トヨタのスポーツカーブランド「GR」が昨年11月にスタート。今回は中でも注目が集まる「86GR」の量産モデルに一般公道で試乗した。

エンジンはノーマルのままだが86GRMN譲りの補強済み

画像: 専用のリアバンパーロアのセンター部にシングル出しエキゾーストパイプを移設。全体にスポーティだけど落ち着いた印象のエクステリアとしている。

専用のリアバンパーロアのセンター部にシングル出しエキゾーストパイプを移設。全体にスポーティだけど落ち着いた印象のエクステリアとしている。

86GRには2017年夏に千葉県にある袖ケ浦フォレスト・レースウェイで試乗した。標準車との比較試乗では、接地性が圧倒的に高く、見違えるほど走りがシャープになっていていることをお伝えした。

ただし、このときはまだプロトタイプモデルで、しかもサーキットでの試乗だったため時間も限られていたために、まだ細かい部分で量産最終仕様になってなかったこともあり、じっくりとその中身を確かめることができなかった。

しかし、86GRは2017年12月18日に発売を開始したということで、今回は量産モデルを一般公道でじっくり試乗する機会を得たので、そのインプレッションをお届けしよう。

まずは86GRがどんなクルマなのか、その内容をおさらいをしておこう。

このモデルは2016年2月に100台限定で販売した「86GRMN(648万円)」をもとに開発された。86 GRMNはエンジンにも手が加えられているが、86GRはエンジンはノーマルのまま。しかし、専用のチューニングサスペンションや大径ブレーキ、下回りではリアサスペンションメンバーブレースなど、シャシ&ボディの補強に関しては86GRMNとほぼ同様のチューニングが施されている。

画像: 86GRのエンジンはノーマルのままで、最高出力207/7000pm、最大トルク212Nm/6400〜6800rpmとなる。

86GRのエンジンはノーマルのままで、最高出力207/7000pm、最大トルク212Nm/6400〜6800rpmとなる。

画像: タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4(F:215/45R17・R:235/45R17)を装着。

タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4(F:215/45R17・R:235/45R17)を装着。

画像: ブレーキはフロント6ポット、リア4ポットの対向キャリパーに、大径のドリルドローターを組み合わせる。踏み始めから制動の立ち上がり自然なだけでなく、非常にコントロールしやすいだけでなく、耐久性にも優れている。

ブレーキはフロント6ポット、リア4ポットの対向キャリパーに、大径のドリルドローターを組み合わせる。踏み始めから制動の立ち上がり自然なだけでなく、非常にコントロールしやすいだけでなく、耐久性にも優れている。

画像: ザックス製のダンパーにローダウンスプリングを組み合わせる。また、専用のトルセンLSDを装備する。

ザックス製のダンパーにローダウンスプリングを組み合わせる。また、専用のトルセンLSDを装備する。

また、見た目では86GRMNは前期型がベースとなるが、86GRは後期型がベースなために、各所で新鮮な印象を与えているほか、専用のフロントスポイラーやエキゾーストパイプを86GRMN同様にセンター部に移設するなど、大がかりな改良が施されている。それでいて嬉しいのがリアスポイラー。86GRMNではGTウイングタイプとなるのでかなりハデな印象となってしまうが、86GRはトランク上ににさりげなく付けられており、全体としてハデな印象を抑えつつも、さりげないスポーティさを演出している。

画像: グレーメタリック塗装を施した専用のリアスポイラーは、低めの設定でハデではないところが逆に良い。

グレーメタリック塗装を施した専用のリアスポイラーは、低めの設定でハデではないところが逆に良い。

画像: リアタイヤは235/45R17と標準より幅広なものを履くために、リアフェンダーにはエクステンションを装着している。

リアタイヤは235/45R17と標準より幅広なものを履くために、リアフェンダーにはエクステンションを装着している。

足回りは硬めだが不快じゃなくフットワークが軽快!

さて、いよいよ一般公道で走ってみよう。まず最初の印象は、やはり足回りはそれなりにハードだということ。ザックス製ダンパーと10mmローダウンスプリングの組み合わせは、路面がフラットなサーキットではとくに感じなかったが、普通の道では路面の凹凸をそれなりに身体に伝えてくる。しかし、それは決して不快というわけではない。というのも、しっかりとダンパーの減衰力が効いており、揺れは一度できちっと押さえ込まれているので、いやな感じの振動ではないのだ。

画像1: 足回りは硬めだが不快じゃなくフットワークが軽快!

