文:竹花寿実/写真:Kimura Office、BMW AG
クルマとしての完成度が高く幅広い層におススメできる1台
運転席に乗り込んで最初に感じたのは、シートのサポート性の高さだ。走り出してもその印象は変わらず、とくにコーナリング中のサイドサポート性に優れている。
走りはJCWの名を冠するだけあり、たしかにスポーティだ。スポーツモードを選択すれば、エンジンはアクセルペダル操作に対するレスポンスが俊敏になり、エキゾーストノートは低く力強いサウンドに変化する。さらにトランスミッションは低めのギアをキープし、サスペンションも引き締まる。また、フロントに備わる4ピストンのブレンボ製ブレーキシステムも強力かつコントローラブルで、パワフルで俊敏な走りが楽しめる。
しかし、1615kgという車両重量はいかんともし難い。駆動方式が4WDのALL4であるため加速は良く、0→100km/h加速6.5秒、最高速度234km/hという性能を実現しているが、ハンドリングには若干のアンダーステアを感じ、コーナリング時のロール量も大きい。サスペンションも「引き締まる」とは言っても特筆するほどハードではなく、全体的に、JCWに抱くゴーカートライクな走りのイメージとは大きく異なる。
だから、過激でスポーティな走りを期待すると肩すかしを食らうことになるかもしれない。とはいえこのクルマが良くないと言うわけではない。スポーツモードでの走りは十分に力強くスポーティで、乗り心地も快適だ。ノーマルモードやグリーンモードでは、シャシがソフトなセッティングとなり、上質な乗り心地でゆったり快適な移動ができる。
JCWらしさはやや薄いが、コンパクトSUVとしての完成度は高く、いざとなればスポーティな走りが楽しめる。MINI JCWカントリーマンは、走りだけにこだわらない、幅広い層におすすめできる1台と言っていいだろう。
ドイツでの車両価格は19%の付加価値税込みで、6速MT車が3万8800ユーロ(約450万円)、今回試乗した8速AT仕様車は4万900ユーロ(約480万円)となっている。