16代目クラウンの誕生を機に、各世代のカリスマ性を彩ってきた「はじめて」をあらためて紐解く特別連載企画。第3回は、1967年に誕生した第3世代「MS5#型」をご紹介しよう。開発テーマは「ゆとりある高速長距離セダン」。安全設計でも国産初の本格派へと成長していた。(Motor Magazine Mook 「TOYOTA CROWN 13th」より)

第3世代クラウンは ── 「ゆとりある高速長距離セダン」を目指していた

画像: 3代目のキャッチコピーは「白いクラウン」だったが、こちらはトヨタ博物館所蔵の「黒いクラウン」(67年式)。パーソナル感よりも公用車然とした雰囲気が強くなるから、不思議だ。オーナーカーとしてのポジショニングをアピールするためには確かに、白がより似合うことがよくわかる。

3代目のキャッチコピーは「白いクラウン」だったが、こちらはトヨタ博物館所蔵の「黒いクラウン」(67年式)。パーソナル感よりも公用車然とした雰囲気が強くなるから、不思議だ。オーナーカーとしてのポジショニングをアピールするためには確かに、白がより似合うことがよくわかる。

1967年(昭和42年)9月、クラウンは満を持してモデルチェンジを実施。「ゆとりある高速長距離セダン」をテーマに開発された。

3代目はそのために、国際商品として通用する高品質と優れた安全性能を盛り込み、新グレード「オーナーデラックス」を設定するなど、オーナーカーとしての色彩も強めている。キャッチフレーズは、『白いクラウン』だった。

エクステリアはストレート基調のソリッドなデザインだ。2代目より重厚なスタイリングで、パネルは彫りが深い。フロントマスクやサイドビューにも高貴さと落ち着きが感じられる。

画像: 67年式スーパーデラックスのインストルメントパネル。トランスミッションは3速MT、4速MT、それに3速トヨグライド仕様が設定された。

67年式スーパーデラックスのインストルメントパネル。トランスミッションは3速MT、4速MT、それに3速トヨグライド仕様が設定された。

インテリアも洗練されたデザインだ。深いコーンのなかにメーターを置き、安全対策も徹底した。アメリカで施行されている自動車安全基準20項目のうち19項目を満たし、ヘッドレストの採用など、トヨタ独自の安全対策を16項目も追加している。

シャシ面での革新ポイントは、ペリメーターフレームの採用だ。このフレームはボディ・サイドメンバーの内側を通るためにフロア面が低く(40mm)、フレーム断面が大きいため剛性が高いので、衝突時の安全性が高く、またルームスペースが広く取れるなどの利点を持つ。さらにボディを16個のラバーマウンティングを介してフレームに架装することで、振動/騒音低減性能を向上させている。

エンジンは、スーパーデラックス=M-D型(110ps)、デラックス=M型(105ps)、クラウンS=M-B型(125ps)、オーナーデラックス=M-C型(100ps)、スタンダード=M-C型と5R型(93ps)。合計6タイプを設定している。

パワートレーンとともにハンドリング機構も改良

新設の5R型は、これまでの3R型OHV直列4気筒エンジンのストロークを4mm伸ばして、2000ccに排気量アップし、燃焼室、吸/排マニホールドに改良を加えた。

画像: 3代目はより低く、長く、曲面ガラスを多用するなど「日本の美」というデザインテーマを贅沢に演出していた。リア・デザインはトランク・ルームの有効なスペースを基準にして決定されたという。

3代目はより低く、長く、曲面ガラスを多用するなど「日本の美」というデザインテーマを贅沢に演出していた。リア・デザインはトランク・ルームの有効なスペースを基準にして決定されたという。

SOHC直列6気筒のM型エンジンも改良を受けている。インテーク・マニホールド形状変更、完全密閉型ラジエータの採用、エンジン・マウンティングの改良、キャブレターにダッシュポットの取り付けなど、メンテナンス・フリー、振動・騒音面でのファイン・チューニングを受けている。M-D型エンジンも2バレル・キャブレターを2連装し、ポテンシャルアップを図った。

フロント・サスペンションには、これまでのウイッシュボーン式にテンション・ロッドを新設して、剛性面を一段と上げている。メンテナンス・フリー化では、ロアアームにゴムブッシュを採用して無給油化を実現している。

画像: 1969年8月のマイナー・チェンジで、グリル、リア・ランプなどを変更。3角窓を廃止した。M-D型エンジンは5psパワーアップ。

1969年8月のマイナー・チェンジで、グリル、リア・ランプなどを変更。3角窓を廃止した。M-D型エンジンは5psパワーアップ。

リア・サスペンションは、従来型のRS41型を基本的に踏襲する。機構的には、コイルスプリングを用いたトレーリングアーム式だが、スプリング/ダンパーのマウント位置関係を見直して、乗り心地面の向上を実現させている。

2ブレーキ系では、S、スーパーデラックスの2モデルに、フロント=オポジット型ディスクブレーキを採用。ブレーキ踏力軽減のハイドロマスター式ブースターとタンデムマスターシリンダーを組み合わす。リアの油圧回路にはプレッシャーコントロール・バルブも新設した。

ステアリング系統も新機軸を打ち出す。国産初の可変ギア比ボール循環式(リサーキュレーティング・ボール)を採用。これは、セクターシャフトの歯を中央は小さく両端は大きくして、直進時にはハンドル操作が鋭く、パーキング時での大舵角時などでは操作が軽くなる特徽がある。ギア比は直進時は20.5、最大切れ角時は23.6の値である。

■トヨペット・クラウン スーパーデラックス 主要諸元

●全長×全幅×全高:4665×1690×1445mm
●ホイールベース:2690mm
●車両重量:1310kg
●エンジン:直6SOHC
●総排気量:1988cc
●最高出力:110ps/5600rpm
●最大トルク:16.0kgm/3600rpm
●トランスミッション:3速MT+OD
●駆動方式:FR
●当時の車両価格(税込):112万円

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