本体部分は2DINサイズなのに、ディスプレイ部をコンソールから浮かせた新発想で、9インチ大画面ワイドディスプレイを搭載した、パナソニックのストラーダFシリーズ。2016年6月に発売されたCN-F1Dは、これにより大ヒット。2016年の市販カーナビ市場で、パナソニックが国内出荷台数シェアナンバーワン(シェア30.3%。日経調べ)となった原動力となっている。
ではこの秋あらたに登場した「CN-F1XD(通称:ストラーダF1X)」はどう進化したのか。見てみよう。

カーナビ Labo 新製品 ストラーダF1X レポート

画像: SDカーナビステーション CN-F1XD(ストラーダF1X) 価格:オープン 発売日:2017年11月上旬。

SDカーナビステーション CN-F1XD(ストラーダF1X) 価格:オープン 発売日:2017年11月上旬。

ストラーダF1X、って?

カーナビの機能は、地図を表示し、道案内するという単純なものから、渋滞情報、高速道路料金、さらには急カーブや事故多発地帯の警告など、運転をアシストする情報端末へと発展してきた。そしてその一方で、ディスプレイを生かしたDVDビデオの視聴など、カーエンタテインメントの中核としての立場も揺るぎないものとしている。

こうしたなか、さらなる機能拡大の上で制限となったのが、物理的なディスプレイサイズだ。センターコンソールに設置された2DINのスペースが収納可能なディスプレイは7インチワイドクラスまで。これが増え続ける情報の表示やエンタメ性能追求の足かせとなってきたのだ。

この事態に、パナソニックは“発想の転換”で挑んだ。それが2016年6月に発売した「CN-F1D」だ。このモデルではディスプレイ部をコンソールから浮かせた「DYNABIGディスプレイ」を採用、本体を2DINサイズに収める一方、9インチワイドディスプレイの装着を可能とし、大きな評価を得た。

今回紹介する「CN-FX1D」は、この「CN-F1D」の正常進化モデルで、ディスプレイにさらなる工夫を凝らすことで、いっそうの高機能化と使いやすさを実現している。その詳細を早速紹介していこう。

上下/前後/奥行き調整に加え、左右の「スイング」も可能に!

本機の最大のポイントは、さらに進化した「DYNABIGスイングディスプレイ」の採用だ。これは本体とディププレイ部の構造を見直し、これまでの上下、前後チルト、奥行き方向(取付時に調整したのち、固定)の調整に加え、左右それぞれ15度の“スイング”も可能としたもの。従来モデルのディスプレイは、センターコンソールから“浮いて”装着されるため、ドライバーの視線に対し、やや浅い角度になっていた。しかし本機ではディスプレイそのものをドライバー方向に向けることを可能とし、より正面から地図画面を目に捉えることができる。

もちろん、センターコンソールの角度は垂直とは限らず、単純な左右のスイングではディスプレイそのものが傾き、視認性が阻害されるおそれがある。そこでパナソニックは独自の角度補正機能を盛り込み、スイング時の水平確保も実現した。

左右のスイング機能は、ディスプレイを手でつかむようにして行う。手応えはしっかりしているものの、大きな力を必要とするものではなく、微調整も容易。走行中の振動で角度が変わるようなことも皆無だった。

画像: ディスプレイ調整は手動で行う。走行中、ガタガタすることもなく、見やすさはピカイチ。

ディスプレイ調整は手動で行う。走行中、ガタガタすることもなく、見やすさはピカイチ。

見やすい「ブリリアントブラックビジョン」

画面も新たに鮮やかになったのが特徴だ。木漏れ日のある場所などで走行しても、光の反射を抑えて映り込みをカットするブリリアントブラックビジョンを採用、画面がギラつくことなく、明るく色鮮やかになっている。

また視野角の制約を受けづらいIPS液晶を採用したことで、運転席や助手席、リアシートなど、どのポジションからでも美しい映像が楽しめる。従来モデルの視野角が左右140°、上下120°だったのに対し、ストラーダF1Xは左右170°、上下170°と、ほぼ真横でも見やすくなっているのも特徴だ。

画像: 9インチの大画面ディスプレイは、想像するよりもより大きく感じる。新開発「ブリリアントブラックビジョン」で映り込みをカット、斜めから見ても美しい映像が楽しめる。 『トリプルX:再起動』(C) 2016 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

9インチの大画面ディスプレイは、想像するよりもより大きく感じる。新開発「ブリリアントブラックビジョン」で映り込みをカット、斜めから見ても美しい映像が楽しめる。
『トリプルX:再起動』(C) 2016 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

エンターテイメント機能も進化

一方、エンタメ機能でも着実な進化を遂げている。映像ソースは、従来モデルと同様、ブルーレイディスクとDVDビデオに対応。1280×720ピクセル、276万4800画素の9インチワイドディスプレイは、ブルーレイの高精細な動画をいっそう際立たせてくれる。その上で盛り込まれた新機能が、ハイレゾ音源への対応だ。

