中国の大手自動車メーカー「BYD」が、日本の乗用車市場への参入を決定、2022年7月21日発表会を実施した。ブランドの強みは、豊富なEVラインナップにある。スタイリッシュなミドルサイズ電動SUV「ATTO 3(アットスリー)」など、日本のライフスタイルにフィットする3車種から導入がスタートすることになった。

独自開発、独自生産の強みを生かした魅力的商品を発信

中国・深圳に本社を構えるBYDは、世界70超の国と地域、400超の都市で展開する世界最大手の自動車メーカーのひとつ。乗用車だけでなくEVバスやEVトラックといった、いわゆる新エネルギー車(NEV)の販売台数は、世界No.1を誇る(2022年1~6月のデータ)。

画像: 発表会場に並んだ3台のBYDは、どれもがスタイリッシュで先進的だ。日本への導入は、中央のATTO 3から。

発表会場に並んだ3台のBYDは、どれもがスタイリッシュで先進的だ。日本への導入は、中央のATTO 3から。

2020年4月には、トヨタ自動車との合弁で、電気自動車及びそのプラットフォーム、関連部品の設計・開発等を行う「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー有限会社」を設立。「TOYOTA bZ」ブランドの中国展開においては、重要なパートナーとなっている。

実はすでに日本のモータリゼーションでも、BYDはその存在感を強くアピールしている。商用車領域での電動化をけん引するブランドとして知られており、BYDの日本法人として2005年に設立したBYDジャパンは、EVバスやEVフォークリフトなどを中心に事業を展開してきた。そのシェアは実に、約7割に達するというから驚きだ。

技術的には、独自開発した新設計のバッテリーパック「ブレードバッテリー」がユニークだ。その名のとおり「刀」のような薄く長い形状をとることでバッテリーの空間利用率は従来比で約50%向上、エネルギー密度も高められている。正極材にリン酸鉄を使って高い温度安定性や優れたコストパフォーマンスを実現していることも、BYDの技術力を物語るポイントのひとつと言えるだろう。

日本導入は3車種を予定。第一弾は世界戦略車「ATTO 3」から

今回、BYDが日本での発売を予定しているのは、スタイリッシュなミドルサイズ BEV SUV(BYDはe-SUVと呼ぶ)「ATTO 3(アットスリー)」と、ジャストサイズのBEVコンパクト(同e-Compact)「DOLPHIN(ドルフィン)」、ハイエンドに位置するBEV セダン(同e-Sedan)「SEAL(シール)」の3車種。2023年1月から同年下半期にわたって順次、日本導入が進められる。

画像: 「ATTO 3」ニュージーランド仕様。タイヤは215/55R18。ヒーティング付きパワーフォールディングサイドミラー、ルーフレール、パノラマサンルーフ、キーレスエントリー、パワーテールゲートなどが装備されている。

「ATTO 3」ニュージーランド仕様。タイヤは215/55R18。ヒーティング付きパワーフォールディングサイドミラー、ルーフレール、パノラマサンルーフ、キーレスエントリー、パワーテールゲートなどが装備されている。

2023年1月から導入が予定されている第一弾が「ATTO 3(アットスリー)」。「ちょうどいいサイズ」に、BYDが誇る最新のテクノロジーを満載したミドルサイズe-SUVだ。2022年2月に中国とオーストラリアで同時に発表され、ニュージーランドやシンガポールでも販売されている。世界戦略車として、各国への展開が予定されていることは間違いない。

俊敏なアスリートを思わせるスタイリングは、日本のとくに若年層に支持されそう。全長4455×全幅1875×全高1615mmとサイズも手ごろだ。ホイールベースは2720mmと長めだが、最小回転半径を5.35mに収め、取り回しにも優れている。サスペンションはフロントがストラット、リアがマルチリンクとなる。

EV専用プラットフォーム「e-Platform3.0」にBYD独自開発の「ブレードバッテリー」パックを搭載、前輪を駆動する電気モーターの最高出力は150kW、最大トルクは310Nmを発生する。公表された0→100km/h加速は7.3秒、本国仕様の最高速度は160km/hと、かなりの俊足の持ち主だ。

仕向け地によってバッテリー容量は49.9kWhと60.5kWhが用意されている。BYD Auto Japan社内の計測データでは航続距離485kmをマークしているというから、日本仕様はロングレンジな走りが期待できる後者の方なのかもしれない。

セールスやアフターサービスなどの安心感もサポート

今回の市場参入を機に、BYDジャパンは、日本国内における乗用車の販売ならびに関連サービスを提供する 100%出 資子会社「BYD Auto Japan 株式会社」を 2022 年 7 月 4 日(月)付で設立した。これによって、日本のユーザーに対するさまざまなサポートが徹底されることになる。

画像: 日本に導入されるATTO3は5種類のボディカラーを用意。価格が明らかになるのは11月ごろだという。ちなみに2022年7月から導入が始まったオーストラリアでの販売価格は、4万4381オーストラリアドル(日本円換算で約420万円)から。

日本に導入されるATTO3は5種類のボディカラーを用意。価格が明らかになるのは11月ごろだという。ちなみに2022年7月から導入が始まったオーストラリアでの販売価格は、4万4381オーストラリアドル(日本円換算で約420万円)から。

たとえばまずEV購入で気になる、自宅での充電器設定や充電カードといった利用のための「インフラ」整備にも積極的に取り組むという。3車種の導入に当たって、新車保証で4年10万km、バッテリー保証は8年15万kmで対応する。

残価設定ローンといったさまざまなファイナンスプログラムは、JACCSとコラボ、独自の損害保険商品についても国内企業とともに提供を準備している。さまざまなエマージェンシーサービスの展開計画も明言された。カーライフに合わせたアクセサリー類もしっかり用意して、EVライフを楽しむための万全のサポート体制を構築する予定だ。

BYDジャパンとBYD Auto Japanは、「Hello,e-Life. ―eモビリティを、みんなのものに。」をブランドパーパスとして掲げる。ユーザー的にはセールスやアフターサービスに対する安心感もまた、ブランド選択の重要な要素だが、そうしたニーズに応えるサービス体制の構築も、速やかに進むことになりそうだ。

■BYD  ATTO 3 主要諸元(参考:シンガポール仕様車)

●全長×全幅×全高:4455×1875×1615mm
●ホイールベース:2705mm
●車両重量:1750kg
●パワートレーン:電気モーター
●モーター最高出力:150kW
●モーター最大トルク:310Nm
●駆動方式:FWD
●バッテリー容量:60.5kWh
●一充電航続距離:480km
●タイヤサイズ:215/55R18
●最高速度:160km/h
●0→100km/h加速:7.3秒

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