充電という重い課題を抱えたEV=電気自動車は、長距離ドライブが苦手。そんな悪印象を払拭するための取組みが、国内外で具体化し始めている。日産は欧州でのドライブサポートプログラムを展開、一方日本ではナビタイムが、EV専用カーナビアプリの提供をスタートした。果たして、EVの弱点克服につながる妙手になりうるのだろうか。

日産アリアで究極のロードトリップを楽しむトラベルガイド

欧州日産が2022年7月からサービスを開始しているのが、「エレクトリック・トラベルガイド」。プレミアムな電動SUVアリアで「究極のロードトリップを楽しむ」ための、デジタル版トラベルガイドとして各種情報を提供するツールだ。

画像: 目的地として挙げられている「10カ所の必見ポイント」には、エラリービーチハウスやストックホルム諸島なども含まれる。そのエリアは広大でさまざまな風景を楽しむことができそうだ。

目的地として挙げられている「10カ所の必見ポイント」には、エラリービーチハウスやストックホルム諸島なども含まれる。そのエリアは広大でさまざまな風景を楽しむことができそうだ。

サービス第一弾の旅の舞台は、スウェーデンの首都ストックホルムが選ばれた。街をあげて2040年までに化石燃料の使用をやめ、気候変動へのポジティブな影響を与えることを目指しているストックホルムの取組みは、日産がグローバルで包括的に取り組むサスティナブルビジョン「Nissan Ambition 2030」とシンクロするものがあるからだという。

デジタルガイドの趣旨は、文化や美食を楽しみながら美しい景色が堪能できるスポットを「エコ」を意識しながら巡る、ルートガイダンスとなっている。日本の浴場スタイルのスパが満喫できる「Yasuragi Hotel」や、農場をテーマとしたダイニングコンセプトで人気の「RosendalsGarden」など、旅の目的地をチャート化しながら、アリアの一充電航続距離533kmを効率よく使いこなすためのサスティナブルツーリングをサポートしてくれるという。

AMIEO(欧州、オセアニア)地域のサスティナビリティ担当シニア・バイスプレジデントであるFriederike Kienitzは、「真のnet-zero モビリティを実現するため、日産は私たちが提供する自動車という存在の、その先を見据えることにしました。あらゆるEVの環境性能が全方位で循環型net-zero経済の一部として機能することが、すべての人の持続可能な未来を作り上げていくのです」と語る。

画像: ストックホルム市内では、ランドマーク的な存在であるアヴィチー・アリーナやスウェーデン最大の文化史博物館である北欧博物館などを巡る。

ストックホルム市内では、ランドマーク的な存在であるアヴィチー・アリーナやスウェーデン最大の文化史博物館である北欧博物館などを巡る。

エレクトリック・トラベルガイドのサービスは今後、欧州で拡大される予定になっている。一方で、日本での展開は残念ながら触れられてはいない。

もっとも、日本でも日産は2022年2月に、ユーザーの行動データをもとにした提案型ドライブサービス「トラベルトリガー」の実証実験を行った実績がある。日産車ユーザーのより豊かな体験の実現に向けたさまざまな提案はおそらく、今後も続くことだろう。

そう考えれば将来的には、日本版エレクトリック・トラベルガイドのサービスがスタートする可能性は小さくない、と思っている。

8月末まで全機能が無料で使えるEV専用カーナビアプリ

「将来的に」なんて待ってられない!というEVユーザー(もしくは予備軍)は、ご安心あれ。ナビタイムジャパンは2022年7月27日から、最適な充電場所を考慮しながらルート選択をサポートしてくれる電気自動車専用カーナビアプリ「EVカーナビby NAVITIME」の提供を開始している。

画像: ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は対象外。車種登録もできない。

ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は対象外。車種登録もできない。

ダウンロードは無料で、しかも8月末までは全機能が無料で「お試し」利用できる。9月以降はナビゲーションやVICS渋滞情報などの機能が有料で提供される予定だ。

このアプリは、いわゆるフルバッテリーEVのみを対象としているのが特徴。スマートフォンにアプリをダウンロードしたら、車種を登録する。自動的に航続距離予測が算出され、経路案内中には、バッテリー残量が少なくなると考えられる地点の周辺にある利用可能なEVスタンドが、自動的に経由地に追加される。

画像: ルート検索結果で「充電場所を自動で追加」をオンにしておくと、バッテリー残量が少なくなると予測される地点付近でEV充電スタンドをあらかじめ選択、自動的に継ぎ足し充電のための経由地として組み込んだルートが検索できる。

ルート検索結果で「充電場所を自動で追加」をオンにしておくと、バッテリー残量が少なくなると予測される地点付近でEV充電スタンドをあらかじめ選択、自動的に継ぎ足し充電のための経由地として組み込んだルートが検索できる。

■「EVカーナビ by NAVITIME」の主要機能

・車種ごとの航続距離予測と、視覚的にわかりやすいルート上のバッテリー残量表示
・最適なタイミングでの経路充電を考慮し、自動で充電場所を追加したルートの提案
・全国約2万カ所に対応し、充電器の種類などで絞り込みのできる「EV充電スタンド検索」
・ルート沿いの充電スポットを地図上に表示
・CO2排出量削減への貢献度の可視化

日産サクラ、三菱eKクロスEVなど、手ごろでありながら実用性にも富んだEVの登場もあって、EVが新車販売に占める比率は2022年6月には過去最高の2.0%に達したという。

EVの航続距離に関する不安とストレスを軽減し、安心して長距離移動をたのしむことができる専用カーナビのサポートは、EVに対する偏見を払拭し、さらなる普及を後押しするきかっけになるかもしれない。

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