いま、日本では絶版スポーツカーがブームになっているようだ。なんと数年前より1.5倍、2倍の価格となっているクルマも多数あるという。どうしてそんなにも高騰しているのか。中古車事情に詳しい増田 満氏が解説する。
画像: R32スカイラインGT-Rなどは100万円台後半もあるが、それらは過走行や過剰チューニングなどもあるので注意。極上車を求めるならば400〜600万円と、ほとんど新車価格と変わらない値段がついている。Vスペックなどは800〜900万円と現実離れしている。

R32スカイラインGT-Rなどは100万円台後半もあるが、それらは過走行や過剰チューニングなどもあるので注意。極上車を求めるならば400〜600万円と、ほとんど新車価格と変わらない値段がついている。Vスペックなどは800〜900万円と現実離れしている。

グローバル化も大きな一因

中古車の中でも絶版スポーツ車の相場価格が高騰した。どうしてそこまで高いの?と疑問に思うのはもっともだ。その原因は世のグローバル化と無関係ではないのがポイント。

とくにアメリカ市場がポイントになる。アメリカでは原則として新車輸入されなかったクルマの登録を禁じているが、生産から25年を経たものであれば、展示用などの名目で登録が可能になる。これを利用して、アメリカに輸出されなかったR32スカイラインGT-Rなどが近年人気を獲得。バイヤーが続々と来日して国内中古車相場を引き上げ、この動きにつられて同じような年式の国産スポーツカーにも注目が集まったのだ。

もっとも、これらは我々とは縁のない対岸の火事に思える。そもそも新型車に魅力を感じない人が増えたことも一因。最近のエコカーやミニバンを好きではない人だって少なからずいる。そんな人なら、10年落ち20年落ちでも構わないから心底好きなクルマが欲しいと思うもの。そこで「高くてもいいから程度が良くて長く乗れる」絶版スポーツ車を買い求め始めた。

これらの複雑な状況が絡み合って、今の絶版スポーツ車市場の高騰が始まった。そしてこの現象はまだまだ終わる気配がなく、さらに広がる可能性もある。これまで値上がりと無縁の車種でも「古い」という理由だけでトンでもない販売価格を提示する例が出始めたのだ。

ブームは40代以降の世代が牽引

絶版スポーツ車を買い求めているのは、主に40代以降の世代。彼らが青春時代に憧れたクルマが人気を牽引して、ブームに目をつけたヨコハマは、「セミスリック」と呼ばれた往年のタイヤ、アドバンHFタイプDを復刻。今後、ブームはさらに高まるかもしれない状況だ。

彼らが選んでいたのは絶版スポーツといっても60年代や70年代に生産されたトヨタ2000GT、スカイラインGT-Rが対象。これに目をつけた国内業者が、より新しい80年代や90年代のクルマにも付加価値を持たせて販売するようになった。そのアオリが絶版スポーツ車全般に影響を及ぼしたのだ。

画像: この秋に横浜ゴムが復刻する、アドバンHFタイプD。ヒストリックカー市場向けのタイヤだ。

この秋に横浜ゴムが復刻する、アドバンHFタイプD。ヒストリックカー市場向けのタイヤだ。

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