2022年3月20日、新型フェアレディZの日本仕様が追浜の日産グランドライブに登場。全国のZカークラブの中から数を絞って行われたZカーファンによるイベント「Zカーフィエスタ with ニューフェアレディZ(Z Car Fiesta with New Fairlady Z)」にて、歴代Zとのパレードランや実験部テストドライバーによるアドバンストローンチアシストコントロールやドリフトのデモ走行などがお披露目された。

午前と午後の2枠、参加台数は各24台・計48台に絞ってのパレードラン。先導を日産の車両実験部のテストドライバー駆るガンメタの日本仕様Zが務め、2周ながら追浜のコースを周回した。

2022年6月末の発売まで待てない! 熱き全国のZカーファンが結集

計4台の新型フェアレディZが集結したこのイベント、宇都宮のZカークラブ「アルティメイト」代表の高賀茂哲弘氏が企画し、日産の協力を得て栃木の実験開発スタッフや東海地方にあるDSCC中部のメンバーのサポートを交えて行われた。

本来なら、2021年11月末に開催を予定されていたというが、折からのコロナウイルスの影響で順延、今回も直前までその開催が危ぶまれていた。そこで、例年であれば100台は集まるところを、約半分の48台に絞り、感染対策を厳重に取った上で午前と午後の2部入れ替え制の「ドライブスルー方式」にて行われた。

画像: Z Car Fiestaを主催する宇都宮のZカークラブ「アルティメイト」代表の高賀茂哲弘氏。日米の交流の絆を作って今に繋げてきた。

Z Car Fiestaを主催する宇都宮のZカークラブ「アルティメイト」代表の高賀茂哲弘氏。日米の交流の絆を作って今に繋げてきた。

アルティメイトの代表の高賀茂氏は言う。
「新型Zが発表された時に行われたアメリカのファンクラブによるセレモニーに続けて、ぜひ日本でも新型フェアレディZの誕生を『Z Car Fiesta』でお祝いしたい!という強い思いがありました。例年アメリカからゲストを招いたり、日本のクラブ員のみなさんの参加で続けてきましたが、今回はコロナ禍により約2年振りの開催です。日本仕様発売(2022年6月末)前の『仮祝い』というかたちで、なんとかその絆を繋ぐことができました。日産自動車の関係者の皆さんに感謝して、今後もZによる国内外の交流を続けていきたいと思います」と語る。

アメリカと日本のZによる交流はもう25年近くにわたる。最初は1997年、日光スピードパークでの日米のZカークラブ交流会にはじまり栃木テストコースでのイベントを経て、2011年からこの追浜グランドドライブで続けてきた。筆者はその内の20年を見てきたが、Zという1台のスポーツカーが、世代や太平洋を越えてこうした交流の幅と時間をもたらしたことは驚きでしかない。

トークショーや同乗走行など、例年行われていた様々なイベントこそ今回は見送られたが、東北や東海地方から参加したZカークラブのメンバーは、新型フェアレディZの誕生を心から喜んでいるようだった。

画像: 1969年の誕生から2019年で50年を経たフェアレディZ。世代を超えた人気で、7代目となる新型を祝う。親子孫3世代での参加も見られた。

1969年の誕生から2019年で50年を経たフェアレディZ。世代を超えた人気で、7代目となる新型を祝う。親子孫3世代での参加も見られた。

実験部の「Top Gun」テストドライバーによる圧巻のデモラン!

パレードランに続いて行われたのは、栃木にある車両実験部ドライバーによる新型Zのデモラン。最初にお披露目されたのは、新型Zに搭載される「アドバンストローンチアシストコントロールシステム」というゼロスタート時のデバイス。実験主担の應請知幸さんによると「このデバイスはZの加速性能を最大限に引き出すというもので、ATとMTにそれぞれ搭載されます」という。「アメリカ発表時はAT全車、MT車は「Performance」グレードのみだったが、日本仕様も全車標準装備か?」という質問には、まだ検討中のようだった。

このデバイスのポイントは「事前に油温と水温を60度以上(ただし100度以上の場合はエンジンを冷やしてから)に、そしてタイヤを温めるということ」とか。設定の詳細は動画を参照して欲しいが、音声が聞こえにくいので、以下に記しておこう。

