2022年後半、アウトモビリ・ランボルギーニは約60年にわたってブランドを象徴してきたV型12気筒エンジンの歴史に、幕を下ろそうとしている。そのアニバーサリーとして、V12のヘリテイジを彩る名車「LM 002」の「最新画像」を公開した。鮮やかなレイトンブルーが、良く似合う。

軍用オフロード車開発から始まった高性能オフロード車開発

ランボルギーニV12ユニットのヘリテイジの中でも、ひときわ異彩を放つのが、超高性能全方位グランツアラー「LM 002」だろう。2017年、その系譜を受け継いだウルスは「スーパープレミアムSUV」というジャンルを確立したが、LM 002は間違いなくそのパイオニアと言っていい。

画像: 最後のランボルギーニV12モデル「アヴェンタドール(ウルティマエ)」(左)と、LM 002と同じV12ユニットを搭載する「カウンタック(5000 クワトロバルボーレ)」(右)とともに。

最後のランボルギーニV12モデル「アヴェンタドール(ウルティマエ)」(左)と、LM 002と同じV12ユニットを搭載する「カウンタック(5000 クワトロバルボーレ)」(右)とともに。

‎LM 002の開発は、1970年代末に「Cheetah(チーター)」の名で、軍用高性能オフロード車を開発するプロジェクトとして始まった。そのプロセスにおいて当時の経営陣は、高級仕上げの高性能オフロード車の市場ニーズがあるかもしれない、と考えたという。

ランボルギーニのエンジニア、ジュリオ・アルフィエーリは、1981年にLM 001(リアマウントエンジンを搭載した革新的なコンセプト)でプロジェクトを復活させた。続いてフロントマウントパワートレインを搭載した、LMAプロトタイプを発表している。

やがてLM 002の市販型モデルは、1986年のブリュッセルモーターショーで初めて発表され、最終的なその威容を明らかにした。

カウンタック譲りのメカニズムを搭載。まさに「並外れ」ていた。

カウンタックと同様に、通常はレーシングマシンやスポーツモデルに用いられる鋼管スペースフレームを採用、アルミニウムとFRPで構成されたボディに、3つのセルフロックディファレンシャルを備えた4WDシステムを採用していた。

市販モデルのベースとなるのは「カウンタック クワトロバルボーレ」に搭載されていた5,167ccのV12ユニット。ミッド搭載からフロントポジションにシフトさせるにあたって、180度前後を入れ替えている。ガソリンの質が劣る地域での使用を考慮して最高出力は20hpダウン、6800 rpmで450 hpを発生していた。

全方位グランツアラーと呼ぶにふさわしい優れた走破性を生かして、120%の勾配を超えることも可能だったという。一方で、オンロードでの最高速度は200km/h以上に達している。圧倒的にタフなオフロードを涼しい顔でクリアしながら、高速道路ではスポーツセダンなみのクルージング性能を発揮できる、文字通り「並外れた車」が生まれたのだった。

ユニークな才能を生かしてさまざまな「特別」が誕生

LM 002に関してはパーソナライズにも積極的で、個々のオーナーの好みやニーズに合わせて、より豪華なインテリアや機能性磨かれた「特別な仕様」が次々にオフラインしていった。

ユニークな例のひとつは通常、オフショアボートに使われる7.2L V12エンジンを搭載した仕様。最高出力は700psに達していた。元ワールドラリーチャンピオンのテクニカルアドバイザー、サンドロ・ムナーリの指導のもと、砂漠での耐久レースに出場するために準備されたパリダカール参戦マシンもまた、特別なLM 002のひとつだ。

LM 002には、ほかにも多くの逸話が残されている。いわく、ドイツの戦車レオパルトをけん引することができた、とか、生粋のコレクターが所有するミウラを、牽引フックをつけたトレーラーに載せて運んで行ったとか・・・。

LM 002は、スーパースポーツカーのサラブレッドたちに匹敵するオンロード性能と、軍用車両譲りのオフロード性能の高さ、堂々としたデザインと存在感を備えた他に類を見ない車両として、大きな注目を集めた。アウトモビリ・ランボルギーニの公式リリースによれば、1986年から1992年にかけて、合計300台が生産されているという。(写真:Automobili Lamborghini S.p.A.)

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