世界的な人気と需要に応えて、各ブランドは新しい個性を持つモデルを相次いで展開している。そして、いわゆる「Bセグメント」と呼ばれるコンパクトなサイズのSUVにも、その人気の高まりとともに新たなトレンドが生まれつつある。そこでMotor Magazine誌では、ルノー キャプチャー、プジョー2008、ボルボ XC40に注目。ちょっとお洒落な雰囲気を楽しませてくれるBセグメントSUVにはどんな独自の個性があるのか、その魅力を探っている。(Motor Magazine2022年5月号より)

スタイリッシュさが際立つルノー キャプチャー

本格的なキャンプに家族や友人と出かけるのが趣味、という人にはCセグメントサイズ以上のSUVが必要かもしれない。だが、基本的にパーソナルユースや日常使いがメインなら、BセグメントのSUVはリアシートもラゲッジスペースも十分で、機動性にも優れるので最適ともいえる。

ルノー キャプチャーは、張りのあるショルダーラインがマッシブな印象だが、全体的には丸みを帯びたプロポーションで、直線と曲面が造り出すボディスタイルはエレガントでもあり、紛うことなくSUVだが実用性一辺倒ではなくスタイリッシュさがある。

画像: ルノー キャプチャー インテンス テックパック。コンパクトなボディサイズながら力強く躍動感のある印象を描き出すサイドビュー。リアクォーターピラーのデザインも印象的だ。2トーンボディカラーは標準仕様。

ルノー キャプチャー インテンス テックパック。コンパクトなボディサイズながら力強く躍動感のある印象を描き出すサイドビュー。リアクォーターピラーのデザインも印象的だ。2トーンボディカラーは標準仕様。

CシェイプのデイタイムランニングライトとLEDヘッドライトを採用するが、その周囲には立体的なストライプも配され、まさに「目」のような造形となっている。「目ヂカラ」も強いが、サイズ感も影響してか、どこか「生意気だけど可愛い」雰囲気を漂わせる。

インテリアは、ブラック基調でシックな雰囲気。シンプルにスイッチが並ぶ中に、空調関係の操作系が物理スイッチとしてレイアウトされているのは走行中でも直感的に操作しやすくて嬉しい。

機能装備も充実だが、中でも私の推しはステアリングヒーターだ。最近はコンパクトクラスまで急速に普及しているが、一度使うと手放せなくなり、クルマ選びの際にドライブフィールだけでなくその有無もチェックするほどだ。

1.3L直列4気筒ターボエンジンは、最高出力113kW(154ps)/5500rpm、最大トルク270Nm/1800rpm。このスペックからもわかるとおり、トルクの太さが走りのキャラクターを大きく印象づけている。街乗りでも発進時からスルスルと加速を見せてくれて扱いやすい。

組み合わされる7速DCTは発進直後、シフトアップ時の段付き感などでギクシャクする印象を覚えるシーンもあるが、パワートレーンの印象をここで判断するのはまだ早い。ある程度、速度が乗るとスムーズになり、むしろDCTならではのダイレクト感が際立ち、なかなかに気持ち良い。

近年は3気筒エンジンでも侮れないクオリティを見せるが、ここにはやはり4気筒エンジンならではの質感、雑味のない回転フィールがある。パワフルではないがワインディング路や登坂路での物足りなさもなく「ちょうど良い」パワーフィールだ。そして、フットワークは、しなやかで落ち着きのある、大人っぽい走りが印象的だ。

直接のライバルたる2モデルどちらの走り味も特徴あり

フランスのBセグメントとして真っ向からのライバルとなるのがプジョー2008。こちらも、結構攻めたエクステリアデザインながら違和感なくまとまり感のあるところがさすがプジョーと感心する。フロントマスクの特徴は、縦長のデイライト。

ユニークな造形でかなり目立つが、フロントマスクのディテールはライオンがモチーフで、その「牙」だと聞けば納得だ。リアに向けて跳ね上がるサイドのキャラクターラインもユニークで、全体的にオシャレなだけでなく、SUVとしての迫力も感じられる。

画像: プジョー2008アリュール。キャビンのグラスエリアとショルダーラインから下のボディ部分のバランスにデザインの巧みさを感じさせるサイドビュー。ファッショナブルで精悍なイメージだ。上級モデルのGTはツートーンボディカラーでブラックダイヤモンドルーフとなる。

プジョー2008アリュール。キャビンのグラスエリアとショルダーラインから下のボディ部分のバランスにデザインの巧みさを感じさせるサイドビュー。ファッショナブルで精悍なイメージだ。上級モデルのGTはツートーンボディカラーでブラックダイヤモンドルーフとなる。

インテリアはグレー基調で大人しめだが、ペパーミントグリーンをアクセントカラーに使うところにセンスを感じる。そして特徴的なのが、上下がフラットになった小径のハンドルだ。3D表示されるメーターパネル、SUVでありながら乗用車のような低めのドライビングポジション。3D i-コックピットは、機能的でありながらデザイン性も高く、プジョー独自の世界観に溢れる。センターコンソールのATセレクターはフローティングデザインとされる。

キャプチャーから乗り換えるとヒップポイントも低く、さらに小径のハンドルを握ると、スポーティなクルマを運転しているような気になれる。実際のところ、ハンドルを切り込むと、キュッとシャープに反応する。据え切りだと驚くほど軽い操舵感のハンドルも、速度が上がって荷重がかかると、ずっしりと手応えがある。

そして、より重心に近いところに座っているせいか、ワインディング路でのコーナリング時も、上モノの重量感がなくスポーティに走れる。でも、その乗り味は決してソリッドではない。フランス車は総じてストローク感があり、しなやかな乗り味が特徴だ。そしてプジョーのそれは、よく「ネコ足」と表現される。

ネコのように俊敏でしなやかな筋肉の四肢がギューッと伸びる感じをイメージしているのだろう。さらに言えば「肉球」によるペタペタした感じとも表現できる、粘りのある走り味なのだ。ボディはキビキビ動くのに、足元はねっとり。ホント、独特。

搭載されるエンジンは1.2L直列3気筒ターボで、最高出力96kw(130ps)/5500rpm、最大トルク230Nm/1750rpm。絶対的なトルクの差で、出足の良さではキャプチャーに軍配が上がるが、ひとたびスピードに乗ってしまえば思うほどのパワー差はなく、街中はもちろん、ワインディングロードでもパワー不足は感じられない。8速ATを装備しているためトルクの美味しい領域を維持しやすく、また滑らかさにも貢献している。

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