2009年、ランドクルーザー プラドがフルモデルチェンジを果たして4代目150系に進化した。ランドクルーザーの弟分に位置づけられるが、歴史をたどればプラドこそ「ランクルの正統」と言える存在でもある。ここでは150系登場から間もなく行われた、国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年12月号より)

正統派オフローダー路線をしっかりと継承

乗用車ベースの都会派プレミアムSUVが注目を集める一方で、高い走破性を誇る本格派クロカン4WDも根強い人気を誇っている。時節柄、大きくて重いヘビーデューティなSUVはエコや環境問題になじみにくいが、時代の要求に応えて、そういったヘビーデューティSUVも先進テクノロジーを結集してエコや環境問題に対応して進化しているのは言うまでもない。

画像: 4L V6エンジンを搭載するランドクルーザー プラド TZ-G。オンロードの走りも快適。V8エンジンはランドクルーザーに搭載される。

4L V6エンジンを搭載するランドクルーザー プラド TZ-G。オンロードの走りも快適。V8エンジンはランドクルーザーに搭載される。

そんなヘビーデューティSUVの典型的なモデルが、9月にフルモデルチェンジされたトヨタ ランドクルーザー プラド。その歴史は1990年の登場から始まるが、それはそもそも70系のマイナーチェンジを機に70系の乗用車登録の車種に「プラド」というサブタイトルが付けられたことによるもの。その系譜をたどれば、はるか遠く1951年のトヨタ・ジープBJ型にまでたどり着く。

大柄な車体を持つランドクルーザーが兄貴分として存在しているため、どうもプラドはその簡易版、廉価版と見られがちだが、ランドクルーザー プラドこそ、ランクルの正統派と言えるものだ。

ランドクルーザーの魅力はなんといっても、その高い信頼性、耐久性、堅牢性、走行安定性、走破性、実用性能、作りの確かさで、「いつでもどこへでも行ける安心感と快適性」を備えたクルマとして、世界170カ国以上の国で愛されてきた。ランドクルーザーはランドローバー、ジープと並ぶ、本格派クロカン4WDの世界的ブランドであると言える。

走行状況に応じて駆動力をコントロール

というわけで、新しいトヨタ ランドクルーザー プラドである。伝統のフルフレーム構造に加え、4WDシステムは通常時前後トルク配分40:60のトルセンLSD付フルタイム、センターデフロックやトランスファー切替を備えるというのが基本骨格だ。

画像: 力強く強靱なイメージを漂わせるインテリアデザイン。

力強く強靱なイメージを漂わせるインテリアデザイン。

今回の進化は大きく3つ。ひとつは走破性を高める新装備が追加されたこと。走行状況に応じてスタビライザーの作動を自動制御するキネティックダイナミックサスペンション、低速走行を維持するクロールコントロール、マッド&サンド/がれき/モーグル/岩など、路面別にトラクション特性を替えるマルチテレインセレクトを採用し、「とてもこんな場所は無理」と思える状況でも難なくクリアする走破性を誇る。車両周囲の状況を4つのカメラで捉えるマルチテレインモニターや、タイヤ切れ角表示機能を備える点も新しいところだ。

ふたつめがエンジン。レギュラー仕様となったV6エンジンはデュアルVVT化によって27psもパワーアップして276psとなるとともに燃費も向上している。また、2.7L直4エンジンの静粛性が高まったことも報告しておきたい。

そしてもうひとつが、ユーティリティの充実。リアゲートは右ヒンジの横開き+ガラスハッチで、5:5分割可倒式3列目シートはスイッチひとつで自動格納・復帰する機能が備えられたのもポイント。インテリアのデザインは適度に本格SUVのワイルドな薫りを漂わせながら、知的なイメージを巧みに盛り込んでいる。

高い信頼性、堅牢性、走破性、実用性で世界各国で愛され続けるランドクルーザー プラド、その基本性能はさらに進化、向上し続けている。(文:Motor Magazine編集部 松本雅弘/写真:村西一海)

トヨタ ランドクルーザー プラド TZ-G 主要諸元

●全長×全幅×全高:4760×1885×1835mm
●ホイールベース:2790mm
●車両重量:2180kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3955cc
●最高出力:203kW(276ps)/5600rpm
●最大トルク:380Nm/4400rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:475万円 (2009年当時)

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