「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレだ。

フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ(2011年:ニューモデル)

フォルクスワーゲン ゴルフのオープンモデルが10年ぶり(編集部註:2011年当時)に復活した。ソフトトップの開閉はフルオート。最新プロテクションシステムの採用で「ストロベリーバスケット」と親しまれたロールバーは廃され、よりスタイリッシュで開放的になった。

画像: ソフトトップは電動開閉で、オープンは9.5秒、クローズドは11秒、しかも30km/hまでなら走行中でも開閉可能。

ソフトトップは電動開閉で、オープンは9.5秒、クローズドは11秒、しかも30km/hまでなら走行中でも開閉可能。

オープンモデルだから「後席が」「荷室が」「静粛性が」・・・などなど、屋根が開くクルマを語る際には「オープンモデルだから」という前置きがよく聞かれる。ところが4世代目となるゴルフ カブリオレ(ゴルフとしては6世代目だが)には、そんな前置きや言い訳は一切存在しない。

ボディはとにかくビシッとしている。オープンモデルは屋根の開閉で印象が変わるものが多いのだが、開けても閉めてもビシッ!と揺るぎがない。少々路面が悪いところや、石畳の上を走っても、ありがちなガタツキ感やネジレ感が一切ない。

このボディ補強を、ベースのハッチバックとの車両重量差を130kgでやってのけた。さすがはフォルクスワーゲン、カブリオレ専用の装備重量を引くと、いかに効率的にボディ補強が行われたかが伺える。

とはいえ、130kgの重量増はさすがにスタートダッシュ時には厳しい感じもするが、メーカー発表データによると、0→100km/h加速は9秒を切るとのこと。ここにも言い訳はなかったのだ。

オープンでもクローズドでも作りの良さは変わらない

実際に乗ってみると、ダッシュ的な素早さは感じられないが、速度は余裕を持って伸びていく。逆にガタツキ感がない上、サイドウインドーを閉めればウインドディフレクターが不必要なほど風の巻き込みも少ない。

6速100km/hでのエンジン回転数は2000rpmと、エンジンサウンドも静かなために、リアシートのパッセンジャーともラクに会話ができるほど快適だ。そのため、いつの間にか速度がけっこう乗っていることが多いので、走行中はスピードメーターの要確認をオススメしたい。

画像: 基本的にはハッチバックと同じデザインのインパネだが、レザーのインテリアカラーは4色設定されている。

基本的にはハッチバックと同じデザインのインパネだが、レザーのインテリアカラーは4色設定されている。

そして、早いと言えばルーフの開閉もそう。オープンは9.5秒、クローズドは11秒、しかも30km/hまでなら走行中でも開閉可能。その際の窓の開閉動作も、いちいち全開にならず、少し下がるだけ。カバーも不要。冬は標準装備のシートヒーターが、夏は最大で23度も温度の上昇を抑えるというクールレザーシートがフォローするなど、雨さえ降らなければ開けていたいくらいスキがない。

もちろんクローズドでも、横に広い大型の熱線入りリアウインドーガラスのおかげで、Cピラーの死角もさほど気にならないし、ヘッドクリアランスも予想以上に広い。リアシートはシートバックこそやや立ち気味だが、膝まわりはけっこう余裕があり、おとな2人がしっかり乗れる。その状態でも、ラゲッジスペースはトランクスルー付きで250Lも確保されていると、本当に抜かりがない。

このあまりの優等生ぶりに、守ってあげたくなるような可愛げや色気が薄いのが唯一の欠点だろうか? だがゴルフ カブリオレは、誰にでもオススメできるオープンカーであることは間違いないだろう。

画像: サイドウインドーを上げればウインドディフレクターが不必要なほど風の巻き込みも少ない。

サイドウインドーを上げればウインドディフレクターが不必要なほど風の巻き込みも少ない。

■フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4260×1780×1430mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1470kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+S/C
●総排気量:1389cc
●最高出力:118kW(160ps)/5800rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1500-4500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●10・15モード燃費:15.4km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●当時の車両価格(税込):399万円

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