
正確なアイス制動距離を測るため、リアに5輪と呼ばれる計測器を付けて試走した。
X-ICE3+とは?
ミシュランの新製品、X-ICE3+の解説は以下のとおり。
特徴は、表面再生ゴムと呼ばれるトレッドゴムのなかに「Mチップ」と呼ばれるコンパウンドが含まれていること。摩耗が進むとこの「Mチップ」が溶け出すことにより無数の穴が現れ、氷とタイヤの間の水分を除去、氷に密着させるという。
ドライ性能はどうか? =サマータイヤのようなしっかり感
まず、試したのはドライでの一般道試乗。
最近ではインフラ側の除雪性能が進んだこともあり、北海道など降雪地域でも、高速道路を中心に冬でもドライ路面の場所が増えている。スタッドレスタイヤとは言えども、ドライは大きな性能のひとつとなっている。
東大和市駅の一般道を走行したが、正直に言うと、ブラインドで乗ったら10人中10人スタッドレスタイヤとは気がつかないレベルだと思う。
最近では、どのスタッドレスタイヤもドライ性能が向上してきているが、まだセンター付近の無感領域が大きいものも多い。だがこのX-ICE3+はそれが少なく、ハンドルを切ったら切っただけ素直にGが立ち上がるタイプ。クセもなく、街乗りレベルだとサマータイヤとの差は感じられない。

ドライ路面ではまるでサマータイヤのような走り味。スピードレンジはサイズによりT(〜190km/h)、H(〜210km/h)の2種類。
アイス性能はどうか? =驚異的な制動性能
アイススケートリンクで行った試走は、0km/hからの加速、15km/h→0km/hの減速、そして軽いスラロームだ。
まず従来型X-ICE3と新X-ICE3+との比較のデモンストレーション。その差は少ないが、何度行っても確実に新X-ICE3+のほうが1割ほど手前で止まった。
次に1万km走行して摩耗したX-ICE3とX-ICE3+の比較。ライフ性能向上を謳っているだけあって、これも新X-ICE3+のほうがだいぶ手前で止まっていた。

スケートリンクでアイス制動性能を計測。

GPS信号が届かない屋内なので、5輪と呼ばれる計測器を装着。正確な制動距離は車内に取り付けたモニターでわかる。
実際にハンドルを握り試走。まずゼロ発進で、氷路面での食いつきの良さがわかる。制動も、キュッと音がするくらい、相当グリップが良い。その後のスラロームは、コース設定の関係で緩やかだったため、横グリップよりも制動駆動の前後グリップのほうがその性能を体感できた。
ミシュランのスタッドレスタイヤというと、一般的には「高速に強いスタッドレス」という印象を持たれがち。これは、X-ICEを名乗る前のミシュランスタッドレスが「DRICE(ドライ+アイスの造語)という名前だったことからも分かるとおり、昔からドライ性能に力を注いでいたことから来るものだと感じる。
でも今回、その名前のとおり、アイス性能も優れていることを再確認した次第。冬になったらクローズドの場所ではなく、きちんと一般道/高速で試し、またレポートしたいと思う。

X-ICE3+のサイドウオール。ロゴに「+」と大きく書かれている。
MICHELIN X-ICE3+ on ICERINK
youtu.be