日本のモータリゼーションとともに月刊モーターマガジンは発行を重ね、今号で800号を迎えた。その間、約67年。自動車業界は今、100年に1度という大変革期を迎えている。そこで、この特集では日本を代表するメーカーやインポーターのキーマンにインタビューし、近未来の展望やカーボンニュートラルへの取り組みなどを訊くことにした。訊き手:Motor Magazine編集長 千葉知充(Motor Magazine2022年3月号より)

ルノー・ジャポンはユーザーのライフスタイルに寄り添い、新たな価値を提案してきた。では、2022年にどんな提案があるのか、また将来への展望を、ルノー・ジャポン株式会社 代表取締役社長 大極(だいごく)司 氏に訊いた。

画像: 【Profile】 大極 司 :1980年 日産自動車入社 欧州日産、ルノー本社、スペイン日産など海外勤務を経て、日産トレーディング株式会社ルノー・ジャポンCOO。2012年ルノー・ジャポン株式会社の独立とともに代表取締役社長に就任、現在に至る。

【Profile】 大極 司 :1980年 日産自動車入社 欧州日産、ルノー本社、スペイン日産など海外勤務を経て、日産トレーディング株式会社ルノー・ジャポンCOO。2012年ルノー・ジャポン株式会社の独立とともに代表取締役社長に就任、現在に至る。

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本誌 千葉知充(以下、MM) まずは、SDGsあるいはカーボンニュートラルへの取り組みについて、教えてください。

大極 司氏(以下、大極) 2021年に新戦略を発表しました。これを我々はルノーのエボリューション、「ルノーリューション」と呼んでいます。販売台数を追う従来の拡大路線から、「バリュー」への転換、つまりユーザーに満足感や豊かな価値観を提供する戦略へシフトしました。そしてもうひとつが「電動化」です。電動化はサスティナブルな社会に貢献するという意味で大きな意義があります。このふたつがルノーリューションのコアです。

MM きっかけはどのようなことですか。

大極  ルノーはグローバルブランドとして今までいろいろな世界と地域に展開してきました。とくに途上国に手頃な価格のクルマを大量に販売するのが基本的な戦略だったのです。しかし、実情との乖離が生じてきました。

MM 発展途上国市場の実情とSDGsがどのように結びつくのでしょう。

大極  SDGsの考え方が広まるにつれて「こんな社会でいいのか」という声も世界中から上がるようになってきました。「どうしたら地球全体で生き残っていくのか」と考えていくと、安いクルマをたくさん売るというビジネスモデルは唯一の正解ではなくなったのです。

MM 今後のモデルラインナップもずいぶん変わってきそうですね。

大極  当然そうなります。ラインナップをしぼり、当面は動力のユニットも4つに整理します。ハイブリッド技術を使うガソリンエンジン、CDV(クリーンディーゼル)、それから2種類の電動化ユニットです。この4つのユニットで全世界にきちんとバリューを提案しながら販売するという方針に変更しました。

MM ルノー・ジャポンの戦略も一気に変わるということでしょうか。

大極  いきなり変えるのは難しいでしょうね。日本ではこれまで「エモーショナルバリュー」を前面に出してきましたから。いわゆるカーボンフリーとは違うところです。もちろん今が「変革期」ということは十分理解しています。

画像: 参加者が一体となって盛り上がる「カングージャンボリー」。

参加者が一体となって盛り上がる「カングージャンボリー」。

MM カングージャンボリーのようなユーザーイベントでも感じますが、ルノー・ジャポンはユーザーの細かなリクエストにもよく応えて提案もある。そういう姿勢は今後も変わらないのですね。

大極  はい。これからもお客様の声をききながら「こういう使い方はどうですか」と安心・安全な方向で提案をしていきます。SDGsというのはカーボンフリーということだけではなく、「自分たちの生活を大事に、何が幸せなのか考えながら、それぞれの個性に合った生き方を長く続けていく」ということも大事だと思うのです。

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