まず、ATの場合、ATモードをスポーツモードにして左足でブレーキを踏む。次にステアリングに設けられたパドルを両方とも手前に引く。すると表示が出るので、用意ができたらブレーキを離しつつパドルをリリースするとスタートする。

MTの場合は、MTシンクロレブコントロールをオンにしてギアを1速に入れた後、アクセルを踏み込んでスタート、ポイントは「シフトアップ時もアクセルは戻さずに」ということだ。

中央が実験主担の應請知幸さん。新型Zの開発を当初より担当してきた。その右隣は今回のデモランを披露して頂いた実験部ASドライバーの吉田知晴さん。商品性評価の担当でもある。左端はR35GT-RやZ33以降のZの商品性や官能評価を担当してきたASドライバーの松本孝夫さん。あの"Top Gun"加藤博義氏と同じ歳で最強コンビの職人ドライバーだ。

ちなみに、「この機能はタイヤはもちろんエンジンにかなり負担を掛けるので、あまり頻繁にやらないでください(苦笑)。あと、安全が確保できる場所でお試しください」とアナウンス。

デモ終了後、「路面はドライがマストですか?」と訊いたところ、「そうですね。ドライじゃないと上手くいかないですね。試しに凍結路でもやってみたのですが、ただ後輪が空転するだけでまったく前に進みませんでした(苦笑)」とのこと。いくら緻密なトラクションコントロールをもってしても、さすがに凍結路は無理のようだ。まぁ、そんな状況で試すこともまずないだろうが。

画像: GT-Rと新型ZのCPS(商品企画の長)を務めた田村宏志氏も駆けつけ、Zカーファンを前にいつもの熱いトークを展開。ここでは書けないサービストークもポロリ。

GT-Rと新型ZのCPS(商品企画の長)を務めた田村宏志氏も駆けつけ、Zカーファンを前にいつもの熱いトークを展開。ここでは書けないサービストークもポロリ。

新型Z、次のイベントは5月のGW中・富士スピードウェイにて?

画像: 2019年5月5日、富士スピードウェイで行われた「オールフェアレディZミーティング」。過去最大数1404台のフェアレディ&Zを集めた。

2019年5月5日、富士スピードウェイで行われた「オールフェアレディZミーティング」。過去最大数1404台のフェアレディ&Zを集めた。

すでに報じられているように、新型フェアレディZの日本仕様の発売は2022年6月下旬ということだが、現時点ではまだモデルのグレード展開や価格は同年1月の東京オートサロンで発表されたプロトスペック以外は発表されていない。

通常、「新型車の発表」という場合、プレスリリースにはグレードと価格、そして販売計画なども明記されると思うのだが、この点をCPSの田村宏志氏に訊いてみたところ、「それは正直、僕の担当というか、口を出せる範囲ではないですね。マーケティングの戦略というか考えもあって、いろいろ発売までにイベントを考えていると思います。それを楽しみにしていてください」とかわされた。

これを訊いて筆者は思い当たったことがある。

「イカズチイエロー」と名付けられた240台限定の「プロトスペック」と、ブルーの「標準車」も展示された。

今回はコロナ禍という状況もあり、台数を絞っての小規模の開催となったが、この場に来たかったZカーファンは多かったと思う。事実、各クラブの代表もメンバーの選定に頭を悩ましたという。

だが、イベントの終盤にS30Z CAR.JP会長の竹内章氏がマイクでアナウンスしたことに注目したい。曰く「5月の連休中、スーパーGT富士ラウンドの翌日に2年振りにオールフェアレディZミーティング2022を開催します! 皆さん、来てください!」。

以下は筆者の推測だが、恐らくこの舞台にも新型フェアレディZは姿を現すであろう。今季からスーパーGT500には4台の「ニッサンZ GT500」が参戦するのだ。その5月の富士ラウンドの決勝翌日に日本仕様の新型Zが展示されることは想像に難くない。マーケティング的にもドンピシャだろう。

竹内氏によれば、「現時点では感染の拡大などがない限り開催する方向で進めています。事前登録などはありませんので、みなさんよろしくお願いいたします。詳しくはクラブのHPをご覧ください」とのこと。

2020年と2021年はコロナ禍の元で開催は見送られたが、2019年には1404台という過去&世界最大数のフェアレディ&Zを集めたこのイベント。2022年は3年振りの開催となるが、興味のある方は会場が満杯になる前に駆けつけるのをオススメしよう。(写真:井上雅行)

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