現在のホームオーディオでは、劣化しない可逆圧縮データのFLAC、非圧縮データのWAVなど、音楽CDを上回るクオリティのハイレゾ音源が人気を集めている。本機は最大で音楽CDの約6.5倍の情報量となる192kHz/24bitのハイレゾ音源を、独自機能「音の匠」と高速演算DSPが高音質のままスタジオマスターサウンドにチューニング、高音質DACがアナログに変換する機能を装備。スピーカーなどもあわせてシステムアップすれば、キャビンを豊かな音響空間とすることが可能だ。自宅でハイレゾ音源を楽しんでいる人は、ぜひ活用してほしい。

またオプションのドライブレコーダー「CA-DR02D」(2017年11月上旬発売予定)は、取付時にナビの画面で画角を確認できるほか、大画面にタッチして行うスムーズな操作も特徴。そして万一の際の動画記録はもちろん、ドライブ中に録画したカメラ映像を地図画面とともにナビ画面ですぐ再生するといったエンタメ機能も備えている。

画像: 9V型ディスプレイを手前に倒すと、BD/DVDスロットと、およびSDカードスロットにアクセスできる。

9V型ディスプレイを手前に倒すと、BD/DVDスロットと、およびSDカードスロットにアクセスできる。

画像: ハイレゾ音源再生にも対応。また「音の匠」は音のプロがチューニングしたもので、それぞれの環境に合わせて快適な音響空間を実現する。

ハイレゾ音源再生にも対応。また「音の匠」は音のプロがチューニングしたもので、それぞれの環境に合わせて快適な音響空間を実現する。

使ってみて その1:「見やすい! 使いやすい! 9V型大画面」

さて、実機のショートインプレをお届けしよう。まず第一に感じたのが、9インチワイドディスプレイの豊かな情報量がもたらす使いやすさだ。従来の7インチワイドディスプレイに比べ、画面実面積が約1.7倍の広さとなり、その差は単に「7インチと9インチ」という数字が与える印象以上だ。

この情報量の差は、そのまま「見やすさ、使いやすさ」となる。たとえばこれまで100mスケールの地図では、自車位置周辺の道路は確認できても、“そのまわり”の状況が掴みづらく、ドライブ中に常用するスケールとしてはやや難があった。しかし本機では、100mスケールでもより大きく地図を表示できるため、とくに細かい道路が多く交差する市街地での“見やすさ”、“わかりやすさ”に格段の差があるのだ。

そして大画面ゆえ、ルート案内中に適切に表示される「方面看板表示」「レーンリスト」が表示されても、地図部分が見やすいというメリットもある。また制限速度や指定方向外禁止などの道路標識情報などが画面にポップアップする「安心運転サポート」のサイズも、大画面にならではの適切なもので、視認性は高い。さらに画面をドライバーの見やすい角度に設置できるDYNABIGスイングディスプレイが、こうしたわかりやすさをさらに高めていることは、いうまでもない。

画像: 大画面の優位性は、50音での目的地名称検索など、細かいボタンを押すようなシーンですぐに理解できる。ボタン押し間違えは皆無だった。

大画面の優位性は、50音での目的地名称検索など、細かいボタンを押すようなシーンですぐに理解できる。ボタン押し間違えは皆無だった。

使ってみて その2:「レスポンスも速い!」

ディスプレイのタッチパネル機構は、スマートフォンのようにピンチアウトでの地図拡大、ピンチインでの地図縮小が可能。またレスポンスが速いだけでなく、指のフリックに合わせた地図のスクロールも不自然なくチューニングされている。目的の地点が画面上に定まらないなどといった理由でイライラを感じることはまずないだろう。

そのほか、つかいやすさの工夫で納得できたのが、本体上面のハードキーだ。左から「−+」「AUDIO」「MENU」「MAP」と並ぶボタンは形状に凹凸を設けることで、手探りでも適切なボタンが選択できるよう工夫されている。また検索メニューの深いところから現在地表示に戻りたいときも、「MAP」キーにタッチするだけで可能。画面を見ながら何度もクリックする必要はない。

本機はこれからクルマを買うにあたり、大画面ナビの使いやすさを味わいたい人、そして現在の愛車にインストールされている2DINサイズのカーナビを買い換えようと思っている人に、ぜひおすすめしたいモデルと言えるだろう。

画像: ディスプレイ上面にあるハードキーは、使いやすさをよりアップしてくれる。

ディスプレイ上面にあるハードキーは、使いやすさをよりアップしてくれる。

充実したストラーダ ラインアップ

今回紹介したストラーダF1Xのほか、9インチ大画面DYNABIGディスプレイ搭載のF1S、ブルーレイディス再生も可能なストラーダRX04、スタンダードモデル、ストラーダRE04も新発売とラインアップも充実している。

■文:植村祐介/写真:井上雅行

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