさにクラブスポーツ走行用には、ぴったりのセットアップを与えられたスポーツカーであることがサーキット走行で確認された。

R8 V10パフォーマンスRWDのドイツでの価格は、クーペが14万9000ユーロ(約1935万円)、スパイダーは16万2000ユーロ(約2100万円)と、クワトロバージョンよりも約6万ユーロ(約780万円)も安い設定だ。

このモデルは、サーキットでのスポーツ走行のみならず、自宅からオフィスまで通うことも可能な実用性も十分に備えている。十数年後には、ICE搭載車を持つことに大きな制約がかけられていると思うが、限られた使用目的での所有であれば問題ないだろう。BEVと違って電池の寿命に左右されないため、クラシックカーとしても長く楽しむこともできるという魅力もある。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:アウディAG )

アウディR8 クーペ V10 パフォーマンス RWD主要諸元

●全長×全幅×全高:4429×1940×1236mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1895kg
●エンジン:V10DOHC
●総排気量:5204cc
●最高出力:419kW(570ps)/8000rpm
●最大トルク:550Nm/6400rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・73L
●WLTPモード燃費:12.9km/L
●タイヤサイズ:前245/30R20、後305/30R20

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