「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、シェルビーアジア アジアパシフィックだ。

シェルビーアジア アジアパシフィック(2011年:リプロダクションモデル)

1960年代初頭、キャロル・シェルビー氏はエンジンの供給に困っていた英国ACカーズに対し、米国フォードのエンジンを供給するかわりに、ACカーズからボディとフレームを供給させ、そのクルマを全米のフォード店舗でも販売するともちかけた。こうして完成した英米合作のスーパースポーツカーがオリジナルのコブラで、1963年から70年頃にかけて生産された。

画像: 全長3860×全幅1753×全高1220mmと、見かけより実寸は意外とコンパクト。ホイールベースも2286mmしかない。

全長3860×全幅1753×全高1220mmと、見かけより実寸は意外とコンパクト。ホイールベースも2286mmしかない。

だが石油危機のあおりを受け、ACカーズの業績は悪化し、コブラも自然消滅した。それでも、その高い人気を受けて、やがて多くの「リプロダクション」と呼ばれる再生産車が生まれた。

今回紹介するアジアパシフィック(以下、AP)モデルもその1台。長年シェルビーの正規代理店として、コブラの日本への輸入販売を手がけ、このほど(編集部註:2011年当時)横浜にシェルビーアジアを設立した田邊正剛氏が、ビギナーにもコブラを楽しんでもらえるようにと日本市場向けにプロデュースしたモデルだ。

APモデルの実車は4mを切る比較的コンパクトなサイズのボディながら、やけに大きく見えるのは、その存在感の大きさゆえだろうか。FRP製のボディパネルは美しく、高いクオリティで造形されているのが印象的だ。

タイトなコクピットにおさまると、目の前のインパネにはスミス製のメーターとトグルスイッチがズラリと並んでいる。スピードメーターが反時計回りに動くところも面白い。直立気味のウインドシールドや細いステアリングホイール、オリジナルを踏襲して前倒したシフトレバーや立ち上がったサイドブレーキレバーなどが、ヴィンテージな雰囲気をかもし出している。

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