ボルボのフラッグシップSUVであり、充実した機能、装備に加え、7人が乗車できる3列シートを採用するXC90。日本導入以来とても人気のあるモデルなのだが、現行型も熟成が進み、PHEVのT8はバッテリー容量が拡大するなど、魅力がさらに増している。今回は岡本氏に長く試乗してもらい、その使い勝手などをテストしてもらった。(Motor Magazine 2022年6月号より)

デザイン

使い勝手も良く、広い室内空間を実現していながら、外見は絶妙にキャビンを絞り込んだエレガントな姿を見せていることに、あらためて感心する。大柄なサイズなのだが、車両感覚が掴みやすく、さらには視界を補う表示や運転支援機能も充実しているので、サイズによる物理的な制約はあるものの、出先で駐車する際もそれほど持て余さない。

運転支援機能(ADAS)

機能が豊富で、車間の維持やステアリング制御などにもクセがなく安定していて、クルマに全幅の信頼をおいても不安に感じることはない。

コネクティビティ

インフォテインメント系も含めさまざまな機能に対応が図られており不便は感じない。Apple CarPlayは便利。

燃費性能

満充電で受け取って目黒→新橋→世田谷とほど一般道を走ったが、まだEV走行できるとの表示。そのまま東名高速で西に向かうと、ほぼ表示どおりエンジンをかけないで走れた。エンジンパフォーマンスに不満もなく、充電を最大限に活用するとメリットも大きい。

車載機能の操作性

いち早く物理スイッチを減らしたインフォテインメント系は、機能が多く、慣れればとても使いやすいもの。

安全性能

全方位の衝突に対しても乗員を守ることを念頭に車体も設計されている。それは懸念されることの多い3列目の後突に対しても同様で、座る場所で安全性に差がつかないボルボの哲学が感じられる。XC90に乗っていると、もしも万一があってもクルマが守ってくれる安心感が強い。

画像: とても快適なドライブだったため子供が熟睡してしまった。ジュニアシートは便利な装備だ。

とても快適なドライブだったため子供が熟睡してしまった。ジュニアシートは便利な装備だ。

長距離運転の快適性

子供たちからは広いパノラマルーフが好評だった。小学校に入ったばかりの長男と、幼稚園に通う長女がいる我が家にとって、ビルトインのジュニアシートは非常に重宝する。走りでは高い車速域までモーターのみで走れ、エンジンがかかっているかどうかも気にならないほど静粛性も優れる点が好印象。走行中の車内の会話明瞭度も高い。
電気を使い切ったところで、チャージモードを試すと、高速巡行していればゆっくりとではあるもののEV走行できる距離の数字が増えていく。むろんアクセルペダルの踏み加減でだいぶ変わるが、100km/hの巡行状態をキープすると約2km走るごとに1kmEV走行できる分、充電されるという感じだった。

T8エンジンは、ターボチャージャーのみで過給するようになったがスペックは不変で、俊敏で力強い。2.3トン超の車両重量をものともしない走りも変わらず。

ブレーキも本当に回生しているのかと思うほど自然なフィーリングで、微妙な減速Gもコントロールしやすいおかげで乗員に不快な思いをさせることもない。

官能性能

「官能」的な走りというとボルボの得意分野ではない気もするが、T8エンジンの吹け上がりはなかなか気持ちがいい。視覚面では、妻の評価も高かったように、エレガンドな内外装の魅力はいまだに色あせていない。

車両価格の魅力

SUVなりに価格は高価だが、このクラスでこの内容のSUVがこの価格というのは、ドイツ勢あたりと比べてもなかなかリーズナブルに思える。

ステイタス性

日本における好感度の高さは周知のとおり。ブランド力をひけらかすことのない奥ゆかしさもボルボらしさである。そんなボルボのフラッグシップSUVということで魅力は大きい。

総合評価

3列目は成人男性でもストレスなく座れる広さが確保され、最大7人が快適に移動できるのはXC90ならでは。強力なモーターやバッテリーを積むリチャージでも室内空間や荷室への影響はなく、恩恵がまったく犠牲になっていないのがありがたい。

走りについても具体的な変更が伝えられたわけではないが、乗り心地もハンドリングも全体的に洗練度が深まっていて、もともとよい印象を持っていたXC90がさらによくなっていることを実感した。熟成が進んでいるようだ。時間が経過して完熟の域に達した今だからこそ、XC90はここまで完成度が高まっているに違いない。

(文:岡本幸一郎/写真:井上雅行)

画像: 総合評価

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