2022年6月1日、レクサスはミドルクラスのラグジュアリーSUV「RX」をフルモデルチェンジ、オンラインで世界初公開した。日本での発売は2022年秋頃を予定している。ただ、今回公開された車両はプロトタイプであり、発売モデルとは異なる仕様となる可能性がある。

レクサスの挑戦を象徴するグローバルモデルが5代目に全面刷新

RXは、レクサスのSUVラインナップで上から2番目、フラッグシップのLXに次ぐミドルサイズのラグジュアリーSUVだ。1998年に発表された初代と2003年に発表された2代目は、日本で「トヨタ ハリアー」として発売されたが、2009年に発表された3代目からは日本でもレクサス RXとして発売。従来型は2015年に発表された4代目にあたる。

2005年にはレクサス初のハイブリッド車「RX400h」を発売するなど、ラグジュアリーSUV市場における電動車のパイオニア的な存在でもあり、1998年から2022年4月末時点まで、約95の国と地域で累計約350万台を販売している。

そして今回発表された5代目の新型RXは、2021年10月発表のNXから始まった「次世代レクサス」の第4弾モデルにあたり、それぞれのモデルに採用されてきた文字による「LEXUS」エンブレムやスピンドルボディなどのアイコンを採用している。

画像: 従来モデルのアイコンにもなっていた、ナイフのような形状をしたDピラー&フローティングルーフは引き続き採用する。写真はRX450h+のプロトタイプ。

従来モデルのアイコンにもなっていた、ナイフのような形状をしたDピラー&フローティングルーフは引き続き採用する。写真はRX450h+のプロトタイプ。

中でも、電気自動車RZではじめて採用されたスピンドルボディは、エンジン搭載モデルであるRX用にリファインされて、フロントグリルの「閉口」と「開口」の境界をグラデーションで表現する斬新なデザインとしている。冷却機能と力強いデザインを両立させる新しい独自性だという。

プラットフォームは弟分にあたるNXと同様、GA-K改良プラットフォームを採用し、軽量化と低床化により、重心高を従来型から15mm下げられている。ボディサイズを見ると、従来モデルから全長は変わらず4890mm、全幅を25mm拡大して1920mmと若干の拡大はある。それでもプロトタイプの実車を前にすると従来モデルよりだいぶ大きい印象を抱くが、その理由は直立するように配置されたフロントグリルの存在によるものだろう。

ただ、全長における数字上の変化はないので、使い勝手の面で大きく変わることはなさそうだ。ホイールベースは60mm延長して居住空間の拡大、前トレッドを15mm/後トレッドを45mmずつ拡幅したことよるスタンスの良さなど、低重心で踏ん張り感あるプロポーションを実現している。

画像: ホイールベースを60mm延伸させ、外観においては低重心さを強調するスタイリングに。写真はRX450h+のプロトタイプ。

ホイールベースを60mm延伸させ、外観においては低重心さを強調するスタイリングに。写真はRX450h+のプロトタイプ。

サスペンションは、前:ストラット/後:マルチリンク式(新開発)。プラットフォームはリア部分を新開発し、フロントフェンダーのアルミ化やほっとスタンプ材の採用などで、車両重量を従来型比で90kgの軽量化を達成している。

また、高いボディ剛性による振動抑制に加えて、吸音材の最適配置や、減衰力の高い接着剤と制振材を適所に導入することなどにより、ロードノイズを低減している。

インテリアは、レクサスのクルマづくりに根付く人間中心の思想をさらに進化させた新たなコクピットデザイン「タズナ(手綱)コンセプト」に基づいている。ステアリングスイッチとヘッドアップディスプレイを高度に連携させ、視線移動や煩雑なスイッチ操作をすることなく、運転に集中しながらナビゲーションやオーディオ、各種機能の制御が可能な空間を実現している。ダッシュパネルからドアトリムまで繋がるような曲面の構成から高級感も感じられる。

多様化するユーザーのニーズに寄り添った多彩なパワートレーン

日本仕様の詳細は未定だが、現段階で以下のように4つのパワートレーンとグレード名が発表されている。もちろん現行モデルのように、この4つからFスポーツやバージョンLなどといった仕様が派生すると思われ、そのひとつとして判明しているのは「RX500h Fスポーツ パフォーマンス」の存在だ。この詳細は別の機会に解説するが、従来のFスポーツよりも高性能なモデルとなることは明らかだ。

画像: プラグインハイブリッド車であるRX450h+のエンジンルーム。前後にモーターを搭載した電気式4WD、E-Fourモデルとなる。写真はプロトタイプ。

プラグインハイブリッド車であるRX450h+のエンジンルーム。前後にモーターを搭載した電気式4WD、E-Fourモデルとなる。写真はプロトタイプ。

2.4Lターボ 4WD/FF(RX350)

2.4Lターボエンジンと高トルク対応型ダイレクトシフト8ATを搭載。FFと電子制御フルタイム4WDを設定。トルクフルでダイナミックな走りを実現する。

2.5L ハイブリッド E-Four 電気式4WD/FF(RX350h)

2.5Lエンジンとバイポーラ型ニッケル水素電池にモーターを組み合わせたハイブリッド車。リアにもモーターを備えるE-Fourも設定。低燃費と気持ちの良い走りを実現する。

2.5L PHEV E-Four 電気式4WD(RX450h+)

2.5Lエンジンと大容量・高出力リチウムイオンバッテリー、そして前後にモーターを搭載したプラグインハイブリッド車。クラストップレベルのEV航続距離と力強い加速性能を実現する。

2.4Lターボ ハイブリッド ダイレクト4(RX500h)

前に2.4Lターボ+モーターのハイブリッド、後ろにモーターの「eアクスル」を組み合わせたダイレクト4を採用。バイポーラ型ニッケル水素電池を含めた電動化技術による、新たなドライビング体験を実現する。

人間中心の考え方に基づいた最新の予防安全機能

先進の予防安全技術「レクサス セーフティシステム+」を搭載する。運転状況に応じて適切な操作サポートを行うプロアクティブドライビングアシストや、ドライバーモニターとの連携によるドライバーの運転状況に応じた最適制御なども採用している。

高度運転支援機能「レクサスチームメイト」では、アドバンストドライブ(渋滞時支援)とアドバンスドパーク(リモート機能付き)を採用している。

さらに、OTA(Over The Air)アップデートで運転支援技術を常に最新バージョンに更新可能になったり、後方からの自転車を含む接近車両を検知して通知とドア開放をキャンセルする機能を採用した、安心降車アシスト(ドアオープン制御付)や、専用のアプリをインストールすればスマートフォンをデジタルキーとして使用できるなど、先進技術による新たな体験価値も高めている。

画像: ダッシュパネルから両側ドアトリムへと面で繋がるようなコクピットデザインで、広がり感を演出する加工も施される。

ダッシュパネルから両側ドアトリムへと面で繋がるようなコクピットデザインで、広がり感を演出する加工も施される。

前述のように、新型RXの日本発売は2022年秋頃が予定されている。ミドルクラスのラグジュリーSUVは、メルセデス・ベンツ GLEやBMW X5など、輸入車も多くのライバルがひしめく激戦区だ。レクサスの新たなグローバルコアモデルを目指す新型RXは、日本でも世界でも、これらのライバルに挑んでいくことになる。(写真:永元秀和)

レクサス 新型RX 主要諸元(プロトタイプ)

・全長:4890mm(従来型比±0)
・全幅:1920mm(同+25mm)
・全高:1695mm(同−10mm、地域や仕様によって異なる)
・ホイールベース:2850mm(同+60mm)
・ホイールサイズ:19インチ or 21インチ

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