2022年3月18日、いよいよF1グランプリが開幕する。開幕戦の舞台はバーレーン。新型コロナウイルスがグランプリにどのような影響を及ぼすか、ウクライナ情勢はどうなるのか不透明のまま、22戦におよぶ長いシーズンが始まろうとしている。はたして今年のF1グランプリはどんな戦いになるのか、シーズン開幕を前に、7回にわたって変更点、注目ポイントをチェックしていこう。本記事は第3回。

全面的に変わったマシン開発の方向性

マシンレギュレーションでの注目は、まずエアロダイナミクスに関する全面的な規定変更だ。

その変更目的は「オーバーテイクの促進」。昨今のF1はエアロダイナミクスが先鋭化し、乱気流の発生度合いが大きく、後続車が先行車をオーバーテイクするのが難しくなり「レースがつまらなくなっている」と指摘されてきた。

そのためDRS(ドラッグリダクションシステム)規定を設けてオーバーテイクを可能とするなどの改善が図られてきたのだが、それでも創造力に旺盛なF1はさらに進化を続け、オーバーテイクの難しさはさらに増してきていた。

そこで2022年の新しいレギュレーションでは、フロントウイングやブレーキダクトに大幅な制限が加えられ、乱気流の原因となるフロントタイヤにはフィンを装着。ホイールもカバーされ、さらにバージボードは禁止となり、リアウイングの規定も変更、排気口とウエストゲートの出口も一体型とすることが義務づけられた。

このエアロダイナミクスの簡略化と乱気流の発生防止を中心とした規定変更により、ダウンフォースは大幅に減少する。しかし、それによるパフォーマンス低下を補うため、ベンチュリー効果のある2本のフロア下トンネルを使えるようになったのも大きな特徴だ。

これまでもベンチュリートンネルの仕組みはマシン後部で利用されていたが、従来のフロアは基本的にフラットで、新しい規定でベンチュリー効果がより明確な構造となった。かつてのグランドエフェクトカーと同じではないが、乱気流を発生させずダウンフォースを得るための大きな転換と言っていいだろう。

こうしたマシンレギュレーション変更により、マシンの開発はどのように進むのか、ラップタイムやレース展開にどんな変化があるのか、走りがどう変わるのか、興味深い。

2014年に現行のパワーユニットレギュレーションが施行されて以来、メルセデスがF1をリードする状況が続いているが、今回のエアロダイナミクス規定の大変更はこれまでの勢力図に変化をもたらすかもしれない。

画像: 2月17日に初公開された時の2022年仕様フェラーリF1-75。複雑な形状のエアロフラップが少なく、すっきりとしたデザインに見える。

2月17日に初公開された時の2022年仕様フェラーリF1-75。複雑な形状のエアロフラップが少なく、すっきりとしたデザインに見える。

This article is a sponsored article by
''.