輸入車のディーゼルモデルは日本で人気
ディーゼルエンジンは、欧州で日に日に風当たりが強くなってきているなか、日本では逆に右肩上がりの成長を続けている。それを支えているのが、ディーゼルを環境性能エンジンの主力として位置づけてきた欧州メーカーだ。実に日本に入ってきている輸入車の2割以上がディーゼルエンジン搭載車が占めていて、60モデルがラインアップされているという。ハイブリッドモデルが主力の日本車とはとても対照的だ。
いわば、「輸入車にディーゼルエンジンはセット」と言った印象だが、最後の大物フォルクスワーゲンがようやくその重い腰を上げた。
パサートに搭載される2Lディーゼルターボエンジンは、VWの設計思想である「MQB」を反映させた最新基幹ユニットで、尿素使ったSCRシステムにより高い環境性能を実現。同時に190㎰/400Nmの高出力を生み出している。
VWにとって、環境性能ディーゼルエンジンは日本初上陸となると同時に、パサートにおいてはガソリン、プラグインハイブリッドの3ユニットが揃い、日本市場での体制強化が整った。
素直なハンドリングと応答性
実際にエンジンをかけてみると、第一印象はちょっと前の輸入車のディーゼルエンジンと言った感じ。ディーゼル特有の燃焼ノイズが外では結構聞こえてきて、輸入車ならではの遠慮のなさを思いおこさせる。室内に入ってギアを入れてしまうと、最近の直噴ガソリンエンジン程度の静粛性が保たれ、走り出してしまえば気にならない。いかにも実用本位の味付けといえる。
その走りも、1500rpmを越えてしまえばスーッと滑らかな味わいに変化し、なおかつ吹け上がりが早い。コンパクトサイズのエンジンに乗っているかのようにシュンシュンと回る。6速DSGも変速時にパワーの落ち込みを感じさせることなく滑らかに加速体制を維持。レスポンスの良さと力強さを表している。
ハイブリッドモデルなどに比較して余分なユニットがないためか、車重を感じさせない素直なハンドリングも持ち味で、直進時の安定感や応答の素直さが魅力。スッとノーズが入っていく自然な動きは、欧州車の持ち味をしっかりと生み出してくれている。
しかも、踏めばすぐに反応してくれる力強いパワーユニットはガソリンエンジンより頼もしく軽快なハンドリングをサポート。競合輸入車などに比較してノイズ面やトルク面ではやや異なる味付けも、走りに関してはパワーもハンドリングも切れ味があっスッキリとしていて気持ちよい。VWならではの走りの良さこそパサートディーゼル最大の持ち味で、遅れてやってきた大物デビューと言っていい。
VWパサートヴァリアント TSIハイライン
●サイズ=4775×1830×1485mm ●ホイールベース=2790mm ●車両重量=1610kg ●エンジン=直4DOHCディーゼルターボ 1968cc ●エンジン最高出力=190ps/3500-4000rpm ●エンジン最大トルク=400Nm/1900-3300rpm ●トランスミッション=6速DCT ●509万9000円