2022年4月9日、富士スピードウェイ(静岡県)で開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦でcarenex TEAM IMPULの平川亮が2位に5.6秒差をつけて優勝した。2位にはディフェンディングチャンピオンの野尻智紀(TEAM MUGEN)、3位にはサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が入った。

1年のブランクを跳ね除け初のポールポジションを獲得

2022年から予選のレギュレーションが変更され、Q2でポールポジションが決まるノックアウト方式となっている。また、今回は2レース制で、開幕戦の決勝が午後に行われるため、公式予選は午前中に行われた。

Q1 Aグループではルーキーの佐藤蓮(TEAM GOH)がいきなり見せた。佐藤がトップタイムを叩き出し、ディフェンディングチャンピオンである野尻智紀やテストで好調だった坪井翔(P.MU/CERMO・INGING)を寄せ付けずグループトップでQ2進出を決めた。一方、開幕前のテストで復調の兆しを見せていた山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、山下健太(KONDO RACING)がQ1で姿を消す結果となった。

Q1 Aグループが終了してから10分後にスタートしたQ1 Bグループ。トップタイムを出した平川を上回ったのは、念願のフル参戦を果たしたサッシャ・フェネストラズ。笹原右京もタイムを上げるが0.091秒及ばず2番手でセッションが終了。Q1 Bグループのトップはフェネストラズとなった。2番手に笹原、3番手に平川に続いたのはルーキーの三宅淳詞(TEAM GOH)。Aグループの佐藤の躍進に続き、三宅もQ2に進出。TEAM GOHのルーキーコンビが開幕戦から躍動した。

各グループを勝ち残った12台で行われた予選Q2は、激しいタイムの出し合いとなった。好調の笹原が1分21秒404という驚異的なタイムを叩き出し、暫定トップに。このタイムを更新しようと各車アタックするも笹原のタイムには及ばない。そんな中、ルーキーの佐藤がラストアタックで詰めるも1分21秒668で2番手タイムとなり、笹原がスーパーフォーミュラで初のポールポジションを決めた。速さがありながらもチャンスに恵まれなかった笹原にとって、嬉しい自身初のポールポジションとなった。

画像: なんとか掴み取ったチャンスをいきなりものにした笹原。今シーズンは暴れてくれるに違いない。

なんとか掴み取ったチャンスをいきなりものにした笹原。今シーズンは暴れてくれるに違いない。

タイヤ戦略が勝敗を分けた決勝

気温23度、路面温度30度というコンディションで行われた決勝は波乱の幕開けとなった。初ポールポジションスタートの笹原がまさかのエンジンストール。佐藤も出遅れる中、トップで1コーナーを通過したのが予選3番手の平川だった。2位にはフェネストラズが2番手へ浮上。後方では100Rコーナーで福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)がスローダウン。ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)との接触により手痛いリタイアとなってしまった。

画像: スタートからいきなり波乱の展開となった開幕戦。

スタートからいきなり波乱の展開となった開幕戦。

また、フロントローから順位を落としてしまった佐藤はダンロップコーナーでスピン。大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の追突が原因ということで、大津にはのちにドライブスルーペナルティが科されている。

平川とフェネストラズによって繰り広げられたトップ争い。6周目のホームストレートでフェネストラズがトップに浮上。しかし平川もしっかりとトップについていき、14周目に再びトップに浮上し快調に飛ばしていく。序盤にタイヤを使い過ぎてしまったフェネストラズは平川に差をつけられてしまう。

ピットウインドウがオープンになり、いち早くピットに入ったのが野尻。トップ集団がピットに入らないのを見て、作戦を変更し先に仕掛けた。野尻以下、続々とピットインする中、トップ4台はステイアウト。

野尻に対抗すべく、平川はセクターベストを更新し続け25周目までひっぱりピットイン。スムーズな作業で平川を送り出したインパルのメカニックだったが、わずかに野尻が前に出て逆転。ついに実質トップに立った野尻だが、燃料が少なくなった状態で新しいタイヤを装着した平川がコース上での逆転を狙っていた。

ホームストレートからダンロップコーナーまでサイドバイサイドの緊迫した接近戦を繰り広げる2台。OTS(オーバーテイクシステム)を使いなんとか平川を抑え込んだ野尻だったが、セクター3のGRスープラコーナーで前に出た平川が一気に野尻との差を広げ勝負アリ。

画像: GRスープラで野尻(奥)の前に出た平川(手前)。このオーバーテイクに場内は盛り上がりを見せた。

GRスープラで野尻(奥)の前に出た平川(手前)。このオーバーテイクに場内は盛り上がりを見せた。

最終的には2位の野尻に5.6秒の差をつけた平川が開幕戦を制し、2年ぶりの優勝を飾った。3位には前半での反省を活かし、後半スティントで安定したペースを刻み続けたフェネストラズが入った。以下、関口、宮田、牧野までがトップ6。7位には21番手スタートから脅威の追い上げを見せた大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が入り見事入賞を果たしている。(写真:井上雅行)

画像: 終わってみれば5.6秒の差をつけた平川。挑戦の1年となる今シーズンに弾みをつける勝利となった。

終わってみれば5.6秒の差をつけた平川。挑戦の1年となる今シーズンに弾みをつける勝利となった。

2022年 スーパーフォーミュラ開幕戦 決勝結果(上位10名)

1位:平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2位:野尻智紀(TEAM MUGEN)
3位:サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)
4位:関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)
5位:宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
6位:牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
7位:大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
8位:坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
9位:佐藤蓮(TEAM GOH)
10位:三宅淳詞(TEAM GOH)

画像: 作戦で挑んだ野尻(左)を速さでねじ伏せた平川(右)。2022年はこの2人を中心に進んでいくのだろうか。

作戦で挑んだ野尻(左)を速さでねじ伏せた平川(右)。2022年はこの2人を中心に進んでいくのだろうか。

2022スーパーフォーミュラ ドライバーズランキング(第1戦終了時点)

1位:21pt/平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2位:15pt/野尻智紀(TEAM MUGEN)
3位:11pt/サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)
4位:8pt/関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)
5位:6pt/宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
6位:5pt/牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
7位:4pt/大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
8位:4pt/佐藤蓮(TEAM GOH)
9位:3pt/坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
10位:3pt/笹原右京(TEAM MUGEN)

画像: 2021年のチームチャンピオンであるインパルが今年もいきなり強さを見せつけた。

2021年のチームチャンピオンであるインパルが今年もいきなり強さを見せつけた。

2022スーパーフォーミュラ チームランキング(第1戦終了時点)

1位:28pt/carenex TEAM IMPUL
2位:15pt/TEAM MUGEN
3位:11pt/KONDO RACING
4位:6pt/Kuo VANTELIN TEAM TOM’S
5位:5pt/DOCOMO TEAM DANDELION RACING
6位:4pt/TCS NAKAJIMA RACING
7位:3pt/P.MU/CERUMO・INGING
8位:3pt/TEAM GOH

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