それよりも、街中を流すレベルのスピード域でも、ハンドリングの軽快さ、シャープは感じられ、とにかく気持ちが良い。86の標準車ではステアリングを切ってからフロントが動き出すまでに若干の遅れが感じられるのだが、86GRでは応答遅れなく俊敏に反応してくれるのだ。

また、首都高速などを飛ばしたときなど高速域の方が、乗り心地が良く感じる。これはダンパーの減衰が高速域の方が合っていることと、エアロがしっかりとダウンフォースを出している効果によるものと思われる。

画像2: 足回りは硬めだが不快じゃなくフットワークが軽快!

ただ、路面が荒れている大きめの凹凸がある峠道などでは、逆に少し過敏気味な反応をするので、ステアリングをしっかりと握っていなければならず、のんびりとした感じではない。まあ、サーキットも走れるということも考えれば、このあたりがサスペンションのセッティングの妥協点なのだと思われる。
 
またブレーキがすこぶる良い。フロント6ポット、リア4ポット+大径ドリルドローターという組み合わせのブレーキは、踏み始めから制動の立ち上がり自然なだけでなく、非常にコントロールしやすい。また、耐久性についてもかなりレベルが高く、これならサーキットやワインディングを長時間走っても根を上げるようなことはなさそうだ。

ちなみにインテリアでのお気に入りは専用のレカロ製シート。身体にピッタリとフィットして、長時間運転しても疲れにくかったことをご報告しておこう。

画像: インテリアでは、専用小径本革巻き3本ステアリングホイール(シルバーステッチ)を装備するほか、センタークラスターなどブラック加飾が施される。

インテリアでは、専用小径本革巻き3本ステアリングホイール(シルバーステッチ)を装備するほか、センタークラスターなどブラック加飾が施される。

画像: 専用のレカロ製フロントシート(表皮アルカンターラ)を装備。身体にピッタリとフィットしてサポート性に優れ、長時間運転しても疲れにくかった。

専用のレカロ製フロントシート(表皮アルカンターラ)を装備。身体にピッタリとフィットしてサポート性に優れ、長時間運転しても疲れにくかった。

画像: 86GRMNは2座席だが、86GRは標準車と同様にリアシートを備え2+2の4人乗りとなる。

86GRMNは2座席だが、86GRは標準車と同様にリアシートを備え2+2の4人乗りとなる。

画像: トランスミッションは6速MTのみ。GRロゴ入りの専用スタートスイッチを備える。

トランスミッションは6速MTのみ。GRロゴ入りの専用スタートスイッチを備える。

86GRの車両価格は496万8000円と、ベースの86(GTリミテッド:318万3840円)と比べると170万円ほど高いが、それを上回る価値を備えているといってもいい。走りにこだわる人に乗っていもらいたい1台だ。

■86 GR専用装備

●専用フロントスポイラー+バンパーサイドフィン ●専用サイドステップ ●電動格納式リモコンドアミラー ●フェンダーガーニッシュ ●専用リアスポイラー(以上のパーツはグレーメタリック塗装) ●専用リアバンパーロア ●専用センターシングルエキゾーストテールパイプ ●専用GRエンブレム ●リアフェンダーエクステンション ●タイヤ:ミシュラン・パイロットスポーツ4(F:215/45R17・R:235/45R17) ●ホイール:RAYS製専用鍛造軽量タイプ(F:7.5J/R:8.5J)●専用小径3本スポークステアリング ●専用レカロ製フロントシート(アルカンターラ表皮) ●専用コンビネーションメーター ●専用スタートスイッチ ●ブラック加飾 ●フロントステアリングラックブレース ●リアサスペンションメンバーブレース ●ザックス製アブソーバ+10mmローダウンスプリング ●専用ブレーキ(F:モノブロック対向6ポット・R:4ポットキャリパー+ドリルドディスク) ●専用トルセンLSD

画像: ■86 GR専用装備

■文:加藤英昭(ホリデーオート編集部)
■写真:玉井 充

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