掃除機や扇風機などで有名な家電メーカー、ダイソン社がEV(電気自動車)の開発を開始しており、2020年には販売すると発表した。かねてよりEVへの参入障壁は少ないと言われていたが、いよいよそれが具体的な動きとして見えてきたようだ。
画像: ディーゼル排ガス捕集装置のスケッチ。ダイソン社はこの試作品を1993年に完成させた。

ディーゼル排ガス捕集装置のスケッチ。ダイソン社はこの試作品を1993年に完成させた。

400名を超えるチームで開発加速

イギリスの家電メーカー、ダイソン社のチーフエンジニアであるジェームス・ダイソンより、9月26日の英国時間15時30分に全社員に対して、下記のようなアナウンスがあったとダイソン社が発表した。

それによると、ジェームス・ダイソンはディーゼルエンジンからの排出ガスと実験用マウスの早期死亡を関連付ける論文を読んで、1990年3月には自動車の排気システムに取り付け可能な粒子状物質を捕集するサイクロンフィルターの開発に着手したそうだ。

そして1993年までに実用レベルの試作品を作り、その後も開発に邁進したが、当時の自動車業界ではススの処理が大きな課題だとは考えられていたが、ダイソン社のディーゼル排ガス捕集装置に対する関心は低く、プロジェクトを中止せざるを得なかった。

画像: 排ガス捕集装置のイメージカット。

排ガス捕集装置のイメージカット。

ジェームス・ダイソンは一貫して世界的な大気汚染問題の解決策を見出すことを目指してきたが、数年前、自動車メーカーがそうした姿勢を変えないことに気づき、新たなバッテリー技術の開発にダイソンとして力を注ぐことを決めた。電気自動車の開発こそが大気汚染問題の解決策だと信じたからだ。

そして以下のような宣言をした。
「今ダイソンは私たちが作り上げてきた様々な技術を用いてひとつの製品を生み出す機会を手にしています。排気管にフィルターを使用しガスに含まれる有害物質を取り除くのではなく、排ガス自体を問題とみなし、それを解決する力が現在のダイソンにはあるのです。そして今日、私は、ダイソンが2020年の発売開始を目指し、バッテリー式電気自動車の開発を開始しているということを皆さんにお伝えしたいと思います」

画像: ダイソン社の創業者であり、チーフエンジニアでもあるジェームス・ダイソン。

ダイソン社の創業者であり、チーフエンジニアでもあるジェームス・ダイソン。

そして、すでにダイソンは現在のエンジニアに加え、自動車業界出身のエンジニアを加えた特別チームを編成しているそうだ。現時点で400名を超えるチームで、引き続き、積極的な人材の雇用を進めていく。このプロジェクトには20億ポンド(約2900億円)以上を投資するとのことだ。

最後に「本プロジェクトはよりスピードをもって展開していく予定ですが、現時点では本件に関する、さらなる情報の公開予定はありません」と締め括っている。

さて、いよいよEVの開発競争が本格化してきた。今後、数年の間に自動車業界の勢力図はガラッと変わるかも知れない。以前から言われてきたことが現実味を帯びてきたようだ。

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