2022年6月10日、F1第8戦アゼルバイジャンGPが首都バクーの市街地サーキットで開幕する。前戦モナコGPの予選で速さを見せながらレッドブルに悔しい敗退を喫したフェラーリが、ここでどう戦うか注目される。シーズンも中盤戦、大事な勝負どころに差し掛かってきた。

さまざまな要素が組み合わされた興味深いグランプリ

先週のモナコGPに続き、今週はアゼルバイジャンGPが開催される。どちらも市街地コースなのだがその特性は大きく異なる。

アゼルバイジャンGPが行われるバクー市街地サーキット(Baku City Circuit)は、「テクニカルなモナコと、高速なモンツァをひとつにしたようなコース」とも言われ、セクターごとにコース特性が変化することでも知られる。

近代的な建物が並ぶなかをフラットで直角コーナーが続くセクター1、旧市街を周るように狭く曲がりくねったセクター2、カスピ海に面したほぼ直線の広い道をアクセルペダル全開で駆け抜けるセクター3を組み合わされた難しいコースレイアウトだ。

画像: バクー市街地サーキットのコース図。全長は約6kmと長く、変化に富んでいることがわかる。

バクー市街地サーキットのコース図。全長は約6kmと長く、変化に富んでいることがわかる。

コンクリートが待ち受ける難しい直角コーナー、道幅が7mほどしかない旧市街、90km/h近くまでスピードが落ちるテクニカルな低速コーナー、最高速350km/hを超える道幅が広いロングストレートなど、異なるセクションにいかにマシンをあわせるかがポイントとなる。

高速セクターを重視してローダウンフォースでいくか、旧市街のセクターに合わせたハイダウンフォースでいくか、妥協点を見つけ出してミディアムダウンフォースとするか。今回2022年で6回目のグランプリ開催となるので、チームのイメージは出来上がっているはずだ。

オーバーテイクのチャンスは多く、その中でも「ターン16の出口からターン1まで」のF1最長のフラットアウト区間で、トゥを使った攻防が見所のひとつになる。またモナコ以上にアクシデントが多発するコースとして知られており、セーフティカーの導入もレースの行方を左右する。

画像: 元ソビエト連邦のアゼルバイジャンは、ロシアとイランに挟まれた位置にあり、コーカサス山脈とカスピ海に面している。石油資源が豊富なことで知られる。バクーはアゼルバイジャンの首都、ロシアのソチから900kmしか離れていない。

元ソビエト連邦のアゼルバイジャンは、ロシアとイランに挟まれた位置にあり、コーカサス山脈とカスピ海に面している。石油資源が豊富なことで知られる。バクーはアゼルバイジャンの首都、ロシアのソチから900kmしか離れていない。

このコースでは風と路面温度の変化もポイントとなる。カスピ海から吹く風は気まぐれで、バクーは「風の街」と呼ばれるほどさまざまな風が吹く。また、セクター1では近代的な建物によって陽射しを遮られる場所もあり路面温度はころころと変化、タイヤの温度管理が難しく、しばしばタイヤトラブルを引き起こしている。

昨年2021年のアゼルバイジャンGPでも、タイヤバーストのアクシデントが続発して大混乱。とくにレース残り5周で、トップを独走していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が左リアタイヤバーストからクラッシュしたシーンは衝撃的だった。

その後わずか2周を残して再開されたレースでは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がターン1のブレーキングでまさかのオーバーランという思いがけないことも起きた。結局、これで首位に立ったセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がそのまま逃げ切って自身2勝目、レッドブル移籍後初優勝を遂げた。

画像: 昨年2021年アゼルバイジャンGP。トップを独走していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のクラッシュは衝撃的だった。

昨年2021年アゼルバイジャンGP。トップを独走していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のクラッシュは衝撃的だった。

画像: 昨年2021年アゼルバイジャンGP。2周を残して再開されたレースでは、2番手からスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)がターン1のブレーキングでオーバーランというシーンもあった。

昨年2021年アゼルバイジャンGP。2周を残して再開されたレースでは、2番手からスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)がターン1のブレーキングでオーバーランというシーンもあった。

画像: 昨年2021年アゼルバイジャンGPのタイヤ戦略。フェルスタッペンのクラッシュで赤旗中断となったため変則的となったが、実質ソフト→ハードの1ストップが主流だった。

昨年2021年アゼルバイジャンGPのタイヤ戦略。フェルスタッペンのクラッシュで赤旗中断となったため変則的となったが、実質ソフト→ハードの1ストップが主流だった。

【参考】2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP決勝 結果

1位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)51周
2位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+1.385s
3位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+2.762s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +3.828s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+4.754s
6位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+6.382s
7位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) +6.624s
8位 55 C.サインツ(フェラーリ)+7.709s
9位 3 D.リカルド(マクラーレン・メル セデス)+8.874s
10位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ)+9.576s
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リタイア M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

タイヤを供給するピレリは「モナコの複雑さとモンツァのスピードを組み合わせたユニークなバクー市街地サーキットにあわせて、最も柔らかい3つのタイヤを用意しました。これは昨年のアゼルバイジャンGPと同じ組み合わせですが、18インチとなった今年のものはコンパウンドも構造もまったく新しいものです。昨年の勝利戦略は事実上ワンストップ、ソフト→ハードを主流としていました。しかし、レーススタートタイヤに制約のない今年は、昨年と異なる戦略となる可能性があります。天候は暖かく、路面温度は50度を超える可能性がありますが、高い建物で陽射しが遮られて温度が上がらない箇所もあるでしょう。タイヤのポイントはトラクションです。フロントとリアの適切なバランスを見つけることが重要な課題になります。フロントタイヤを冷やす長いストレートでいかに熱を入れるか。一貫しない路面温度により、技術的課題がほかにも出てくるでしょう」と分析している。

画像: ピレリが分析する2022年アゼルバイジャンGPのデータ。

ピレリが分析する2022年アゼルバイジャンGPのデータ。

さて2022年はどんなレースとなるのか。第8戦アゼルバイジャンGPは6月10日15時(日本時間20時)から始まるフリー走行で開幕する。

2022年F1第8戦アゼルバイジャンGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:6月10日15時〜16時(日本時間20時〜21時)
フリー走行2回目:6月10日18時〜19時(日本時間23時〜24時)
フリー走行3回目:6月11日15時〜16時(日本時間20時〜21時)
予選:6月11日18時〜19時(日本時間23時〜24時)
決勝(51周):6月12日15時〜(日本時間20時〜)

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