アウディのコンパクトSUV、Q2は、2017年4月に日本に上陸したモデル。5月に行われた試乗会では、1.4Lターボエンジンを搭載した「1.4TFSI」モデルのみだったが、1Lターボエンジン搭載モデルも遅れて登場。今回乗ったのは、299万円のベースグレード「1.0TFSI」ではなく、中間グレードとなる364万円の「1.0TFSI sport」だ。
Q2 1.4TFSIの試乗記はこちら↓
立体駐車場もOK。都会で使いやすいサイズ感
半年ぶりに再会したQ2。「ポリゴン=多角形」をデザイン要素に組み込んだ新しいアウディデザインは、今でも新鮮さを保っている。従来のアウディらしさを崩さず、かつこれからのアウディの新しさを示す、という意味において、このデザインは相当考えられたものだということを改めて感じる。
スリーサイズは4200×1795×1530mm。ここで注目してもらいたいのが、その全高だ。1530mmは、ほとんどの立体駐車場で駐車OKだから、特に都会に住むSUV好きのドライバーにとっては、選択するメリットが大きいと思う。
室内は、さすがのアウディクオリティ。手に触れるもの、視界に入るものすべてが緻密で繊細な上質感に溢れているのが特徴だ。Q2は若いユーザーをターゲットとした1台だが、こういう所にもスキがないのがアウディとも言える。
Q2、というネーミングから想像すると、室内は狭く感じるかもしれないが、じつはなかなか広い。
全長こそ兄貴分Q3に対して200mm短い4200mmとなるが、ホイールベースは2595mmとQ3に対してわずか-10mmでしかない。
トランクスペースも405Lと、460LのQ3にはおよばないものの、CセグのA3よりも広い。張り出しも小さく、かなり使える荷室だ。
1Lターボでも不足感はゼロ
さて、いちばん興味のあるその走りはどうか。
スタートボタンを押しエンジンを始動する。3気筒の1Lターボは、アイドリング中は振動も少なく、また遮音が優れているため、タコメーターの動きを見ていないとその存在すら気がつかないほどだ。
シフトノブをDレンジに入れて走り出す。トランスミッションは7速DCT(Sトロニック)。パドルシフトはないが、シフトノブでマニュアル変速が可能だ。
このエンジン、コンパクトカーのアウディA1にも使われる999cc3気筒ターボだが、スペックは116ps/200Nmと向上させている。ただし、150ps/250Nmを発生するQ2 1.4TFSIに比べると、数値的には差がある。その「差」は、実際乗ってみるとどう感じるのか。
結論から言おう。この1Lターボエンジン、不足感はゼロだ。正直、ブラインドで乗ったとして、このエンジンの排気量が「1L」だと分かる人がどれだけいるのだろうか。
1.4Lターボ車は、スポーツモデルのような加速感があるし、高速巡航時の「プラスα」もある。それに比べたらこの1.0TFSIは余裕がないかもしれない。
それでも、ふつうに元気の良い走りができるし、不自由を感じたシーンは試乗中一度も訪れなかった。それどころかフロントが軽量なぶん回頭性がよく、ごく自然なスポーティ走行も楽しめる。
JC08モード燃費は19.8km/L。もちろんアイドリングストップ機能もついている。高速走行中心の今回の試乗では、実燃費もこの数値に近い結果となった。
車両価格364万円は、高いか安いか
試乗車は車両本体価格364万円の他、オプションのボディカラー(6万円)、ナビゲーションパッケージ(35万円)、バーチャルコックピット(5万円)の、計410万円となっていた。
「1Lエンジン搭載で400万円超え!?」という驚きの声ももちろんあることは、わかる。でも、その内外装の質感、走りの質感、その他クルマとしてSUVとしての完成度や出来、満足度ということを考えたとき、410万円の価値がないのか?と問われれば、「ある」と言える。
1Lターボエンジンもネガな部分はなく、その鼻先の軽さと燃費の良さが魅力だし、振動も騒音だって少ない。
ただ個人的には、299万円の「素」のQ2 1.0TFSIを買って、スニーカー感覚で乗りたいと感じた。純正のナビゲーションも付けずにスマホの地図で、タイヤも215/60R16と厚くなるがそのままで乗ってみたい。こう思うのは、やはり素性が良いからこそ、なのだろう。
文:ネギシマコト/写真:小平 寛
アウディQ2 1.0TFSI sport諸元表
●サイズ=4200×1795×1500mm ●ホイールベース=2595mm ●車両重量=1310kg ●エンジン=直3DOHCターボ 999cc ●エンジン最高出力=116ps/5000-5500rpm ●エンジン最大トルク=200Nm/2000-3500rpm ●駆動方式=FF ●364万円