2018年に6世代目として日本へ導入されたフォルクスワーゲン ポロは、Bセグメントのベンチマークとして高い評価を獲得している。そのポロがマイナーチェンジした。新型はどのように進化したのだろうか。本誌執筆陣10人の評価を聞いてみた。(Motor Magazine2022年8月号より)

エンジンのリファインで確実に向上した走りの質

新型ポロが積む1L直列3気筒ターボエンジンは、最高出力、最大トルクともに従来から変更はないが、実は大幅にアップデートされたユニットとなる。一番の進化はバリアブルタービンジオメトリーの採用。同時にミラーサイクル化も行われている。これによって最大トルクの発生回転数は従来の2000-3500rpmに対して、1600-3500rpmへと拡大された。

この効果が実に大きかった。従来型はとくに停止状態から発進する際に、アイドリングストップの制御の粗さも相まって、どうしてもギクシャクするところがあった。それが、微低速域のトルクが確保されたことで始動してすぐに力が発揮され、スムーズに発進できるようになったのだ。こうして低中速域ではフラットにトルクを発生しながら、高回転域では気持ち良い伸びを見せるこのエンジンを得て、走りの質は間違いなく高まったのである。

画像: マイナーチェンジを受け、これまで以上にドイツ車らしいカチッとした印象が高まった。

マイナーチェンジを受け、これまで以上にドイツ車らしいカチッとした印象が高まった。

フットワークはもともと心地よく、しかもドイツ 車ならではの素晴らしいスタビリティを持っていたが、パワートレーンの刷新で改めてその魅力が浮かび上がったという印象。ADASの充実度も高く、走りについては文句をつけるところはない。

マイナーチェンジ前のポロは、いわゆる3ナンバーサイズへの拡大は仕方がないにしてもデザインは熟成が足りない印象だったし、エンジンが3気筒となったパワートレーンもやはり洗練度が不足していた。相変わらずの質の高い作り込み、前述の高いスタビリティなど図抜けた部分もあったが、前作の高い完成度、凝縮感を知る人は、きっと物足りなく感じたはずだ。

フェイスリフトを受けた新型ポロは走りも、装備も、そしてデザインも、どこを取っても隙のない、まさにドイツ車らしいカチッとした仕上がりのクルマになった。なったというか戻ってきたと言うべきか。BEV以外も力は抜いていないぞというフォルクスワーゲンの気概、底力を見たという感じである。(文:島下泰久/写真:井上雅行)

画像: モータージャーナリスト島下泰久氏。

モータージャーナリスト島下泰久氏。

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