1980年代まで自動車メーカー各社が発売に向けて試行錯誤していたが、その市場を読みきれず市販化に至らなかったミッドシップスポーツカー。しかし、そんな中でトヨタが1984年に発売したのが、国産初MRスポーツ「MR2」だった。今回はその魅力を4回に分けてお届けしよう。(GTメモリーズシリーズ第9弾「AW11 トヨタMR2」より一部抜粋)

直列4気筒ツインカム16バルブは、ライトウェイトスポーツの証だった!

1984年の初登場時、MR2に搭載されたパワーユニットは「レーザーα4Aツインカム16」と通称された。エンジン型式では4A-GELUとなる。バルブ駆動方式にDOHCを採用した1.6L直4の16バルブエンジンだ。最高出力は130ps/6600rpm、最大トルクは15.2kgm/5200rpmのパフォーマンスを発揮した(いずれもグロス)。まずこのエンジンから見ていこう。

ドライバーズシートの直後に横置きされた4A-GELUユニット。トヨタが誇るべき名車AE86と基本を同じくする。発表当時はグロスで130psを発生した。

2本のカムシャフトを収めるシリンダーヘッドは、熱伝導性に優れたアルミ合金製とした。カムシャフトは合金鋳鉄製で、カム部にチル処理を施し高度を高めて耐摩耗性の向上を図っている。バルブの開閉はロッカーアーム等を介さず、ベルト駆動の2本のカムシャフトによる直動式だ。1気筒あたり吸気2、排気2のバルブはR歯型のタイミングベルトでカムシャフトによって精緻に開閉される。

バルブ系パーツは軽量と剛性の高さを追求しており、高回転域でも正確なバルブタイミングを刻む。合わせてバルブ開口面積およびポート径を拡大することにより、吸気抵抗を低減して高速時の吸気効率を向上を図っている。ペントルーフ型の燃焼室の中央にスパークプラグが配置され、バルブ挟み角は50°の狭角という現代的な作りによってコンパクトな燃焼室となった。

小型スパープラグの採用によりプラグ回りの冷却性を図るとともに、各シリンダーとも2つの吸気ポート間に水通路を確保しているが、これによりレギュラーガソリン仕様ながら9.4という当時としては高めの圧縮比を実現した。

シリンダーブロック内を見ていくと、ピストンは高温強度を高めるべくアルミ合金製とするとともに全高を低くするとともに軽量化を図った。出力軸となるクランクシャフトは炭素鋼製。軽量8バランスウエイトを採用し、剛性が高くバランスの良いものとなっている。

燃料噴射は電子制御式インジェクションであるEFI-Dを採用した。これは吸気量を吸気圧力センサーで計測するDジェトロニック方式だ。フラップのようなエアフローメーターが不要のために吸気抵抗が少なく、スロットルレスポンスに優れるのが特徴となる。

パワフルとは言えないが、エンジン搭載位置の良さと1トンを切る車両重量で、MR2はワンランク上のクルマを追い回す性能を発揮した。

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