2009年4月、911、ボクスター/ケイマン、カイエンに続くポルシェ第4のモデル「パナメーラ」がワールドデビューを果たした。グレードは、4.8L V8エンジン(400ps)搭載の「パナメーラ S/4S」と、同ターボエンジンを搭載する「パナメーラ ターボ」(500ps)の3モデル。Motor Magazine誌では日本上陸を待ちきれず、ドイツ本国でパナメーラ ターボの試乗テストを行っている。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年11月号より)

9日間計2000km以上のロングドライブを敢行

ドイツ・ニュルブルクリンク走行のお供として、パナメーラを借りることにした。じっくりと長距離を乗ることで見えてくる自動車の本質というものもある。シュツットガルトのポルシェ本社で広報車を借りて返却するまで、9日間計2000km以上のロングドライブのインプレッションをお伝えしよう。

画像: ドイツでも6月に発売が開始されたばかりなので、どこに行っても注目の的。多くの人から声をかけられた。

ドイツでも6月に発売が開始されたばかりなので、どこに行っても注目の的。多くの人から声をかけられた。

まずはクルマを取りに行くところから。フランクフルト空港からシュツットガルトまでDB(ドイチェ・バーン=ドイツ鉄道)を選んだ。ICEという新幹線のような特急列車のファーストクラスは快適そのもの。1時間ほどの列車の旅は、あっという間に終わってしまった。

金色のパナメーラターボは屋外の広報車用駐車場で我々を待っていた。ターボはパナメーラのモデルラインナップのトップエンドだ。V8ターボエンジンのトルクとパワーは、フルタイム4WDで駆動されるから最高の加速が得られる。これからの9日間が楽しみになった。

この時期のドイツは夜の10時近くまで明るい。ヘッドライトスイッチをオートにしておけば、明るいうちはキセノンの周囲に4個のLEDが輝くデイタイムランニングモード、暗くなるとキセノンヘッドライトが自動的に点灯するからお任せでいい。

走行性能、燃費、居住性。三拍子揃ったスポーツモデル

パナメーラを走らせてみると、外から見るよりも運転している方がクルマを小さく感じた。

その理由は、ボディ剛性が並外れて高い感じがすること、操舵力が軽めに設定されたパワーステアリングで応答性が軽快なこと、あり余るトルクによりアクセルペダルに対する反応に遅れがないこと、ブレーキはペダルの浅い踏み込みのところから正確に効くこと、ドライビングポジションを取ったときに左右のフェンダーの稜線が見えるから車幅間隔が掴みやすいことなどが挙げられる。

画像: 圧倒的なポテンシャルを誇る4.8L V8ターボエンジン。0→100km/h加速は4.2秒(OPのスポーツクロノパッケージ装着の場合4.0秒)、最高速度は303km/hを誇る。

圧倒的なポテンシャルを誇る4.8L V8ターボエンジン。0→100km/h加速は4.2秒(OPのスポーツクロノパッケージ装着の場合4.0秒)、最高速度は303km/hを誇る。

アウトバーンでは、景気対策のためか、いたるところで工事が行われていた。工事区間が終わって制限が解除されたらパナメーラターボの本領発揮だ。アクセルペダルを深く踏み込むとあっという間に200km/hを超える。そのままアクセルペダルを床まで踏み込んでいると、250km/hまでもすぐに到達する。直線が続けば250km/hからでも加速する。スピードリミッターはないからそのまま300km/hオーバーまでいけるはずだ。

3人乗車でも走った。ラゲッジルームには荷物を満載、運転席の後ろは旅行用トランクを二段重ねにしたフルロードの状態だったが、250km/hまでの加速は見事だった。

インターチェンジからアウトバーンに乗るとき、本線に合流するときの加速レーンは楽しい。50km/hから200km/hオーバーまで一気に加速する。乗員全員がシートバックに押し付けられたまま、ロケットの打ち上げのように途切れのない加速が続く。7速のデュアルクラッチトランスミッションとターボエンジンのマッチングも素晴らしい。アクセルペダルに対してダイレクトな加速感だから楽しいのだ。

200km/hで巡航するのは非常に楽だ。100km/hでのエンジン回転数は7速で1400rpmに過ぎない。つまり200km/h前後の巡航時でも3000rpm以下で走れるわけで、トルクバンドに乗った回転数でアクセルレスポンスはいいし、室内はとても静かなのである。

こんな走りをしていても燃費が良いのに驚いた。トータルでは8.0km/L近い燃費をマークした。

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