スバルは、国土交通省と自動車事故対策機構が実施する安全性能の最高評価となる「自動車安全性能2021 ファイブスター大賞」を2020年のレヴォーグに続いて、2021年にはレガシィ アウトバックでも2年連続して受賞した。ここではそんなスバルの安全なクルマづくりを掘り下げる。(Motor Magazine 2022年8月号より)

ダントツの高評価を獲得したアウトバック

国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)による自動車アセスメントJNCAPにおいて、2021年度に最高得点となる「ファイブスター大賞」を受賞したのは、スバル レガシィ アウトバック(以下、アウトバック)だった。昨年度のレヴォーグに続き、スバルにとっては2年連続の快挙である。

画像: 実車を使い衝突安全性を検証する。正面、側面、背面の衝突試験に加え、歩行者保護試験も行う。

実車を使い衝突安全性を検証する。正面、側面、背面の衝突試験に加え、歩行者保護試験も行う。

NASVAというのは、それまでの自動車事故対策センターの後継として2003年に設立された、自動車事故の発生防止と被害者支援を行う国土交通省所管の自動車事故対策の専門機関だ。

本アセスメントは、ユーザーが安全性の高い自動車を選択しやすい環境を整備するとともに、メーカーに対してより安全な製品の開発を促すため、毎年、自動車の安全性能に関するさまざまな評価試験を行い、自動車安全性能評価として結果を公表しているもの。2019年度までは衝突安全性能や予防安全性能などをそれぞれ別々に評価していたのだが、2020年度からは総合的に評価することで、よりわかりやすく「自動車安全性能」として情報提供されるようになった。

ダントツの高得点を獲得して大賞に

予防安全性能と衝突安全性能の総合得点により★の数が決まり、★の数が多いほど総合的な安全性能が高いことを表す。

画像: 得点は予防安全性能が82点満点、衝突安全性能が100点満点、事故自動緊急通報装置が8点満点で、合計で190点満点となる。

得点は予防安全性能が82点満点、衝突安全性能が100点満点、事故自動緊急通報装置が8点満点で、合計で190点満点となる。

最高評価である「ファイブスター(★★★★★)」の獲得には、予防安全性能及び衝突安全性能が最高評価(Aランク)を取得し、かつ、事故自動緊急通報装置を備えていることが必要になる。

2021年度に「自動車安全性能2021」として評価を行った乗用車10車種、軽自動車3車種の全車種において、最高評価にあたる「ファイブスター賞」を獲得したのは9車種あった。

その中で、アウトバックがダントツの185.02点を獲得し、大賞に輝いたことになる。ご参考まで、その他でファイブスターの最高評価を受けた車種(※車名は一部割愛)は、上からヴェゼル(177.04点)、アウトランダーPHEV(176.77点)、ノート(176.73点)、ルークス(176.54点)、カローラ(173.81点)、アクア(173.79点)、キックス(172.31点)、CX-30(167.07点)らが挙げられる。

スバル独自の総合安全思想で死亡事故ゼロを追求

スバルでは2030年の交通死亡事故ゼロを目指して、独自の総合安全思想のもと、研究・開発を進めている。たとえばADASによって死亡事故の70~80%を減らせると考えているが、残りの20~30%をつぶしこむために各エンジニアが妥協することなく取り組んでいる。

画像: アウトバックの予防安全性能。ステレオカメラにより常に前方を監視する。クルマ、歩行者、白線を識別し、ブレーキランプも認識する。

アウトバックの予防安全性能。ステレオカメラにより常に前方を監視する。クルマ、歩行者、白線を識別し、ブレーキランプも認識する。

JNCAPの評価対象は主に「予防安全」と「衝突安全」のふたつだが、スバルの総合安全思想は「予防安全」、「衝突安全」に「0次安全」、「走行安全」を加えた4つで構成されており、第三者機関の評価項目にとらわれない、死亡事故ゼロへのあくなき追求が結果的に今回の大賞受賞につながったと考えているとのことだった。

そのアウトバックの評価の内訳を見ると、注目すべき点がある。予防安全と事故自動緊急通報装置についても得点は高かったが、決め手となったのは2位以下が軒並み点台のところを大きく引き離し、100点満点中で95.07点の得点をマークした衝突安全の評価である。

実は1年前のレヴォーグもそうで、総合評価で2番目の高得点だったSUV以下と大きな差をつけたのは、同じく衝突安全だった。

衝突安全性能を高めることでドライバーはもちろん、その家族にも安心を届けられる。そのためにスバルは死亡事故ゼロを目指す安全なクルマづくりを日々行っているというわけだ。(文:岡本幸一郎)

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