「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ポルシェ 911ターボSだ。

ポルシェ 911ターボS(2011年:2012モデル)

1970年代前半の「スーパーカー ブーム」の立役者の1台だったのが、ポルシェ 911ターボだ。そのころのモデルはタイプ930だったが、40年近くを経たいま(編集部註:2011年)の911ターボは、911としては6世代目にあたるタイプ997となる。まもなく本国では次期型のタイプ991が発表されると噂されているが、ターボモデルの登場は少しあとになるだろう。そこで、熟成された現行型911ターボの上級グレード「ターボS」に試乗してみることにした。

画像: 全長4450×全幅1850×全高1300mmというサイズは、最近のクルマとしては大きい部類ではない。やはり、スポーツカーにはコンパクトさも大事だ。

全長4450×全幅1850×全高1300mmというサイズは、最近のクルマとしては大きい部類ではない。やはり、スポーツカーにはコンパクトさも大事だ。

さて、最高出力530ps&最大トルク700Nmというパフォーマンスはハンパではない。実際、十分以上なんてレベルではなく速いのだが、それはスピードメーターの表示を見て気づかされる。つまり、ハンドルを握って運転していても、また走っている姿を外から眺めていても、意外と速さを感じない。なんとも不思議なクルマなのだ。

高速道路をクルージングしていても、きわめて普通だ。そこで、目の前が開けたところでいきなりガバッ!と床までアクセルペダルを踏みこむ、なんていう無謀なこともしてみたが、瞬時に電子制御が働いて確実に路面を捉えてくれる。そのコントロール力たるや、恐るべし。

トランスミッションは7速PDKと呼ばれるデュアルクラッチトランスミッション(DCT)だが、これも賢い。Dレンジに入れっぱなしで運転していてもタルさを感じさせることもなく、走り出しでペダル操作を迷うなど、モタついたりさえしなければシフトショックもない。ブレーキ制動力も安心感の高い確かなものだが、ペダルフィーリング的にはものすごくコントロールしやすくて、街中をゆったりと流すような、おとなっぽい(?)走りにも問題なく対応してくれる。

乗り心地もスーパーカーとは思えないほど、けっこう快適だ。ドライブモードを「スポーツ」に切り替えると、エンジン、トランスミッション、シャシの性能がよりアクティブに強化されるため、さすがに乗り心地は硬くなるが、「ノーマル」なら少々路面の悪い街中でもゆるりとやり過ごせるレベルに収まっている。

This article is a sponsored article by
''.